新装版レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー)

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582768152

感想・レビュー・書評

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  • 同じく平凡社ライブラリーから刊行されている『ゲイ短編小説集』と対をなすのが本書、『レズビアン短編小説集』。長らく入手困難な状態が続いていたが、新装版として復刊された。
    収録作家の中で馴染みがあるのはヴァージニア・ウルフ、イサク・ディーネセンの2人だろうか。他の作家は余り馴染みが無い……と思われる。今の感覚で読むと『これってレズビアンか?』と首を傾げるものもあるが(これは「ゲイ短編小説集」にも言える)、テーマ性のある文学史上ではそう判断される……んだろうなぁ。学術的なことはよく解らない。ついでに言うと、男性同士であれ女性同士であれ、『同性愛文学』の定義もイマイチはっきりしていないような気もするw 誰かはっきりさせてくれないかw

    前述のヴァージニア・ウルフ、イサク・ディーネセンの短編がやはり抜きん出ていると感じたが、その他で印象的だったのは『マーサの愛しい女主人』『ミス・オグルヴィの目覚め』。また、『女性同士』と聞いて想像されそうな、ロマンティックさ、リリカルさが殆ど感じられなかったのも面白い。

  • BOOKMARK 第10号 特集『わたしはわたし、ぼくはぼく』掲載
    http://www.kanehara.jp/bookmark/

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    幼なじみ、旅先での出会い、姉と妹、ためらいと勇気。見えにくいが確実に紡がれてきた「ありのままの」彼女たちの物語。待望の再刊!
    http://www.heibonsha.co.jp/book/b181256.html

  • ガチでの同性愛だけじゃなくて、親愛とか友情とかそういう感情も含めた大きなくくりでのレズビアン短篇集

  • 「マーサの愛しい女主人」新人メイドがうまく働けるように気遣ってくれた一度会ったきりの主人の姪を思い続ける

    「ライラックの花」が咲く頃になると何もかも投げ出し懐かしい修道院へ帰らずにはいられなくなる女優のアドリエンヌだが、ある年修道院は門を閉ざす

    「トミーに感傷は似合わない」父に代わり銀行を切り盛りする男勝りのトミーは連れてきた大学の友人と幼馴染のハーパーが恋に落ちるのを応援してやる。トミーの立場はクィア的。

    「シラサギ」標本作りにシラサギが欲しい青年に10ドル提示されるがシルヴィアは居場所を答えられなかった。

    「しなやかな愛」ディナーを終え彼女とホテルの部屋に戻ったら失ったと思った若さを再び見出した

    「ネリー・ディーンの歓び」町一番美しい彼女が望まぬ結婚して子供を産んだが彼女は死んだ。親友だった主人公は育て親達と子供の元を訪れる

    「至福」ミス・フルトンに恋をしているバーサだが、夫は妙に彼女に興味なさげ、しかしディナーへ呼んだ帰りに夫が告白しているのを目撃する。
    夫をパートナーとして慕っているが、フルトンに恋して始めて愛しく思うってのも愛の複雑さ深さを表していて面白いし他の登場人物も魅力的だった。

    「エイダ」結婚せずとも家族を愛し好きな女性と完璧に幸せになることができた女性の話

    「ミス・オグルヴィの目覚め」男勝りの生き方を好んできたミス・オグルヴィはある時訪れた島で前世に目覚める
    壮大。孤独の井戸も読まなくちゃ。

    「存在の瞬間ーースレイターのピンは役立たず」と言われた時からこれまでのことを回想し、彼女の言葉の意味を悟る。そのように立ち上らせる色気の空気感がさすがウルフだ

    「ミス・ファーとミス・スキーン」わざとくどくどしい繰り返しの文体を重ねて行く。そうして彼女達がいかにきちんきちんと何度も楽しく過ごしてきたか、生活を堕落させず、自立して、男抜きでちゃんと楽しかったことを強調させているのだと思う。

    「無化」病的な女性に息子のいる家に連れていかれ、一年すごすが、彼女に息子と同じような閉じ込められそうな発言を聞いて出ることに。話し手のドイツの印象はその体験に終始するようだ

    「外から見た女子学寮」何かになる前のある少女のモラトリアム。

    「女どうしのふたり連れ」男と付き合ってると喧嘩になり突き放されたネコの方が母が安心するから男と付き合うと言うが、やはり生理的に男を拒絶してしまう。そんな彼女をタチは愛おしげに抱き寄せる完璧な百合小説だった

