オーウェル評論集 1 象を撃つ (平凡社ライブラリー 687)

  • 平凡社 (2009年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784582766875

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

多様なテーマを通じて、著者の個人的な経験や社会への洞察が鮮やかに描かれています。特に子ども時代の寄宿学校でのエッセイは、無垢な視点から大人や環境によって形成される世界を冷静に分析しており、現代にも通じ...

感想・レビュー・書評

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  • 評論、エッセイ集。
    オーウェル自身の経歴、第二次世界対戦前後のイギリスと占領下の国々、その時代で思想がどのように変化していったかが相当詳しくオーウェル自身やあとがき解説で語られています。
    わたしはオーウェルを読んだことがないのですが、オーウェル小説を好きな人や、占領国と現地国のことを知りたい人にはかなり分かりやすいのかも。
    しかし「オーウェルの書くことと行動は違う。作家だから書くこと全部を本気にしなくて良い」とも聞きます(^_^;) オーウェルは自分では「イギリス帝国主義を憎んでいる」というけれど、本当か?というのはあるようです。
    そしてわたしは、評論としてもよく分からずほとんど飛ばし読みでしたので、以下メモ程度(^_^;)
    詳細は他の方のレビューをご参照ください(-_-;)

    『絞首刑』
    オーウェルは、インド帝国警察官としてビルマ(元ミャンマー)に駐屯していた。
    このエッセイでは死刑囚刑務所で勤務していた。死刑囚の態度だとか、死刑囚を人間と思っていないようなイギリス軍人だとか…

    『象を撃つ』
    警察官のオーウェルの元に、発情期の象が暴れ、象使いが殺された方向が入った。オーウェルは、植民地の人々のヨーロッパの人に対する態度とか、目線とかを語る。
    イギリス人だってことで尊敬される面もあるけれど、唾を吐きかけられることもある。そもそもオーウェルは、祖国を敬愛して任務は尽くすが、帝国主義のことは嫌っているんだが、イギリス人ってことは同じ。
    で、オーウェルは本当は象を撃ち殺すつもりはなかったんだけど、ライフルを持って確認に行くと、町中の人たちがぞろぞろ付いてきて、彼らに押し出されるように象を撃ち殺すしかなくなった。
    宗主国の駐屯兵は、植民地の人々を支配しているようで、でも自分たちこそ彼らに支配されているんじゃないのか。

    『マラケシュ』、『右であれ、左であれ、わが祖国』、『スペイン戦争回顧』、『『動物農場』ウクライナ版への序文』、『なぜ私は書くか』、『一書評家の告白』
    これらのエッセイは彼の生い立ち、政治や文学への考え方が語られるのですが、わたしがオーウェルを読んだことがなく、まとめてのメモにします。

    宗主国と植民地国民が、お互いどんな態度で、どんな風に見ているのか、オーウェルが感じていることとか、ビルマの農民の日常。
    イギリス人にとって普段はビルマの人々は目につかない、それと同じ用に彼らにも自分のことは目に入っていないのだろうってこととか、家畜と人間の生活のこととか。
    紛争などに対して、人々の考えが変わりやすいとか、同じ残酷行為でも騒がられる場合と目をつぶる場合があるとか、戦争の時代を生きるオーウェルが見たもののこと。

    『貧しき者の最期』
    パリの病院に数週間入院していたオーウェルの体験記。
    入院中だからだろうけれど、病院待遇にかなり驚きと皮肉を感じているようだ。病室巡回往診の様子が病床例展覧会?みたいだなとか、入院患者の待遇の悪さとか。
    入院患者同室病人が亡くなることがけっこうあって、それを日常として扱われていることに驚いている。イギリスでは人目につかないように処理していたのに、パリの病院ではに死に対する尊厳が薄いように思ったらしい。
    しかし入院患者って気が滅入ったりして辛辣なこと考えちゃうよね、ってのはある。

    『あの楽しかりし日々』
    オーウェルの通っていた寄宿学校の思い出。
    その学校は基本的に上流階級男児むけだが、大学に奨学金で入れそうな貧しい家庭の少年を学費免除で預かっていた。校長夫妻は二言目にはオーウェル少年に「あなたのご両親にはそんな経済余裕はない」「感謝しなさい」と言われる。
    ヨーロッパの小説を読んでいると「上流階級は下級階級に施しをする」ことが当たり前に求められるけれど、「下級階級の人たちは、上流の私達が施してあげてることに感謝していて当然」っていう考えが見えるんですよね。
    この学校生活も、依怙贔屓、自分でもどうしようもない肉体的事情へも体罰、いじめ、管理が行われて、現在感覚だと完全に虐待(・・; なんだけど、これがヨーロッパ寄宿舎の当たり前だったんだろうなあとも思う(-_-;) 
    学校って社会の出るための教育機関ですが、時代や国により職に就くことが平等ではない場合は、学校での役割が平等な教育ではないだろうなあ。
    オーウェルは「でもこれが当然だった少年時代にはそれなりの楽しさもあったよ」というのは本気なのか皮肉なのか。

