幻のアフリカ (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
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本棚登録 : 137
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (1068ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767056

作品紹介・あらすじ

ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団(一九三二‐三三年)-フランスに「職業的で専門化した民族学」が生まれた画期。本書は書記兼文書係としてレリスが綴ったその公的記録である。だが、客観的な日誌であるはずの内容には、省察(植民知主義への呪詛)、夢の断片や赤裸な告白(しばしば性的な)、創作家、等々が挿入され、科学的・学術的な民族誌への読者の期待はあっさり裏切られる。刊行当初は発禁の憂目にあったのも当然であるが、この無垢で誠実なレリスの裏切りのなかにこそ、大戦間期のアフリカが立ち現れる逆説、奇跡の民族誌。

感想・レビュー・書評

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  • 2016/2/17購入

  • ひとりよがりな独自の世界がある。が、そこから普遍が見出される。つまり、人は独自の世界をつきすすめば良いということ。

    らしい

  • 私が手にしたのは高2の夏の終り、それは1971年に出た外箱つきのイザラ書房版ではなく、1995年刊行の河出書房新社版の単行本でしたが、もちろんミシェル・レリスがのちに著名な民族学者になった人だとは知らずに、その頃夢中になったアンドレ・ブルトンの『通底器』や『ナジャ』とかポール・エリュアールとの共著『処女受胎』、アントナン・アルトーの『革命のメッセージ』やマックス・エルンストの『百頭女』などとともにシュールレアリスムの作品として、熱狂的に夢見心地で読んだのでした。

    今から考えると、そうでもなければこんな572頁(この平凡社版にいたっては、なんと1068頁!きっと文庫本分厚いぞコンテスト第1位かな)にもおよぶ超長い本を読むわけがありません。

    もっとも、この本はシュールレアリスムとは何の関係もなく、シュールレアリストでもあったミシェル・レリスが、マルセル・グリオールという人が団長のダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団という民族学の大調査旅行に同行した時につけていた日記です。

    それは1931年5月19日から1933年2月16日にわたる686日のあいだ、1日も休まず書かれたものです。

    しかもそれは、学術調査の名に恥じない事細かな現地での詳細な出来ごとの描写・記述だけではなく、時として客観性を逸脱した内省的な思索、たとえば悪しき植民地主義へ悪態をついてみたり、現地でみた夢の蒐集だったり、私的な日記に書くならまだしも性的な告白だったり、およそ公的な報告文書には似つかない代物でした。

    まさしく、シュールレアリストたるミシェル・レリスの本領発揮ということで、拍手喝さいを送りたいところですが、そんなものがすんなり受け入れられるはずがありません、案の定、発禁処分の憂き目に会います。

  • 読む前からレビューをかくことの邪道は承知しつつも、この本の外見の奇異極まるプロポーションについては一言言及せざるを得ません。1000ページを越えると、文庫本というより箱です。重いし。

    [読み終わった]
    1930年代に行われた公的なアフリカ調査団の行動記録。あとがきによると書き手のミシェル・レリスはシュルレアリスム運動に参加していた文学者で、この探検が人類学者としてのデビューであるということ。本来日記は調査団の公的な行動記録として、彼が職務の一環として書いたもの。
     しかし内容は、冒頭に宣言されているようにレリスの主観的な記述が多くを占めるもので、特にエチオピアでの調査を記述した第二部ではその傾向が甚だしい。おそらくは、アフリカで「生の現実に身を投じる」ことへの過大な期待を抱いていたであろうレリスが味わう幻滅、自己嫌悪、はては現地の女性たちに向けた生々しい感情(多分にエロティックな)が支配する第二部の記述は、この苦痛なまでに長い日記の一番の読みどころだと思う。
     個人的には、調査団の団長のグリオール氏があまりに世俗的に有能過ぎて、一緒に仕事した訳でもないのになんだか息がつまりそうでした。

  • ミシェル・レリスといえば「闘牛鑑」を読んだことがある。
    闘牛についてはいろいろ論もあるだろうけど、その本じたいはなかなかおもしろかったように記憶している。
    じつのところ今回のがどんな内容かよく知らない。
    でも平凡社ライブラリーでほぼ3000円というのはそうとうなボリュームなんだろうなあと思う。それだけで興味あり。

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著者プロフィール

詩人・民族誌学者

「2018年 『ゲームの規則Ⅳ 囁音』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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