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- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582765601
感想・レビュー・書評
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2019年1月読了。
「洋行」がまだ国家や一部の有力資本の独占的なイベントで、帰朝者にはそれだけで選良のレッテルを貼られる頃に、永井荷風は誰よりも先駆けて野暮ったい洋行の「意味」から自分を解き放ち、自由や独立を勝ち取ったバカボンドだった。
ただこのバガボンドは「言語=文学」という制約条件があるがために、やがて帰国して自分を「江戸戯作者」という身分に「落として」、帰らぬ江戸の昔に遊ぶしかなかった。
翻って最近はやたらと「国を愛する」だの「〇〇国を守る」だのと威勢の良い言辞を持て囃し、自分にとっての「外縁」に敵意という劣情を燃やしている向きが多いが、そんな向きこそ愛情や他人へ眼差しが不足しているのだろうとぼやかざるを得ない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
存在そのものをまなざしとして、ひたすら歩き見つめ「書く」荷風が生成される原点としての「あめりか」体験。米国での恋愛と仏の自然への憧憬を断念しつつ、精神は仏&モダンアメリカを、しかし生活実践は日本&日本語という自己内所属を選ぶことで「書く」ことをつかみ取る。
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