自分ひとりの部屋 (平凡社ライブラリー)

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本棚登録 : 351
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582768312

感想・レビュー・書評

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  • 女子大生向けの講演をベースに書かれた「フェミニズム批評の古典」。ウルフの個人的な随筆を期待して手に取った者としては少々構えてしまったが、肩ひじを張った雰囲気ではなく、「女性が書く(自分にとって良いことをする)ためにはどうしたらいいか」についてのウルフの考えを、20世紀前半の女性の立場、文学史に登場した女性たちとその作品に対するウルフの論に沿って知ることができた。

    「なんとしてでもお金を手に入れてほしいと思っています」と結論で彼女は述べているが、それは本当に必要なことで、経済的自立なしにありたい自分のまま生きることはできない。また、文学にしろ女性解放運動にしろ、何かが起きるにはその前段階を用意してくれた世代がいるのだという視点になにか元気づけられた。前の世代に感謝しながら次の世代のためにも道を拓く努力をすべきだということ。男女を問わず、性別が理由で方向付けや強制をされない世界を望み続けたい。

    現時点で最も新しい訳の本書は訳注が非常に丁寧につけられている。英文学の知識がなくても読み進められるようになっているので、進路を考え始める高校生が読んでくれたらなあと思う。

  • なんか気難しそうで(失礼)敬遠していたウルフだけど、ユーモア精神のある素晴らしい講演だと思う。小説の「誠実さ」についてということが心に残った。しかし私はシャーロット・ブロンテのことは少し擁護したくなった。「私が私であること」のなかには、憤懣も、責任感もあって、それがシャーロット自身であったのなら、それはそれで受け入れられる。(これは読む側の私自身にはめられた枷もあるのだろうか?)
    押し付けられた価値観や役割を取り除いて、あるがままの私、でものを書くということ。あるがままの自分ってなんだろうな。

  • アン・モロー・リンドバーグの「海からの贈り物」を思い出す。
    主旨に沿っても素晴らしいと思うけれど、彼女の小説や詩に対する考えに恐れ入る。まさに、
    ーひとは読みながらすべての語句、すべての場面に光を照らしてみます。-<これこそ、自分がいつも薄々感じていたこと、わかっていて待ち望んでいたことだ!>と叫び、興奮に沸き立ちます。そして本を閉じる時にはますます恭しく、まるでその本がたいへん貴重なもの、生きているかぎり立ち返ることのできる盟友とでもいうように、本棚に戻すのですー

  • はじめは女性の扱いの記述に悲しくなってくるけれど最後は希望を感じられた。励まされているようだった。

  • フェミニズム古典。非常に読みやすく示唆に富んでいる。
    「私が簡単に飾らずに申し上げたいのは、何よりも自分自身でいることの方がはるかに大事だということです。他のひとたちに影響を与えようなどと夢見るのは止めてください。」人生の箴言

  • 100年近く前に書かれたとは信じられないくらい、今の日本で読まれるべき本。何度も読み返したい。

  • 女性論、文学論として忘れたくない一冊。
    5章までは意識の流れ的に思索の過程がつづられ、6章でまとめての見解が述べられる。

    著者はすぐれた精神は両性具有であること、そして人の心に伝わり、人の色々な想念を生み出し、色々な能力を呼び覚ます文学(精神の系譜?)には、精神の男性的部分と女性部分の共同作業がかかせない、と述べる。

    作家とは〈現実〉を見据え、収集して読者に提示する方法を主にとるので、女性も収入を持ち、自分の部屋を持って〈現実〉を見据えるように。作家でなくても〈現実〉は人生を活力あるものにする、と述べる。ウルフ自身は親戚からの遺産収入があった。

    個々人の生でなく女性全体の生を考えるなら、現在の女性のがんばりにより、将来の女性の未來は明るい、と著者は希望を持ち、具体的アドバイスもしている。
    跳躍することだけを考えてね。
    何より自分自身でいることが大切。自分のヴィジョンを少しでも変更してはいけない。
    子供はたくさん持たなくていい。

    この本が書かれて一世紀近いが、事態は驚くほど変わっていない、特に日本では。妊娠、出産、育児をどのように個々人の生活、社会制度の中に組み入れていくのか。
    自分だけの経験に終わらず、現在の女性たちが連帯して未来の女性たちのために取り組まないと、女性の未来を変えることはできないのではないだろうか!

  • フェミニズムと文学についての講演をまとめ直したもので、これがめちゃくちゃ面白い!
    名著。
    ご家庭に一冊レベルの名著!
    小難しいんだろうなと思って取り掛かったのだけど、「シェイクスピアに妹がいたら」なんてフィクションを作ったり、大学や図書館を講演内容をまとめるためにさ迷う自分を描写したり(それもフィクションなのだけど)、軽快な小説を読んでいるように、するする入って来る。
    ウィットに富んだ文章も心地好い。
    翻訳と注釈のつけ方も見事。

    「想像上の女性は第一級の要人なのに、現実では完全に軽んじられています。詩においては全編にわたり登場するのに、歴史においては存在していないに等しいのです。」

    短い文章で、この鮮やかさ!
    更に素晴らしいのが、女性作家と女性全般の地位向上で終わらないこと。

    「男の部分しかない精神ではたぶん創造はできず、女の部分しかない精神でも不可能なのです。」

    ここでは創作について述べられているけれど、もっと広げて読んでいいところだろう。
    男性と女性、どちらもがどちらもの精神を持つ、そこがスタートなのだと思った。
    フェミニズム史としても文学史としても読み物としても面白い。
    何度も読み返したい本だ。

  • 女性と小説がテーマの講演会を文字にしたもの。
    正直、前半とか特に???だったりしたのですが、メッセージはビシバシ伝わってきました。
    結局、自立してないと書きたいこと書けないし、お金ないと、自分と向き合う時間もない。
    だから、お金と自分一人の部屋が必要と。
    現実を見つめ、現実と向き合って生きていこうと言うメッセージで、言うべきことははっきり伝えつつ、温かく背中を押すような言葉に感じた。
    あとは、良くも悪くも、古さをあまり感じない。

  • なんだろう、頭に全然入ってこない

    お金と自分ひとりの部屋が必要

    これは、今の日本となってはそんなもの男ももってないよ、と思う

    でも、日本語訳がよくないのか?言葉が頭に馴染まなかった

    三章の終わり、シェイクスピアの作品には、本人を見出させるような歪みがない、というようなことが書いてあったけど、そこは面白かった

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著者プロフィール

イギリスの作家。1882年ロンドンで生まれる。作家・芸術家・批評家のサークル〈ブルームズベリー・グループ〉に加わり、1915年、第一長篇『船出』を発表。〈意識の流れ〉の手法を用いた『ダロウェイ夫人』(25)、『燈台へ』(27)、『波』(31)で先鋭的なモダニズム作家として高い評価を得た。1941年、『幕間』(没後出版)の完成原稿を残して入水自殺。

「2020年 『フラッシュ 或る伝記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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