ローザの子供たち、あるいは資本主義の不可能性: 世界システムの思想史

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  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582703528

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  • 資本主義の本質は、飽くなき成長拡大を要求するものだ。それゆえ、絶えず成長するためによそから強奪し、吐き出した生産物を消化させる宛てを見繕う必要に迫られる。
    まず原初的な形態の資本主義、すなわち大航海時代に端を発する資本主義の世界では、時間及び空間的隔絶がその役割を担った。場所的に隔絶されているからこそ、ある場所(インド)ではありふれた日用品であっても、別の場所(ヨーロッパ)では最高級品としてもてはやされた。香辛料がその代表例だ。
    また、時間的隔絶の利用とは、要するに金利のことである。今使える金を融通してやるから、これで将来儲けられるだろう。ならば、先に儲けられるはずのアガリを今のうちに貰っておくぞ、という理屈である。

    近代に入って世界が狭くなると同時に、そうした場所的隔絶からのアガリは微々たるものになる一方だった。ならば、周辺国の産業をまるっと単一製品のみあげられるようにして徹底的にコストカットを図り、安く買いたたき上げたその製品を使って、やはり別の周辺国に安く売りさばく。その周辺国の産業は壊滅的打撃を受け、その安い製品にすべてが席巻される。
    このようにして、欧米先進国は、後進国に資本主義のツケのすべてを押し付けた。しかし、今やグローバリズムは世界を席巻しつくし、もはやフロンティアは残っていない。果ては宇宙まで視野に広げる始末である。

    よそに強奪する先と無理やり消化させる宛てなくしては成り立たないシステムなぞ、有限な地球環境の内部にあっては、土台無理な話だ。早晩破綻するのは目に見えている。
    では、それに変わる社会システムはあるのか。
    さまざまな社会主義が唱えられてきたが、今のところ、万人を納得させられる回答が提示されていないのが現状だ。

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著者プロフィール

1952年生まれ。
関西大学名誉教授。専門は社会思想史。
主な著作に『隠された奴隷制』(集英社新書、2019年)、『ローザの子供たち、あるいは資本主義の不可能性——世界システムの思想史』(平凡社、2016年)、『市民社会とは何か——基本概念の系譜』(平凡社新書、2010年)、『マルクスのアクチュアリティ——マルクスを再読する意味』(新泉社、2006年)、『マルクスを読む』(青土社、2001年)など。

「2022年 『カール・マルクス 未来のプロジェクトを読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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