- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582767261
作品紹介・あらすじ
自分にとって大切な本を読み返してみませんか。その営みは、忘れていた自分の感性や思索の煌きを手繰り寄せ、これからの人生を味わい深いものにするに違いない。作家柳田邦男が若き日にこよなく愛した、井上靖『あすなろ物語』からゴーゴリ『外套』まで、名作二四編との再会の手記。心の歴程を旅する柳田式「再読」のすすめ。
感想・レビュー・書評
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私にも懐かしい本が、柳田氏にも!、と登場することは嬉しい。約50年を経てどう受け止め方が変わったかは、私自身も興味がある。著者もその経験をしている。「風立ちぬ(堀辰雄)」「測量船(三好達治)」「あすなろ物語(井上靖)」「トニオ・クレエゲル」「青春彷徨(ヘッセ)」「異邦人」「千曲川のスケッチ(島崎藤村)」「野火(大岡昇平)」「賢者の贈りもの(オーヘンリー)」など。一方で知らなかった人尾崎喜八の「山の絵本」は新発見。童心に帰るという意味でぜひ読んでみたい。シューマンの「詩人の恋」の「限りなく美しい5月の月に」を何度も口ずさむ場面が出てくるとのこと!文章も美しい。太宰治の「ダス・ゲマイネ」はドイツ語での俗物という意味と津軽弁の「だからダメなんだ」の意味の掛け言葉らしい。太宰らしい。決して読みたいと思わないが・・・
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非常に読みやすく、読書欲が刺激された。本の内容紹介だけでなく、柳田さん自身がどのようにその本に出会い、どのような刺激を受けたのかが、詳細に書かれており、本というのはやはり出会い方も含めて、読み手に影響を与えうる存在なのだと改めて感じた。
映画化されて注目を浴びた「風たちぬ」はもちろん、太宰や芥川の著作に関しても、まだまだ目を通していないものが多いのだなと反省する一方、尾崎喜八に関する章では新たな読書欲が刺激されるのを感じた。
気楽に読める一冊として、お勧めできる本である。