丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー)

著者 :
制作 : 杉田 敦 
  • 平凡社
4.44
  • (25)
  • (13)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 327
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767001

作品紹介・あらすじ

政治学と日本政治理想史の分野に立ち、戦後日本の思想をリードした丸山眞男。代表的な論考を集め、その思考の特徴と振幅を一望のもとにおさめる。いま、丸山眞男を読みなおすとは何か?その思考から受け継ぐべきものとは何か?編者による懇切な解説とともに、丸山の巨大な仕事に踏み入る最良の入口。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者の丸山眞男は政治学者。専門は日本政治思想史。丸山の文章は高校のとき国語の教科書で読んで記憶がある。

    いまでは忘れられた大学者だが、ここに収められている論文・講演録は読んでも損はないと思う。
    個人的には大変おもしろかったし、勉強になった。

    日本ファシズムの精神構造を分析した論文「超国家主義の論理と心理」や日本人の精神的雑居性について論じた「日本の思想」など有名なものが収められている。どこまで読み込めて理解できたか心許ないけど読み応えありました。たぶんまだ分かってないので再読・・。

    とくに印象に残っているのが「福沢諭吉の哲学」。これは丸山が福沢諭吉の思考方法と価値意識を探り出そうと試みた論文だ。
    このなかで丸山は福沢の独立自尊主義を人間精神の惑溺傾向に対するたたかいである、と論じている。


    その上で福翁百話を引用する。


    「人生を戯と認めながら、其戯を本気に勤めて倦まず、倦まざるが故に能く社会の秩序を成すと同時に、本来戯と認るが故に、大節に臨んで動くことなく憂ふることなく後悔することなく悲しむことなくして安心するを得るものなり」。


    戯(遊び)というものが実体性をもつと宗教的逃避や享楽主義が生まれる。逆に真面目という面が絶対化されると、現在の状況に捉われて自在さを失う。
    ‘真面目な人生と戯れの人生が相互に相手を機能化するところにはじめて真の独立自尊の精神がある’(p124)
    こうした機能化作用を絶えず営む精神の主体性こそ福沢諭吉の人生観であり独立自尊主義を形作っているという丸山の主張に唸るしかなかった。

  • 丸山真男の著作(講演も含む)集。

    政治的な「思惟方法」について、その在るべき姿が模索される。
    日本の伝統的な思惟方法の問題点として、際限のない「無責任」(これは、日本において、中核・機軸となる思想が欠落していること、自由な主体的意識が生まれていないことに一因を帰する)や、「現状追認」(「現実」という言葉が「既成事実」と同義に用いられ、現状の盲目的受容がなされてきた日本の政治にありがちな風景)といった点が、様々な著作において、微妙に形を変えながら指摘される。

    講演録である『政治的判断』では
    ・政治的な責任というものは徹頭徹尾結果責任である
    ・政治から逃避する人間が多いほど、専制政治を容易にする
    ・選挙とは、いわば「悪さ加減の選択」であって、ベストを選択するプロセスではない
    ・「政局」とは「政界」と同義であり、「政局不安定」だからといって「政治的に(あるいは国民生活が)不安定」ということには必ずしもならない
    などとして、政治的な思惟方法の理想形を、具体的に提示する。

    日本政治の腐敗や政治的無関心等が日々問題視されるが、根本的解決の兆しはうかがわれない。
    そうした問題を考察していくに当たり、本書から得られるものは大きいといえよう。

  • 初めて丸山眞男の文章に触れた。難しい言葉を使ってるようで分かりやすい、面白い文章だった。第二次世界大戦期の日本人の精神その他についての彼の考えが目から鱗。こんな教授に出会いたかった。ほんのわずかだが自分がこの世に生を持った時間と彼がこの世に魂を残した時間が被っていることに感動。

  • 日本政治思想史と政治学の知見をもって戦後思想をリードした丸山眞男。その思考の特徴を示す代表的な論考を集め、丸山再認識への最良のエントランスを提供する。編者による鮮やかな丸山論収載。

  • 日本政治思想史において丸山眞男は重要な人物であるが、敷居が高いイメージがあった。この本を読むことで、実際は必ずしも難しい文章ばかりではないことがわかった。丸山は既に死去しているが、今日においても、示唆に富んだ記述が随所にみられる。丸山の文章に触れたことがない人にとっては、一読の価値のある本だろう。

    今日では新聞が社会的な信頼を失いつつあるが、
    「政治は宗教と違いますから、自由主義者が自由主義と名のる政党に投票し、社会主義者が社会主義を名のる政党に投票しなければならないというような、固定的な考え方というものは、政治の場では必ずしも妥当しないんです。それは、ことさら日本の状況ではそうであります。ですから、一見批判的な厳正中立主義の新聞は、日本ではへたをすると政治的無関心を助長するだけです」と丸山は指摘する。
    また、別の箇所では、「現にスローガンにしろ、憲法改正反対、労働三法改正反対、基本的人権を守る、というように、むしろ革新政党の方が保守的な態度で表現されている。ある次元をとれば、何とかして現状を変えようと思っているという意味で、保守党の方が革新的です」と述べている。
    若者の安倍政権支持の背景には、若者が自民党をリベラルと認識しているという指摘がある。丸山が過去にあって未来を予見したといえるだろう。

  • ★ 広国大の電子ブック ★
    Maruzen eBook Library から利用

    【リンク先】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000024222

  • 「超国家主義の論理と心理」をはじめとした彼の代表的な文章をうまくまとめてあります。丸山眞男を持ち歩くのにとても良い本。
    安保闘争を知っている世代はまさに体験として彼を知っているのだろうが、私は彼を原体験として知っているわけではなく、大学の授業で習ってはじめて知った。
    しかし、昨今の日本の政治家の発言を聞いていると、氏が示した戦前の日本戦争に突入していった特殊性が根本では解消できていないことに気づく。
    例えば、国家、国体を区別できない政治家。また、国家を「形式的秩序」としてとらえられない政治家。だからこそ「教育勅語はいいところもあった」などというのだろう。そういった、一級品の戦前の日本の課題の分析を読み解くことで、「超国家主義」の彼の指摘は、単なる過ぎ去った「昔の日本」への指摘ではなく、むしろ今日にその課題が残り、解消されず、再生産されているという我々の危機を知ることができる。
    是非はあるかもしれないが、戦前、戦中、戦後にわたる彼の分析力と明快な文章は一度読んでみたほうがいいと思う。

  • 政治
    哲学

  • 2018/07/15

  • 丸山真男セレクション

全17件中 1 - 10件を表示

丸山眞男の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マックス ヴェー...
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印

丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×