同化と解放―19世紀「ユダヤ人問題」論争

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  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582702118

作品紹介・あらすじ

国家と民族・宗教というきわめてアクチュアルな問題系にあって最大級のトピックたる「ユダヤ人問題」の現代的淵源に立ち返り、その展開と歴史的意味とを刻明に跡づけ考察する、気鋭の社会思想史家による初の野心的試み。

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  • ユダヤ教を捨てて、キリスト教になることはそれがユダヤ教徒全体に対する法的、制度的差別の構造に手を触れることなく、自分だけは救われようとする個人的解決の試みである限り、その利己性に対する外からの新たな批判と自らの内部での新たな負い目意識を生み出してしまうものであり、改宗者をユダヤ教徒であることの痛み、から内面的に解放するものではな決してなかった。

    政府hがユダヤ人問題論争の中で改革はユダヤ教徒と伝統的ユダヤ教徒との同化の志向と程度の差異として論じられた問題をドイツ的ユダヤ教徒とポーランド系ユダヤ教徒=東欧的ユダヤ教徒との区別と見無、行政区域の線引きをすることで決着をつけた。

    20世紀に入ってヨーロッパ社会全体の傾向として宗教的意識が衰退していく過程で、ドイツの文化に同化し社会に統合されたユダヤ教徒の大多数はたまたまユダヤ教徒の家計に生まれたが、そのほかの点ではユダヤ教徒ではない人間になっていたのである。彼らの多くは自分自身にとっては幾世代も前からドイツ人であり、他の人々にとって近頃ユダヤ人になった、ユダヤ系ドイツ人であり。ユダヤ人というアイデンティティはナチスが政権をとってユダヤ人に対する法的、制度的差別を導入した1933年になって初めて外から押し付けられたのであって、その時でさえ、お前はユダヤ人だということが、わからなかった。

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著者プロフィール

1952年生まれ。
関西大学名誉教授。専門は社会思想史。
主な著作に『隠された奴隷制』(集英社新書、2019年)、『ローザの子供たち、あるいは資本主義の不可能性——世界システムの思想史』(平凡社、2016年)、『市民社会とは何か——基本概念の系譜』(平凡社新書、2010年)、『マルクスのアクチュアリティ——マルクスを再読する意味』(新泉社、2006年)、『マルクスを読む』(青土社、2001年)など。

「2022年 『カール・マルクス 未来のプロジェクトを読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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