鼻行類 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
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本棚登録 : 695
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582762891

作品紹介・あらすじ

1941年、日本軍収容所から脱走した一人の捕虜が漂着したハイアイアイ群島。そこでは鼻で歩く一群の哺乳類=鼻行類が独自の進化を遂げていた-。多くの動物学者に衝撃を与え、世間を騒がせた驚くべき鼻行類の観察記録。

感想・レビュー・書評

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  • 1941年に発見され1952年に核実験のミスで海底に沈んだ太平洋の群島。そこに生息していた特異な哺乳類の記録。
    新種の哺乳類というのも凄いが、鼻で歩き跳ぶもの、耳で飛ぶもの、尻尾に毒針をもつもの、脊椎が退化したもの、音楽を奏でるもの....この類はまるですべての動物の縮図かと思えるほどの多様な族や科に分化している。本書に掲載された以外の資料や標本が全て失われたのは、惜しい限りだ。
    生物の多様性への讃歌と、地球を担う人間の責任というものを訴えたメッセージなのか。

  • 幼少期に、水木しげるの妖怪図鑑や図解ウルトラ怪獣みたいな本などでワクワクした経験のある人、もしくは、異形の生物が好きな人。そういった条件が当てはまるのであれば、きっと心が躍るはずです。この本を頭から信じきってしまうような大人になってしまうのは少し危険だけれど、ただのでまかせと一蹴してしまうのもちょっと悲しい。いくつになっても、こういう空想する力を大切にしたいな。と思います。この本を小学校高学年くらいの世代に、なんの説明もなしに読ませてみようか。などというちょっとしたイタズラをしてみたくなります。

  • トビハナアルキ、ハナススリハナアルキ…多種多様すぎて笑える。絵がナイス。

  • 1941年、日本軍の収容施設から逃亡した一人のスウェーデン人捕虜が南海のハイアイアイ島に偶然漂着する。そこでは、鼻で歩く哺乳類「鼻行類」が独自の進化を遂げていた!
    そしてこの本ではその不思議な哺乳類の生態が細かく記されている。ナメクジのような鼻で、泥の上を滑るように移動するもの、鼻汁で釣りをするもの、鼻に関節があって跳ぶもの。細いペンで書かれた学術書らしいイラストも合わせて、かなり詳しく説明がされている。それを読んでいるだけで胸がときめく。
    はたしてこの奇想天外な哺乳類は本当にいたのか?途中まで完全に信じて読んでいたけれど、学会的にはフィクションとして笑われることが多いみたい。でも、それでも存在を信じたくなる、鼻行類はそんな魅力的な存在。
    学術書然としているのに、あとがきがすごいよ、あとがきの一行目でぶっとぶもん。

  • 世に言う生物系三大奇書の中の一書。一見正統派の動物学の学術書。鼻行類(目)とは、1941年に日本軍の捕虜収容所から脱走したスウェーデン人により発見されたハイアイアイ群島に生息していたとされる哺乳類。発見当初は原住民もいたが、発見者により持ち込まれた流感により絶滅。
    哺乳類の場合、種レベルでの発見でも大騒ぎだが、鼻行類はその上の属の、さらにその上の科の、さらにその上の目レベルでの発見。しかもその外見と生態も非常にユニークということで、本書出版は大反響を呼んだ。
    極めて学術的なスタイルの書籍ながら、退屈な記述が長々と続くこともなく、内容は変化に富み、かっこかわいい銅版画による各種鼻行類のイラストとあいまって大変楽しい書物になっている。
    鼻行類は名前が示す通り鼻で歩く動物。どの種も鼻が非常に発達している。
    最も原始的な種は、ヘッケルムカシハナアルキ。この食虫目(モグラなど)から進化したと考えられ、唯一四足歩行する鼻行類。捉えた獲物を食べるときだけ逆立ちし、鼻で体を支える。
    ハナススリハナアルキは、長く伸びた鼻の先から粘着性の強い鼻水を水中に垂らし、小型水生動物を捕獲する。
    ミジンコラッパハナアルキは、水中に住み、漏斗状の鼻で水面に吸い付いて体を支え、プランクトンを食べる。
    ここまでは、同じく大陸から切り離されて独自進化を遂げることでさまざまな環境に進出した単孔目、有袋類に似ているが、鼻行類が凄いのはここからで、なんと空を飛ぶ種類までいること。それがダンボハナアルキで、大きく発達した耳を使い飛翔することができる、というくだりまで差し掛かったところで、本書はだんだんファンタジーの世界に入り込んでいく、気がする。
    こうした愛すべき鼻行類、今でも何か見られるものはあるのか、そもそもハイアイアイ群島とはどの辺にあるのか?という疑問でいっぱいの読者に対する答えはあとがきに用意されている。
    なんと、50年代に秘密裏に行われていた核実験(諸島の200km先)で、下級職員のミスから地殻に歪みが生じ、全島が
    海面下に没してしまったらしい。膨大な資料と剥製が保管されていたハイアイアイ・ダーウィン研究所も永遠に失われてしまった。不幸中の幸いは、本書の著者がこの直前に短くまとめた文章を残していたこと。

  • 本文の楽しみ方がわからなかった。本自体の存在を楽しむのが正当なのかも。

  • ようやく読めた、あこがれの本。日高敏隆さんの訳者あとがきに「理論動物学として抜群のものである」とされています。生物の本を読むといつもおぼえる、この生き物を突き詰める人生を歩むべきだったのか、という感情こそ抱かなかったけど、もしかして僕にも、鼻行類に続く新しい生き物が見つけられるのでは、と、今までにない興奮を覚えています。
    いつもだったら、「もうちょっと若かったら、鼻行類の研究者になるね」っていうところだけど、今回は、ね…!

  • すごく面白かった。このような本の存在を今まで知らずにいた事が悔やまれる。とにかくおすすめ。素晴らしい。
    後書きにもあるが、是非図版をカラーで見てみたかった。

  • なんとも楽しい一冊だった。
    ナゾベームが一番好き。おおげさな空気音を出しつつ追いつ追われつしている姿は想像するだに滑稽。
    フシギハナアルキもよい。彼らが両手を組んで風にふかれている群落を訪れてみたい。
    ムカシハナアルキのような始祖からいかに鼻を中心とした進化が進むのか。想像すると楽しい。
    イラストはどれも可愛いくユーモラス。ハナムカデのイラストは無いものか。
    ちょっとありえないような種もいるけど、進化は想像のはるか斜め上を行く。いつか空に舞うダンボハナアルキに出会う日が来るかもしれない。

  • 生物学的知見を駆使して真面目に遊んでいる名著。最高です。

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