昭和史戦後篇 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
4.15
  • (183)
  • (215)
  • (86)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 2294
感想 : 146
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (614ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582766721

作品紹介・あらすじ

授業形式の語り下ろしで「わかりやすい通史」として絶賛を博した「昭和史」シリーズ完結篇。焼け跡からの復興、講和条約、高度経済成長、そしてバブル崩壊の予兆を詳細にたどる。世界的な金融危機で先の見えない混沌のなか、現代日本のルーツを知り、世界の中の日本の役割、そして明日を考えるために。毎日出版文化賞特別賞受賞。講演録「昭和天皇・マッカーサー会談秘話」を増補。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2分冊となっている「昭和史」の後編。戦後編という題名がつけられている。扱われているのは、1945年の終戦の年から1989年まで。1989年は、昭和天皇のご崩御の年であり、昭和が終わり、平成が始まった年である。

    45年に満たない期間であるが、筆者の半藤一利は、これを6つの期間に分けている。
    1)1945年の終戦から1951年の講和条約締結までの連合国の占領時代
    2)1952年から1960年の六十年安保までの政治闘争の時代
    3)1961年から1965年までの経済第一の時代。この間に新幹線が開通し東京オリンピックが開催されている
    4)1966年から1972年までの高度経済成長により日本人が自信回復した時代
    5)1973年から1982年までの価値観の見直しの時代。1973年にベトナム戦争が終結。また、この間に二度のオイルショックを日本経済は経験する
    6)1983年から1989年までの国際化の時代

    区分の仕方についての意見は人によって異なるかもしれないが。この本を読むと、45年の間にも世相が何度も変わっていることが分かる。それでも、敗戦の焼け野原から45年の間に世界第二位のGDPを持つ国になった訳であり、日本と言う国は、経済を第一優先にしながら戦後の国を創ってきたのだということが分かる。

  • 戦前 戦中編に 引き継ぎ読みました。

    教科書のようだけど
    とても読みやすい 語り口で
    この二冊は 常に置いておきたい本ですね。

    今が この時代のこういう出来事が あったから
    こうなってるんだ と ストンと 納得できる事もありました。

  • 図書館にて借りた本。
    今回は前回に引き続き「昭和史戦後編」を読了。
    分かりやすい語り口で戦後の日本史について学ぶことができた。

    戦後すぐのたばこの商品名が「コロナ」だったことに驚いた。結局人気が出なかったそうだが、今のこのコロナ禍を考えると不思議な縁を感じる。

    さらに早稲田出身の総理大臣石橋湛山には驚いた。3ヶ月という短い期間で志半ばで退陣したが、こんな心意気を持った政治家がいたことを知らなかった。この石橋湛山についてはもう少し詳しく知りたいと感じた。

    今回この昭和史を読んでもっと過去の歴史について知りたいと感じた。その時代背景や環境を知ることでそれぞれの世代について理解ができると思ったからだ。


    半藤一利さんは最後に日本40年周期説を唱えていた。
    日露戦争勝利の1905年をピークに、
    太平洋戦争の終結が1945年で底に、
    バブル経済が1985年でピークに、
    そして2025年に底を向かって日本は進んでいく。

    その時私は20代半ばであるが、どんな状況であろうとできうる準備をし、そして2065年のピークに合わせて取り組んでいきたい。

  • 昭和史の戦後編
    語り口調でわかりやすい!

