江戸はネットワーク (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 42
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582766332

作品紹介・あらすじ

江戸の人やモノは重層的に関わり、動き、変化し、時空を超えて伝播してきた。人びとは個々の関係に意図的に関わり、したたかに変化する人間を演じてきたのである。

感想・レビュー・書評

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  • 連(サロン)によるネットワークの話でした。


    連を現代風に表現するなら、「つまり複数の人間によって「ノリ」が生じると、個々が一人で何かやる場合の数倍の力になる」というようなものと著者はいう。

    連の例として「宝合わせの会」というものがある。

    これは、各々が適当なものを持ち寄って、それがいかに宝物かを屁理屈でプレゼンする会。

    ちょっと楽しそう。

    ーーーー

    昔の遊びは人が遊ぶと同時に神が遊ぶことでもあったそうですが、江戸時代の遊びはどんんあものがあったのでしょうか。

    本書でいろいろと書かれていましたのでいくつか紹介します。

    昔の寺子屋の遊び。
    くじ引きで1番の子供だけが好きな字を書いて、次の子からはそれを書き写していくという「一字書」、線香が燃えている間にできるだけたくさん書く「数習い」などがあった。

    大人は「酒合戦」とかしてたらしい。
    酒をたくさん飲むときは「酒号」という別名で別の人間として飲んでいたらしいが、これは罪悪感からではなく酒で遊ぶためだったという。

    俳諧の話。
    平句は、気取って自分の世界に閉じこもってちゃ前の句も後の句も困ってしまうので、平句は世界をヒラクことが大事だという。

    ーーーーー

    遊女との遊びについても本書では述べられていて、遊女との恋はあれこれ手順が面倒だったそうだが、

    『色道大鏡』の著者が「あれこれ障害を乗り越えてようやく会う恋こそが優れた恋だ」というように、障害を越えて遊女と結婚したりすることもあったという。

    遊女と地女の対比。
    遊女は16,17の若さにして、酒が飲め、三味線や琴や唄が出来、筆に優れ、床上手で慈悲があるものである必要があった。

    遊女でない女性(地女)と対比してのカリスマ性、聖女感があればこそ、男たちの憧れとして商売を繁盛させられたのだという。

    ーーーー

    他にも、大の大人たちが蛇やタコやオシドリになりきるタモリ芸の原型とも言える「腹筋逢夢石」の話が面白い。

    鳥の模様に近い着物を着て台の上にしゃがみこみ、カラスやトンビになりきって会話する芸などは現代でも隠し芸として通用しそうだ。

    「あの鼠の死骸を回収せんのかい?」
    「ああ、あれは鼠殺しの薬を食べて死んだ鼠だからな」

    みたいな感じがシュールでそのうち芸人とかでネタやる人出てきそう。

    さらに本書では、その絵が描かれていて、それみると本当に結構クオリティが高くてびっくりしました。

    ーーーーー

    本書の内容は1988-1990年の平凡社出版の雑誌『太陽』に連載されていた文章が元らしいですが、むかしはこんな面白そうな雑誌やってたのかーというのが一番の驚き。

    今も昔も、気の合う仲間がいてこそ、遊びは楽しいみたいですね。
    江戸の遊びなどに興味がある方はぜひ読んでみてください!

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著者プロフィール

田中 優子(たなか ゆうこ)
1952年横浜生まれ。江戸文化研究者。法政大学社会学部メディア社会学科教授・法政大学国際日本学インスティテュート(大学院)教授。社会学部長を経て、2014年4月に法政大学総長就任。専門は日本近世文化・アジア比較文化。
1986年『江戸の想像力』により芸術選奨文部大臣新人賞、2000年『江戸百夢』でサントリー学芸賞、芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。上記受賞作のほかにも、『江戸の恋』など江戸時代を紹介する一般向け啓蒙作が多い。
サントリー美術館企画委員、サントリー芸術財団理事、放送文化基金評議員、大佛次郎賞選考委員、開高健ノンフィクション賞審査委員、サントリー地域文化賞選考委員などを務めてきた。

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