荷風のあめりか (平凡社ライブラリー 560)

  • 平凡社 (2005年12月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784582765601

みんなの感想まとめ

自由や独立を求める心が描かれた作品で、主人公は「洋行」を通じて自らのアイデンティティを探求します。永井荷風は、当時の社会において特権的な存在であった洋行から解放され、独自の視点を持つバカボンドとしての...

感想・レビュー・書評

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  • 2019年1月読了。
    「洋行」がまだ国家や一部の有力資本の独占的なイベントで、帰朝者にはそれだけで選良のレッテルを貼られる頃に、永井荷風は誰よりも先駆けて野暮ったい洋行の「意味」から自分を解き放ち、自由や独立を勝ち取ったバカボンドだった。
    ただこのバガボンドは「言語=文学」という制約条件があるがために、やがて帰国して自分を「江戸戯作者」という身分に「落として」、帰らぬ江戸の昔に遊ぶしかなかった。
    翻って最近はやたらと「国を愛する」だの「〇〇国を守る」だのと威勢の良い言辞を持て囃し、自分にとっての「外縁」に敵意という劣情を燃やしている向きが多いが、そんな向きこそ愛情や他人へ眼差しが不足しているのだろうとぼやかざるを得ない。

  • 存在そのものをまなざしとして、ひたすら歩き見つめ「書く」荷風が生成される原点としての「あめりか」体験。米国での恋愛と仏の自然への憧憬を断念しつつ、精神は仏&モダンアメリカを、しかし生活実践は日本&日本語という自己内所属を選ぶことで「書く」ことをつかみ取る。

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