- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582766776
作品紹介・あらすじ
日本は産業資本主義からポスト産業資本主義への大転換期にさしかかっている。ところが、今の日本の「会社」は、それにうまく対応できていない。日本が21世紀を生き抜くためには、個々の「会社」の仕組みを洗い直し、新しい資本主義にふさわしい形にしていかなければならない。
感想・レビュー・書評
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この内容が十数年前に書かれていたとはね
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会社について、歴史的にも、構造的にも、説明している。「株式会社無責任論」をベースに、その株式会社に在籍している者の一人として、もっと思い切った施策をやるべきだと、提言してきたつもりだが、その根拠となる点が整理できた。
ヒトとしての会社の復活、文化的には、日本人が、取りいれやすいのではないか。というのは、目から鱗。
それにしても、この本のアイデアが、エンロン破綻事件の前に温められていたというのは、著者の時代の先を読み通す力のあらわれで、すごいこと。 -
書店で目に付き購入しました。これまで岩井氏の本は何冊か読んでいましたので、その意味で本書はこれまでの岩井氏の主張のおさらい、という位置づけでしたが、大変読みやすく改めて岩井理論の面白さを再確認できました。岩井氏の主張を一言でいうなら、会社はヒトでもありモノでもある存在ということ、そしてその中心に位置しているのはフィドゥーシャリー・デューティ(信任義務)だ、ということです。
私自身はこの主張に同意できましたし、本書を読むにつれ、いかに世間の多くの識者の視野が狭いか(あたかも「群盲象を撫でる」という故事のように)、またロナルド・コース流の、会社は情報流通の効率化のために組織化されている(つまり社外の人との取引費用が大きいため会社が組織化されている)、という取引費用理論が本質をついていないということを再認識しました。
本書ではまったく議論されていませんが、本書の法人理論を読むにつれて、はたしてAI(人工知能)はどのような存在として将来位置付けられるのだろうかと感じました。おそらく遠くない未来に、人工知能にも「人格」を与える、という国が登場するでしょう(これまでの例にもれず英国あたりがその最初の国かもしれません)。するとAIはヒトかモノかという論争がビッグイシューになるであろうこと、その際は、「A or B」ではなく、岩井氏の法人論のように「ヒトでもありモノでもある(A and B)」存在としてとらえるべきなのだろう、と本書を読んで想像を膨らませました。 -
欧米の会社と比較しての日本の会社の特質を分析しながら、会社の法人格の定義をした著作として読んだ。
自身も25年前の入社数年後の社内レポートで、管理職を専門職能を持つ師匠として定義したことがあり、他でも共感を以って読ませていただいた。
現在においては、優秀な学生の志向は、将来の独立も視野に入れた修行の場としての就職先を求めていることが現実にみられていて、日本の会社も課題が多いと感じている。 -
今年度上半期ベスト5に入る面白さ。
・会社
・資本主義
のことが本質から非常によくわかる本。
会社(法人)
→ 所有する主体としてのヒトと所有される客体としてのモノの二重構造を持つ存在。法律上、ヒトでもモノでもある。
資本主義
→ 資本主義の本質は「差異から利潤を生み出す」こと。現在の差異の源は、人的資産。個人や組織から不可分な能力・知識・資産。 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00406097
【 電子書籍版 】
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00605271
知ってるつもりだった会社の意外な仕組みや歴史が、面白いように分かってきます。次々に謎が解けていく様は、まるで推理小説のよう! 読後にはジワリと希望がわいてきます。 (出版社HPより) -
事業部ブログ参照 YH
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「利益は差異性からしか生まれない」、「ポスト産業資本主義社会では新たな差異性を次々と創り出して行かなければ生き残れない」という言葉に暗澹たる気持ちになる。本当に創造性のない人間にとって生きづらい時代だと思う。そして不毛だ。
この本を読んで、
差異性とは具体的にどんなものだろうか?各企業はどのような差異性により利益を上げているのか?
なくならない差異性、なくなりやすい差異性は何だろうか?
差異性により利益を得るこの社会は、公平な社会へと向かっているのだろうか?それとも差異(格差)の維持を目論んでいるのだろうか?
もっとよい社会の仕組みはないのだろうか?
…etc というようなことが脳裏に浮かんだので、もう少し考えたり本を読んだりしたいと思う。
読みやすく、それなりに刺激的で、適度に学術的なバックボーンの存在も感じられるということで、経済学関係の最初の読み物として非常に読後の満足感は高かった。 -
読みやすかった。大学一年生にはこの本を必修にしてほしい。今でも読む価値は十分にある。タイトルはタイトルとして、テーマは時勢により古くなるものではない。しかし展望については岩井先生少し甘かったのでは(というか歴史は繰り返されると言ってもグローバル経済と日本政府クソすぎない?)と思う。あるいは大企業正社員男子みたいなクラスを主に想定しているのかなぁ、そんなこともないはずだけど。面白く勉強にはなったけど自分の展望にどう役立てるかはちょっと…時間ができばまとめてから感想を書きたい。