絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)

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制作 : 飯島 周 
  • 平凡社 (2010年8月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767063

作品紹介

一人の男がひょんなことから、わずかな燃料で膨大なエネルギーを放出する画期的な器械「カルブラートル」を発明した。だがこの器械はエネルギーだけでなく、あらゆる物質に封印された「絶対=神」をも解放してしまう恐ろしい器械だった。やがて目に見えない絶対が世界中に溢れ、人々を未曾有の混乱に陥れる-『ロボット』『山椒魚戦争』の作者による傑作SF長編。兄ヨゼフによる挿絵付。

絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)の感想・レビュー・書評

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  • 『山椒魚戦争』は特定の人物に視点を絞ったから長篇小説として成立してるけど、この作品は多様な視点が浮遊してる感じがする(歴史の記述とも重なる?)最後やや説教臭いのもあまり好みではなかった。
    ただそれをおいても、この作者一流のユーモラスな調子は他に替え難いもの。新聞や論文、また「年代記作者」としての作者など多様なスタイルを取り込んだ構造。また兄ヨゼフによる挿絵もとても洗練されている。

  • 「ロボット」という語を作った(らしい。この点は後から知りましたが)、カレル・チャペックの長編。

    莫大なエネルギーをわずかな資源で生み出すことのできる機械「カルブラートル」が発明されたところから物語は始まります。その機械が生み出すエネルギーの副作用として、資源の中に囚われている神(この作品の中では「絶対」と呼ばれているもの)も引き出されてしまう世界を想定したSF作品です。

    序盤は「絶対」が生み出されたおかげで、みんなが信心深くなったり隣人愛を実現したり預言を与えられるようになったりと、比較的好ましい変化が描かれてますが、後半ではお互いが進行する真理がぶつかり合う結果、対立や戦争が引き起こされ、世界が破滅に向かっていきます。
    端的に言ってしまえば、この作品は「自身の信仰への盲目的な追従と、それに合致しない個人や世界を許せないが故の排斥と闘争」という、よくあるテーマの一つに依拠していると言えてしまうでしょう。

    中盤から、やけに話がとっ散らかるし文章の雰囲気も変わるしで、どうしたのかなーと思っていたんですが、全30章のうち12章までは最初にできていて、そこから先は新聞連載が進む中で追われるように書き連ねられていった、という内情が分かって、妙に納得できました。特に最後の5章分ぐらいでの、「何とかして話を収束させてやろう」という意図からの、力技とも言える世界の閉じ方は、個人的にはあまり好きにはなれませんでした。序盤、あんなに丁寧に描かれていたカルブラートルやその発明者、そしてそれを世界に広めた人物のその後には、ほとんど触れられずに終わっているところからも、作者が途中で「きれいに大団円を迎える」ことを諦めたように感じられます。

    20世紀初頭のSF小説の代表作の一つであることには変わりがないし、偏狭的な信仰は対立と暴力を生む、ということへの教訓として読むには好いのかも。ただ、その教訓を学ぶならば、「事実は小説より奇なり」ということで、今のイスラエルとパレスチナや、アメリカとイスラムとの戦いを紐解いた方が、ナンボか有益かもしれません。

  • カルブラートル(原子炉)から発生する副産物ー絶対(神、真理)ーのために翻弄される人間の性を喜劇風に描いた作品。

    原子力とそこから発生する副産物と聞いて平常な心持ちではいられないが、この作品においてこの科学と文明の問題は伏線にすぎない。
    大きなテーマは誰もがそれぞれの真理を持ち、そして他人が自らの真理を信じたりはしてくれないという事実に対して私たちは寛容にならなければならない、ということだ。

    確かにこのテーマをまとめるには、構想が十分でなく、展開もめまぐるしいという感じは否めなかったが、チャペックの心は十分に伝わってきた。
    この作品が上梓されてから1世紀弱もの月日が経とうとしているが、私たちはいまだにこの手の不寛容さから逃れられてはいないのだから。

  • 遠い方の図書館。
    チャペックの「園芸家12ヵ月」は愛読しているけど
    他の作品は「ダーシェンカ」しか読んでないなあと思って借りてみた。
    (11.11.18)

  • 2011年6月19日読み始め 2011年6月21日読了
    カレル・チャペックは「ロボット」がとても面白かったので、この作品も手にとってみたのですが、ちょっとイマイチだったかも…
    設定は非常に興味深いのですが。タイトルもそそるのですが…。
    チャペックは「山椒魚戦争」も有名なんでいつか読んでみようと思います。

  • 物語の後半が失速していて文学性や作品の完成度はバルザックに及ばないが、「絶対」というテーマを別角度から照らしていて一読に値する。脳機能を司る理性と感情は、外へこぼれ落ちて科学と宗教となる。人間が絶対や真理を求めずにいられないのは脳が二つに割れているためだ、というのが私の持論である。

    http://sessendo.blogspot.com/2011/06/blog-post_395.html

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