増補 にほんのうた (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 10
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582764864

作品紹介・あらすじ

華やかなJ・ポップの棚の裏や脇にひっそりと並ぶ演歌や往年のアイドルのCD。常に流行の中心だった「歌謡曲」は、なぜ、どのようにしてポップスに主役を譲ったのか。「リンゴの唄」に始まり、女王・ひばりを生み、ふるさと歌謡、ロカビリー、GS、さらには沖縄ポップスやラップを経て変容を続ける戦後歌謡曲の流れを追う。

感想・レビュー・書評

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  • わたくしは日本の「歌謡曲」といふものが好きでしてね。今ではJ-POPとか称して何でも一緒くたにされてゐるやうですが、CD屋(めつきり営業店が少なくなりました)なんかの分類では「歌謡曲」は「演歌」の仲間に入れられてゐるケイスが多いやうです。
    わたくしが子供の頃はバリバリのアイドルだつた人も、今では演歌扱ひです。つまりこれはジャンル分けといふよりも「年配の人たちが好んで聴くコアナアだよ」と宣言してゐるのでは。即ち、若者たちに「あ、ここは君たちの聴くやうな音楽はないからね、スルーしていいよ」とでも言つてゐるやうで、何となく不愉快であります。

    一方で昭和30~40年代には「流行歌」なるものがありました。まだ発売したばかりの新譜も「流行歌」と称され、それは変ぢやないかと思はれるでせうが、これは「流行歌」なる名称の一ジャンルだつたのであります。
    で、結局「歌謡曲」の定義とは何かを考へても、良く分からないのでした。

    北中正和著『にほんのうた』は、かつて音楽雑誌を手掛け、現在は音楽評論家として日本の大衆音楽を俯瞰してきた著者による、戦後日本歌謡曲史であります。
    本書を読めば、歌謡曲の定義なぞはどうでもいいではないかと思はれてきます。何しろ、歌謡曲史第一章は「ジャズ」から始まるのですから。
    その後も、洋楽の影響を常に受け続けてゐることが分かります。マンボ・タンゴ、ハワイアン、ウェスタン、シャンソン、ロカビリー......なんでもござれ。日本人がそれらをカバーすれば、まぎれもなく「歌謡曲」になるのですから。
    そしてそれらの流行と流行の間では、思ひ出したやうに伝統回帰、リバイバルの時代が挿入されるといふ塩梅であります。

    変化が起きるのは、ニューミュージックといふ安直なネイミングの一派が伸してきた頃でせうか。この分野の歌ひ手の多くは、シンガーソングライターと呼ばれる人たちで、それまでの作詞・作曲・編曲・演奏・歌の分業体制を変へてしまひました。
    それこそが新しい歌謡曲であると主張する人もゐたり、否、歌謡曲といふものは既に役割を終へたものであると述べる方々もゐます。どちらかといふと、わたくしは後者の意見に賛同するものですが、まあそれもあまり意味がない。
    本書を片手に、その時代時代を代表する歌手やヒット曲の数数を交へながら、「にほんのうた」を概観するだけでも実に愉快な事であります。
    まあ、さういふわけだ。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-736.html

  • 細野さんのインタビュー本の編者として北中正和さんを知り、
    他の本も読んでみたくなり、手に取った一冊。

  • ありそうでなかった、
    日本の大衆音楽史を時代の側面からも、
    サウンドの変遷からも説明した本。

    ところどころ記憶のなかで、
    つながっていなかった部分が穴埋めされた。

    例えば、

    フォーク歌手が歌謡曲に曲を提供することが
    頻繁に行われた背景はなんだったのか、や、

    ニューミュージックの歌い手が、
    テレビに出るとか出ないとか言ってたのが、
    いつ頃からか、みんな出るようになったのは何故か、

    あと、

    歌謡曲の分業システムの詳細、
    そして衰退への変化、
    いつからJ−POPという言葉が使われだしたか、など

    興味深い記述がいっぱいだった。

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