キリスト教の精神とその運命 (平凡社ライブラリー へ 3-3)

  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582762105

作品紹介・あらすじ

支配と憎悪を孕む律法道徳を排し、世界との和解を説くイエスの「愛」の思想。しかし、キリスト教会は再び世界からの離反へと向かう。ディルタイによって「愛による運命との和解」と名付けられた「若きヘーゲル」の青春の哲学。

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  • 若きヘーゲルによる神学研究の草稿。G.ルカーチやディルタイなど、多くの哲学者、思想家がこれについて卓抜した研究を遺している。

    ヘーゲル独自の聖書解釈やキリスト教義の解釈を通して、己の存在論的=認識論的=論理学的な哲学内容を明らかにしていく。その哲学の要点を一言で表すとすれば、対立、矛盾を解消する「愛」である。(ちなみに、この書でいう運命とは、対立が生む悲劇的結末のことをいう。)

    あらゆるものが具体的な総連関のなかに息づいていたギリシア世界への憧憬を抱きながら、ヘーゲルが若き頃に唱えた愛の思想が、イエスの姿を通して語られる。

    書の後半になると、前半部で高く評価されていたはずの愛に関して、その限界が語られるようになる。愛も反省を通して、展開させようとするところに、後の人倫哲学へと到るヘーゲル哲学の形成過程の一端が垣間見れる。

    読んでみて、あまり哲学・思想書ってかんじはしない。『精神現象学』や『法の哲学』が難解で読みづらければ、まずこの書のような青年期の研究を読めば、ヘーゲル哲学の理解の手助けになるだろう。

  • 「イエスの生涯」

  • レポートの参考に。

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著者プロフィール

(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)
1770年、南ドイツのシュトゥットガルトで生まれ、テュービンゲンの神学校で哲学と神学を学んだのち、イエナ大学講師、ハイデルベルク大学教授、ベルリン大学教授となる。発表した本は6点、翻訳『カル親書』(1798年)、小著『差異論文』(1801年)、主著『精神現象学』(1807年)、大著『論理学』(1812–16年)、教科書『エンチクロペディー』(1817年、1827年、1830年)、教科書『法哲学綱要』(1821年)である。1831年にコレラで急死。その後、全18巻のベルリン版『ヘーゲル全集』(1832–45年)が出版される。前半は著作集で、後半は歴史・芸術・宗教・哲学の講義録である。大学での講義を通して「学問の体系」を構築し、ドイツ観念論の頂点に立って西洋の哲学を完成した。

「2017年 『美学講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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