    「あんなふうに」5歳上の姉が彼氏と喧嘩してメソメソしたりしているのを見て、悲しくなるしぶちたくなるし、そんなように男の子を好きにならないと決意する13歳の妹。
    ボカァこういう姉妹百合大好きですね。仲良しだった姉が恋でメソメソするなんてみてらんないムカつくって妹最高だと思う。最初の喧嘩が姉の初潮だったのも最高。

    「なにもかも素敵」週の半分はイスラム教徒の家で残りはキリスト教徒の家で過ごすジーニが出会った現地人ゾリアーティとの出会い。エキゾチックな魅力。

    「空白のページ」婚礼のシーツについた処女の証で花嫁を占う風習がある中で、唯一血の跡がないシーツがある。一体これは何を意味するのか? 物語は空白だからこそエクスキューズが膨らむ。ディーネセン、さすがの面白さ。

  • 言葉から想像されるより遥かに広い意味でのレズビアン短編集。
    “しなやかな愛””存在の瞬間”など、分かりやすく面白いものもあるが、この本を入り口に小説の渉猟をしようという目論見は潰えた。次に手を出したい・出すべきものが見えてこない。
    吉屋信子の偉大さを再確認した次第。

  • ハーブキャンディみたいな1冊。甘さを抑えた大人テイストで、ほんのりと風味を味わうことができる。諸外国のレズビアンがどういう過程で人を好きになり、その愛を伝えるためにどういう表現をするのか知れたらなぁと思ったけど、どの話もなんだか色々と控えめだったように思う。泉のように溢れてくる愛情を抑えきれずに我を忘れて突っ走る激情型なわけでもなく、もやもやする思いを伝えられずに甘酸っぱく残した記憶を美化する純情型でもない、恋愛感情というよりも憧れや畏怖に近いのかもしれない。修道女がよく出てくるのもあるけど、宗教が生活のベースにあれば自ずとそうなるのか。甘美なテーマで甘美でない、大人な1冊でした。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:933.78||R
    資料ID:95170883

  • なんというか、孤独を愛する/成熟しない/変わり者/研ぎ澄まされ女子大集合、といった様相となっている。

    マッカラーズが、(今まであまりそう感じたことがなかったのだけれど)意外と現代的に感じられた。

  • (後で書きます)

  • このアンソロジーの「レズビアン」の定義は「女性同士の豊かな内面生活の共有、男の専制に対抗する絆、実践的で政治的な支持の与え合い」、かつ社会的にモラルの規制が厳しい19世紀末〜20世紀初めに活動した女性作家の作品なので、現代的な観点ではほとんどレズビアンではない小説ばかり。女性同士の関係があっても「強い絆」程度に読めるし、カップルですらなく男性に束縛されない女性像、女性だけの世界の開放感、というものも多い。
    ウルフの作品含め、発表する際にレズビアンの暗喩を隠しているものもある。ガートルード・スタインの「楽しい」を連発する作品、言語では「gay」で、発表当時同性愛という意味はほとんど知られていなかった、となると解説を読まないとどこがレズビアンなのかまるで分からない。(この作家は現代の奇想系小説みたいに独特の作風)
    女性カップルはおろか女性同士の絆が描かれないということは、それほどタブー視されてきた、軽視されてきたということでもあろう。現在でも映画をベクデルテストにかけると合格するのは5割強だという。他方、男性同士のバディものなどはいくらでもあるだろう。このシリーズでゲイ短編集もあるそうで、テイストの違いは確認してみたい。
    作家はすべて女性だということも、解説を読んで気づいた。ディネーセン女性だったのか(苦笑)読んだことがあったのはヴァージニア・ウルフ、キャスリン・マンスフィールド、イサク・ディネーセンくらい。ジェイン・ボウルズはポール・ボウルズの妻なのか。

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著者プロフィール

イギリスの作家。1882年ロンドンで生まれる。作家・芸術家・批評家のサークル〈ブルームズベリー・グループ〉に加わり、1915年、第一長篇『船出』を発表。〈意識の流れ〉の手法を用いた『ダロウェイ夫人』(25)、『燈台へ』(27)、『波』(31)で先鋭的なモダニズム作家として高い評価を得た。1941年、『幕間』(没後出版)の完成原稿を残して入水自殺。

「2020年 『フラッシュ 或る伝記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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