- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582766332
作品紹介・あらすじ
江戸の人やモノは重層的に関わり、動き、変化し、時空を超えて伝播してきた。人びとは個々の関係に意図的に関わり、したたかに変化する人間を演じてきたのである。
感想・レビュー・書評
-
文字量が多くて読むのが大変でしたが、やっぱ江戸の文化って面白い〜!わくわくしながら読みました。
遊女を聖女のように扱う一方で、性を笑いにするといった現代と江戸の価値観の違いを感じるところもあるし、
おかしな仮装で変顔をしている様子は現代のTikTokでアホなことやってる若者と変わらないなと思ったり。
山東京伝や蜀山人など教科書ではサラッと流していた江戸のクリエイターたちの凄さをこの本で再認識しました。
江戸Tips
・なんでも着物の柄にしちゃう。
・文人は付き合う人、年齢に応じて名前をコロコロ変える
・江戸の外食文化は火災によるもの。また芝居小屋や遊郭、相撲部屋などのレジャーができることによって外食や弁当などを提供する料理屋が普及した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸論。
重厚な内容。場について学びたかったがただた近世江戸のパワフルさに当てられただけだった。
人がどのように集まるかはいたく狂乱的である点は時代もあるが学びがある。
集まること自体が結構破滅的でめちゃくちゃなところと
歳時のように淡々と継続する背景がありそうだ。 -
連(サロン)によるネットワークの話でした。
連を現代風に表現するなら、「つまり複数の人間によって「ノリ」が生じると、個々が一人で何かやる場合の数倍の力になる」というようなものと著者はいう。
連の例として「宝合わせの会」というものがある。
これは、各々が適当なものを持ち寄って、それがいかに宝物かを屁理屈でプレゼンする会。
ちょっと楽しそう。
ーーーー
昔の遊びは人が遊ぶと同時に神が遊ぶことでもあったそうですが、江戸時代の遊びはどんんあものがあったのでしょうか。
本書でいろいろと書かれていましたのでいくつか紹介します。
昔の寺子屋の遊び。
くじ引きで1番の子供だけが好きな字を書いて、次の子からはそれを書き写していくという「一字書」、線香が燃えている間にできるだけたくさん書く「数習い」などがあった。
大人は「酒合戦」とかしてたらしい。
酒をたくさん飲むときは「酒号」という別名で別の人間として飲んでいたらしいが、これは罪悪感からではなく酒で遊ぶためだったという。
俳諧の話。
平句は、気取って自分の世界に閉じこもってちゃ前の句も後の句も困ってしまうので、平句は世界をヒラクことが大事だという。
ーーーーー
遊女との遊びについても本書では述べられていて、遊女との恋はあれこれ手順が面倒だったそうだが、
『色道大鏡』の著者が「あれこれ障害を乗り越えてようやく会う恋こそが優れた恋だ」というように、障害を越えて遊女と結婚したりすることもあったという。
遊女と地女の対比。
遊女は16,17の若さにして、酒が飲め、三味線や琴や唄が出来、筆に優れ、床上手で慈悲があるものである必要があった。
遊女でない女性(地女)と対比してのカリスマ性、聖女感があればこそ、男たちの憧れとして商売を繁盛させられたのだという。
ーーーー
他にも、大の大人たちが蛇やタコやオシドリになりきるタモリ芸の原型とも言える「腹筋逢夢石」の話が面白い。
鳥の模様に近い着物を着て台の上にしゃがみこみ、カラスやトンビになりきって会話する芸などは現代でも隠し芸として通用しそうだ。
「あの鼠の死骸を回収せんのかい?」
「ああ、あれは鼠殺しの薬を食べて死んだ鼠だからな」
みたいな感じがシュールでそのうち芸人とかでネタやる人出てきそう。
さらに本書では、その絵が描かれていて、それみると本当に結構クオリティが高くてびっくりしました。
ーーーーー
本書の内容は1988-1990年の平凡社出版の雑誌『太陽』に連載されていた文章が元らしいですが、むかしはこんな面白そうな雑誌やってたのかーというのが一番の驚き。
今も昔も、気の合う仲間がいてこそ、遊びは楽しいみたいですね。
江戸の遊びなどに興味がある方はぜひ読んでみてください!