    戦後の復興、国つくりがわかりやすく語られていて、今の日本の基礎が理解できる本です。そういうことだったのかっていうのが多かったです。

    当然、学校で習っているはずですが、知りたいと思って読むのと、学校で詰め込まれるのではやはり理解度が違います。
    学校で学ぶのはそのとき起きた事象。本書では、その背景も語られていることから理解が進むのでしょう

    GHQの時代の施策から新しい日本を作られていくわけですが、このスキームはやはり日本だからできたのだろうなと思います。
    日本以外ではうまくいっていないですよね。

    また、占領下の中の話では
    天皇とマッカーサーとの関係
    軍隊の放棄と平和憲法制定
    としながらも、自衛隊を持つことになった理由
    天皇をシンボルとして作る新しい日本
    といったことが行われてきますが、反日感情もある意味GHQが作ったものだと感じました

    また、占領後の施策の中で、外交よりも経済優先で復興を目指した日本。そうしたことが今の日本の外交下手のベースとなっているということも理解できました。

    さらには、なんだかんだありながらもこの立ち上げ時期の首相のバイタリティ!
    それぞれの首相が成し遂げてきたことやその政策の意味するところが理解できました。
    さらにはそれが、今の政治にもつながってきている(あたり前ですが)ということで、なるほどと思うことばかりです。

    現代日本のルーツを知る必読の一冊と思います!!

  • シリーズ前作同様、講義形式でほんと分かりやすい。やはり戦後も国際情勢に大きく左右されてきたのですね。国際情勢と天皇と安保。そして、ひもじさ。この時代で形ができ今に直結してる訳ですから、この時代、ほんのちょっと前のこと、しっかりと勉強すべきだと改めて思いました。

  • 戦争前の話が面白かった(というと不謹慎か)ので、引き続き読了。
    頭の中に、吉田⇒鳩山⇒岸⇒池田⇒佐藤⇒田中といったあたりのレジェンドが整理できた。
    残り1/3あたりからは、単に懐かしいお話であったでお終い。

    著者としては、
    昭和天皇とマッカーサーとの会談が、憲法違反だったかもしれないが、戦後日本にとって大きな意味があったということを伝えたかったのかもしれない。本当はもっと調べたいのだけれども、15年ほど前の講演で、自分自身を「老骨、昭和の隠居」なので若い人に託すといったあたりが強く残った。

    内容は置いといて、15年前の著者は、今の自分と同じくらいの年齢だったであろう事を考えると、そろそろこちらも終活せねばの想いである。

  • 激動の昭和をギュッとまとめたお話。
    半藤さんの私見を挟みながら、時代の流れを教えてくれました。

  • 昭和史戦後篇 1945-1989

    著者 半藤一利
    平凡社ライブラリー  672
    2009年6月11日発行

    昨年11月に後藤謙次著「平成政治史Ⅰ」を図書館で借りて読んで以来、「平成政治史Ⅱ」「平成政治史Ⅲ」と読み、元祖的存在である半藤一利著「昭和史」を読んで、最後、「昭和史戦後篇」を読みました。「昭和史」2冊で、一応、昭和初頭からバブル期までを、そして、平成政治史3冊でそれ以後現代までを読み終えました。
    ああ、長かった。
    一応、メモも取りました。全部あわせると、それで1冊ぐらいの分量になったりして。

    今回読んだ「昭和史戦後篇」は、2006年に出た「昭和史戦後篇」を、2009年に文庫化する際にもう1章、付け加えて出されたもの。おまけの1章は、天皇・マッカーサー会談秘話でした。本編では11回の会談のうち、第1回しか触れられていなかったのですが、2回から11回についても書かれています。

    半藤氏は保守を標榜しているものの、昭和史の2冊を読んで分かることは、戦争反対、そして、平和憲法維持。戦中のアホな政治家や軍幹部を厳しく批判し、昭和天皇についても憲法違反的行為を指摘するなどしています。体制を大いに皮肉った永井荷風を評価しています。
    自らは東大ボート部で体育会系であるものの、内灘、砂川、60年安保闘争などは、どことなくシンパシーすら感じているような。でも、70年安保や全共闘運動については、冷ややかな感じです。

    この本も、いろいろと勉強になりました。戦後のハイパーインフレ政策を押さえるために行われた「ドッジ・ライン(竹馬経済)」の「ライン」てなんだ?とかいう、よく聞くが知らないことも書かれていました。