    『「私の好きなように」より』
    エッセイ集。戦時中に体験したこと、見聞きしたこと、考えたこと。オーウェルは戦時下の占領国、宗主国イギリス両方を見ているので、「論じられることよりも、今目の前で起きたことが真実を語る」ということを書き残しています。
    …すみませんが飛ばし読み気味(-_-;) この時代を知りたい人には良いと思うんですが。

  • トランプ政権になってからというもの、ジョージ・オーウェルの「1984年」が世界中で空前のブームとなっているようで、なんとも笑えないジョークで恐ろしい。たしかに、全体主義は差別や人権の不平等から始まるのですから(-_-。「1984年」も「動物農場」にしても、全体主義に向かう静かで不気味な過程や陰惨で破滅的な世界を、オーウェルは透徹した筆致で描いています。秀逸な作品たちで感激します。

    そんなオーウェルの評論集を読んでみると、ますます彼の観察力の高さが伝わってきます。文筆家としての視点、政治と世界情勢、ユーモアの分析、イギリスの風土や民衆の文化など多様性にとむ数多くの評論が紹介されていて面白い! なかでも№1の<像を撃つ>と№2<水晶の精神>は私のお気に入り(^^♪ でもでも№4の<ライオンと一角獣>の愛国心の考察もかなりおもしろいねぇ~。

    「私が本気で書いた作品は、どの一行も、直接あるいは間接に全体主義に反対して書いたもの」

    まったく臆することなく、自らの執筆態度を表明する勇気に脱帽。そしてなんといってもオーウェルの文章は明快でわかりやすいのです。率直で気負わず、奇をてらうこともなく、ごてごてした飾り気もない、余計な描写や的外れで使い古された比喩を持ちだすこともありません。ひとたびオーウェルが比喩を使うと、そのあまりの素晴らしさにほれぼれしますよ。タイミングのよさ、読者の読みと想像を滞らせることのない流暢さ、生き生きとした斬新な描写……ふと誰かに似ているな~と思いきや、夏目漱石でした(^^♪

    ずばり核心に切り込んでくる洞察力の鋭さにたじろいでしまって、ときには読み進めることが怖くなることもあります。でもだからこそ、彼が本気で書いた作品は普遍的名作として世界中で読み継がれているのでしょう。一方で、人はいとも容易に忘却の水を飲み干してしまい、またぞろオーウェルの描くような歴史を直接あるいは間接に繰り返そうとするのかな……そんなやりきれなさを覚えながら、でもでも彼の言葉のひとつひとつに力が宿っていて、くりかえし読まずにおれない魅力がいっぱいです♪

    「その虚偽とは、独裁的政府の下にあっても、内面は自由であると信ずることである。……かなり多くの人がそう考えて自分をなぐさめている。なぜこの考えが虚偽なのか。現代の独裁は、実際には昔流の専制支配のようにすきまを残しておかないという事実にはふれないでおくとしよう。また、全体主義的教育方法のために知的自由を求める欲求がおそらく衰えるであろうことにもふれない。そのもっとも大きな誤りは、人間が自律的な個人であると思っていることである。専制政府の下で秘密の自由が享受できるなどと思うのはナンセンスである。なぜなら、人の思想はけっして完全にはその人自身のものではないからである。哲学者、作家、芸術家あるいは科学者さえもが、はげましや読者だけでなく、他の人々から不断の刺激を必要としている。話すことなしに考えるのは、ほとんど不可能である……言論の自由を取り去れば、創造能力は干上がってしまうのである」

  • 絶版だったので図書館で借りました。半分くらいは別の本(光文社古典新訳文庫のオーウェル評論集)で読んだことがある内容だったので、そこは読み飛ばしました。

    子ども時代(寄宿学校時代)を振り返ったエッセイが特に印象的だった。
    子どもは世界を見る目が本当にまっさらなので、上に立つ大人や環境によって子どもの見える世界が作られる、その感覚を忘れずに、大人になってから冷静に分析できるのが凄い。
    作中で語られる学校の話、虐待と不潔具合が現代だったらあり得ないのだが、抑圧される子ども達・学歴信仰の押し付け・家庭の貧富の差による努力してもどうにもならない諦め、みたいなことは今でもあるよなと思った。

  • 収録されているのは、絞首刑 (1931年)、象を撃つ (1936)、マラケシュ (1939)、右であれ左であれ、わが祖国 (1940)、スペイン戦争回顧 (1942)、『動物農場』ウクライナ版への序文 (1947)、なぜ私は書くか (1946)、一書評家の告白 (1946)、貧しき者の最期 (1946)、あの楽しかりし日々 (1947)、「私の好きなように」より (1944-47)。

  • 経験をもとにした評論をメインに収録。難しいセンテンスを用いずに、純粋な感情を発信するオーウェルの文章は、彼が敵視するナチズムのプロパガンダのようでもあるが、それが経験から絞り出されている意味合いで大きく深みがあった。ユーモアもあり、楽しく読めた。

  • 2023 冬 読書会

  • 偉くあるための不自由がある(らしい)社会の上の方の権力構造ってこんな感じなんかな

  • 象をうつはよかった。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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