フォークの歯はなぜ四本になったか (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
3.41
  • (19)
  • (27)
  • (36)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 922
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582766936

作品紹介・あらすじ

2019年7月10日、博報堂ケトルの代表取締役社長、クリエイティブディレクターの嶋浩一郎さんがJ-WAVE「STEP ONE」で紹介、話題です!

人間が加工してつくる道具やモノ、その形は、どうやって進化してきたのか-この問いに、要求される機能に沿って、と答えるのでは不十分。実用品の変化は、それが出来ることではなく、出来なかったこと、不具合や失敗の線を軸に歴史を刻んできた-デザインと技術の歴史に豊富な事例をもって新しい視点を据えつけ、"失敗"からのモノづくりを教える著者の代表作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長い(笑)。論旨は至ってシンプル。UIUXデザインの本質。

    "なぜなら、こうした道具のデザインは、偉大な作り手の頭の中で完璧に練り上げられてから生まれるのではなく、むしろ、それらを取り巻く社会、文化、技術に関連し、使った側の(主に不愉快な)経験を通じて変更が重ねられてゆくものだからである。"

    役者あとがきに倣うなら以下
    "「形は機能にしたがう」のではなく「形は失敗にしたがう」"

  • 普段、わたしたちが”アタリマエのモノ”として目にする食器、文房具、大工道具、果ては建築物にいたるまで、それらがどうしてその形を持つにいたったのか・・・言わばダーウィンの進化論ばりに・・・但し、動物ではなくモノの・・・を徹底的に研究した本だ。

    著者のペトロスキー氏はアメリカの工学者。学者らしいというか何というか・・・彼が最初から最後まで掲げている一貫した主張が「(人間が作る)モノの形は、機能ではなく失敗に従う」である。

    著者はこの主張を証明しようと、本全体の9割近を”うんちく的な話”・・・に割いている。ナイフ、フォーク、スプーン、クリップ、ポストイット、ジッパー(チャック)、ジュース缶、マクドナルドのハンバーガー容器、ハンマー・・・世の中で普段わたし達が目にするモノの進化の歴史についての言及だ。こうした”うんちく”こそが、本書最大の特徴とも言える。

    ところで、1つ難点を挙げるとすれば、この本は読むのに相当な体力を要するということだ。

    読者の理解を助けようと、ところどころに出てくる挿絵はとてもありがたいのだが、残念ながら、取り上げられるモノの数の比して十分な量とはいえない。モノのデザインについて、その細かい部分を文章で描写されても、頭の体操をしたいのならともかく、気軽に読みたい読者にとっては疲労感を増やす要素以外の何者でもない。加えて、著者が終始言及する「ほらね、モノの形は失敗に従うじゃないか!」論・・・こちらについては、どうしても抽象的・概念的な話にならざるを得ず、やはり読んでいると疲れる。

    しかしながら、こうしたネガティブな側面も、数々のモノのルーツを教えてくれる本書の魅力には抗えないと思う。それに、小難しい話は読み飛ばせばいい。

    読んだ次の日から、アタリマエのモノを見て頭がスパークすることうけあいだ。

    「ふーん、このフォーク、このスプーン・・・このお箸は・・・どうしてこんなカタチに決まったんだろう??? なぜ?なぜ?なぜ?」・・・って。

    (書評全文はこちら→ http://ryosuke-katsumata.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html

  • おもしろくて一気読みしました!文章にユーモアがあるのが難めの内容を柔らかくしているなあと思います。軽い読み物には最適でした。
    名著にも関わらず長らく絶版になっていたものが晴れて復刊になりました。これを機にいろんな人に勧めたい一冊。

  • 自分には難しすぎたのか、この本で何を伝えたいのか理解ができず、78頁で断念。。。

  • 桑沢デザイン研究所に進んだ友人の影響で、プロダクトデザインに興味を持ち始めた。私自身はデザイナーでもエンジニアでもないのだけれど、なぜこのかたちをしているのか、そこに美学はあるのかはわりと気になる。
    そこに、フォーク。フォークの歯の数。気になる。今見ると原題は"The Evolution of Useful Things"なので、完全に邦題に釣られてしまっているけれども。

    身近な実用品の改良の歴史をもとにした、実用品進化論。実用品デザインへの好奇心を満たしてくれる本。
    訳者あとがきにあるように「形は機能にしたがう」のではなく「形は失敗にしたがう」が本書の論旨。モノの欠点を修正することによって進化させるのがエンジニアリング、と実例をもとに手を変え品を変え説く。

    が、正直その論旨がどうでもよくなるほど、実用品たちの開発ストーリーが面白い。ゼムクリップの進化をここまで紐解かれると、文房具屋に行ってクリップコーナーを見たくてしょうがない。とりあえず、モノタロウとAmazonを見て満足。
    ジッパーの特許図に目がチカチカし、用途の異なるフォークが何十本も並ぶ様にあ然とする。楽しい。

    ・ナイフとナイフで食べていた
    ・ジグザギング
    ・ジッパーはもともとフックレスファスナー付きブーツの商標
    ・ペットボトルを発明したデュポン社のナサニエル・ワイエスは画家N・C・ワイエスの息子でアンドリュー・ワイエスの兄

  • 所有は復刊前の単行本。

    文章は固いけど、身の回りにある「あれ」がどんな経緯で今の形状になったかを書き起こしている。
    個人的にはポストイット誕生秘話がすき。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN13569777

  • PH1a

  • 表題のフォークをはじめ、ペーパークリップ、ファスナー、ビール缶など、身近なものを題材に取り上げて、デザイン(より正確には、工業デザイン)の本質を探る一冊。
    本書の中で繰り返し指摘しているのは、「形は機能にしたがう」のではなく、「形は失敗にしたがう」のだということ。つまり、前者だとすると、完全無欠な物ができあがれば未来永劫その形は変わらないはずなのに、実際はそうなっていない。物は、その欠点(失敗)を修正することで進化していて、そして何を欠点と見なすかは、人によって異なるのはもちろんのこと、その時代の社会や文化によっても異なる。だから、物の形は変わり続ける、というのがその主旨だ。
    そして、これを裏づけるために引き合いに出しているのが、上述した身近な品々なのだが、なんと言っても、本書の読みどころはこの部分だ。当時の絵や写真と豊富なエピソードを織り交ぜながら、これらの品々の歴史と変遷をたどるくだりは面白い。デザインを学術的に論じているので、若干固いところがあるのは否定できないけれども、それを差し引いても、特にペーパークリップ、ビール缶に関するくだりは秀逸。ビール缶を開ける前に、缶の上部を中心に眺め回すのがもう習慣になってしまった。
    そして、本論から少し逸れるところもあるが、本書は雑学の宝庫でもある。3Mの元の社名がMinnesota Mining & Manufacturingであるとか、マクドナルドのハンバーガーの包装の変遷とか、知っているとちょっと自慢できそうなネタが多くつまっているのも本書の魅力のひとつだ。

全41件中 1 - 10件を表示

ヘンリー・ペトロスキーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×