    一番興味深かったのは、石原慎太郎の「太陽の季節」の、芥川賞選考会。文芸春秋社の社員として審査会場の片隅にいたそうで、怒鳴り声を含めた論争について、実際に目撃した様子を書いているため、実に興味深いものがありました。
    推すのが舟橋聖一と石川達三、「こんなものは絶対に認めない」と主張していたのが佐藤春夫、宇野浩二、丹羽文雄。間に立って、しぶしぶ支持しているのかなあというのが中村光夫と井上靖、どっちつかずで発言しなかったのが川端康成と瀧井孝作。
    このメンバーが目の前で論争しているのを目撃したとは。

    揉めている中、佐藤春夫の弟子格である井上靖が目を開き、
    「佐藤先生のおっしゃるほど、悪い作品ではないと思いますよ」
    と言ったのが決定的になった。
    佐藤はむっとしたような顔でしばらく黙っていたが、「君がそう認めるのか」という感じになると、中間派だった川端も賛成に回り、やがて佐藤と宇野は無言の行となって、結局当選が決まった。

    *********

    (こぼれ話的なものを少し)

    11回行われた天皇・マッカーサー会談。気づかれてはいけないので、天皇は護衛なしの車1台で移動。普通に信号待ちもする。後ろに停まった都電の客が少しすると気づいて、最敬礼。別の交差点では、通行人が気づいてお辞儀をしたが、交番の警官はお尻を向けたままだった。

    源氏鶏太の「三等重役」とは、GHQによる公職追放により、会社でいうなら一等、二等がいなくなった連中が頭に立ったということから来ている。

    昭和21年に中国から野坂参三が帰国。報道陣がみんなそちらに行ってしまい、幣原改造内閣の就任式は寥々たるものだった。

    ヌード第一号は甲斐美春という若い女性だったが、お父さんに怒られて辞めてしまい、その後に出てきたヒロセ元美が非常に有名なストリッパーとなった。踊ったのは彼女が初めて。

    マッカーサーが帰国する際、日本人は惜しみ、マッカーサー神社をつくる計画を立てたほどだった。

    エリザベス女王の戴冠式に出席した皇太子(現天皇)の席は後ろの方で、ネパール王子の隣だった。

    万博会場で、大屋根を突き破って突っ立っていた太陽の塔を見た
    作家の小松左京氏は、「僕、見たとたんに連想したのが、『太陽の季節』の障子破る場面(笑)」と言った。脱″戦後″日本のはじめと終わりとが、うまく照合されている表現。

  • 昭和6年の満州事変に始まり、犬養首相が暗殺される5・15事件、満州国建国、リットン調査団派遣、国連脱退という、軍国主義へと歩み始めた頃。日本は日清・日露・第一次世界大戦の戦勝国。ゆえに軍部はますます増長。「統帥権」という魔法の杖を手にし、覇権へと邁進する。マスコミも国威発揚に手を貸し、世論は雀躍。一切のブレーキを自らの意志で手放してしまう。憂慮するのは天皇陛下ただ一人。幕末の尊王攘夷思想は近代国家を築く上で不可欠のツールであり、その“創造的破壊”を生み出す「産道」であったと歴史的には解釈できる。驚くべきは、昭和天皇が相当の情報通であったということ。軍部が上げてくる我田引水な報告を看破し、内大臣を通じて意思を伝え、その返答を執拗に求められている。天皇は何も知らされず、御簾の向こうで静かに佇むというイメージを持っていたが全く違う。その事を知る上では一読の価値はある。改めて、こんな嘔吐感伴う歴史だからこそ、学校できちんと昭和史の授業はすべきと痛感。蘇我馬子も藤原不比等も天草四郎も大事だけど、ついこの前の愚行の歴史を多くの日本人は体系的に知らない。穿った見方をすれば、自虐史観を植え付けないための国策かな。無能な大本営の愚策のオンパレードで、無惨に戦場に散った方々には断じて見せられない本。

  • 地域史

全146件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

半藤一利の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
デールカーネギ...
村上 春樹
半藤 一利
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×