夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺 (平凡社ライブラリー 978)

  • 平凡社 (2024年12月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (424ページ) / ISBN・EAN: 9784582769784

作品紹介・あらすじ

名著『逝きし世の面影』の著者は、真の読書人としてこよなくファンタジー小説を愛した。不朽の名作『ナルニア国物語』『指輪物語』『ゲド戦記』をはじめ、イギリス児童文学、英雄譚(『アーサー王物語』)、北欧神話(『エッダとサガ』)のほかウィリアム・モリスの文学やケルトの妖精物語などをその成立背景とともに紹介する。知識と考察をあまねく注ぎ、今を生きる人々に読書の楽しさと学ぶ喜びを説く傑作評論。
解説:鈴木敏夫(スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)


【目次】
第一講 読書について
第二講 『ナルニア国物語』の構造
第三講 C・S・ルイスの生涯
第四講 トールキンの生涯
第五講 中つ国の歴史と『指輪物語』
第六講 『ゲド戦記』を読む
第七講 マクドナルドとダンセイニ
第八講 英国の児童文学1 グレアムとボストン
第九講 英国の児童文学2 ファージョンとトラヴァース
第十講 アーサー王物語とその周辺
第十一講 エッダとサガ
第十二講 アイルランドと妖精
第十三講 ウィリアム・モリスの夢
第十四講 チェスタトンの奇譚
あとがき
解説――石牟礼道子さんと宮?駿と『ゲド戦記』と/鈴木敏夫

感想・レビュー・書評

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  • 『夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺(上・下)』渡辺京二著(亜紀書房・各1870円)|【西日本新聞me】
    https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/576683/

    小さきものの声を聞く〜思想史家・渡辺京二の遺言〜 - こころの時代〜宗教・人生〜 - NHK(初回放送日:2023年1月8日)
    https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/2J1872N52W/

    亜紀書房 - 夢ひらく彼方へ〈上〉 ファンタジーの周辺
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=913&y=2019

    夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺 - 平凡社
    https://www.heibonsha.co.jp/smp/book/b652518.html

  • ファンタジーが好きならば呼んでおけと友人がお勧めしてくれました。

    渡辺京二さん。初耳です。
    もう亡くなられていますが、80歳を過ぎて講演で話した内容を書き起こした物のようです。口語体で書かれているので話しかけられてる風です。

    ファンタジーの王道、ナルニア物語、指輪物語、ゲド戦記等等の著者や当時の時代背景、友人関係、作品の紹介などなどとにかく情報が多い。

    最初CSルイスの生涯から始まるのですが、ナルニア物語を私は読んだことがないので作品の紹介を少し触ったところで一端読み飛ばして次の章へ(ネタバレ好まない、さらの状態で読書は楽しみたい派です)トールキンも彼の紹介はすっかり読んで、指輪物語の章はパス、、、。
    さあお待ちかねルグウィンの番。ゲド戦記は半分まで読みましたのでそこまでの箇所を読んでみたらこれが面白い。京二おじいさんの解釈で
    、そう、あらすじもわかりやすいし、物語の背景の紹介とか、ポイントとなる場面が実にスッキリと紹介されてまして唸りました。作者の背景も詳細にお調べされているようなので作品の解釈が奥が深いんですよ。

    →これは、絶対に一度ファンタジー自体を読んだ後に読むべき本だと確信しました。そうすればものすごく楽しめる本であります。

    というわけで、最後まで沢山の作家さんと、著名な作品の紹介が続くので随時読み飛ばしながら一端終了。ちなみに上橋さんやJKローリングなど今の時代の作家さんは紹介されてません。



  • 渡辺京二氏による英国ファンタジーおよび関連文学の案内。渡辺氏がファンタジー文学を愛好していたとは知らなかった。トールキンの『指輪物語』以外は読んでいなかったのでなるほどという感じ。まあ、渡辺氏らしく結構難しい部分もあるけど(知識が追い付かない)。とはいえこれからこういう作品をじっくり読んでいく時間は私にはないだろう。そういう意味でも参考になった。まあ、いくつかは読んでみたいと思ってはいるが(とりあえず『ナルニア国』を古書で注文したりして)。

  • 1. はじめに
    本書は、ファンタジー文学とその創造の背景についての深い洞察を提供している。特に、C.S.ルイスやJ.R.R.トールキンの作品を通じて、文学が持つ物語性や神話的要素がどのようにして現代に影響を与えているのかを考察する。

    2. ファンタジー文学の特性
    - 神話や伝説とのつながり: ファンタジー文学は神話、伝説、民話など人類の文化の根源から直接的に派生している。これにより、作品は古代の物語と深く結びついており、読者に強い感情的な響きをもたらす。
    - 現代における神話の再創造: ルイスやトールキンは、古典的な神話のテーマを現代的な文脈で再創造し、新しい物語を生み出している。

    3. トールキンの作品の重要性
    - 中つ国の創造: トールキンは『ホビットの冒険』や『指輪物語』において、完全なファンタジー世界を創造した。彼の作品は、詳細な歴史、地図、キャラクター設定を持ち、読者を豊かな想像の世界に誘う。
    - 『シルマリルリオン』の影響: 彼の未完の作品『シルマリルリオン』は、彼のファンタジー世界の根源を探る上で重要な役割を果たしているが、難解であり、翻訳されたものは限られている。

    4. C.S.ルイスの物語作り
    - ナルニアシリーズの特徴: ルイスの作品は、単純な物語構造とリアリズムを兼ね備えており、古典的なおとぎ話の形式を取り入れつつ、現実的な描写を加えることで深みを持たせている。
    - 信仰と道徳のテーマ: ルイスの作品には、信仰や道徳に関する深い考察が含まれており、特に『ナルニア国物語』では、自己犠牲や信じることの大切さが強調されている。

    5. ファンタジー文学の伝統
    - 英国の少年少女の伝統: ルイスやトールキンのような作家は、英国の文学において独自のファンタジーの伝統を築いてきた。若い頃からの空想や物語作りを楽しむ文化が、彼らの作品に影響を与えている。
    - 現代ファンタジーへの影響: 彼らの作品は、今日のファンタジー文学や映画に多大な影響を与えており、神話的要素や冒険のテーマは現在も多くの作品に見られる。

    6. 結論
    本書は、ファンタジー文学が持つ深い文化的背景とその現代的意義を探求している。特に、トールキンとルイスの作品を通じて、神話がいかに再創造され、現代の読者に訴えかけているのかを明らかにすることで、ファンタジー文学の価値とその影響力を再評価する重要な視点を提供している。

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著者プロフィール

1930年、京都市生まれ。2022年12月逝去。熊本市在住。日本近代史家。主な著書に『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)『近代をどう超えるか―渡辺京二対談集』『もうひとつのこの世-石牟礼道子の宇宙』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ-わが思索』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『江戸という幻景』『荒野に立つ虹』『未踏の野を過ぎて』『幻のえにし-渡辺京二発言集』『肩書のない人生—渡辺京二発言集2』『小さきものの近代』(以上、弦書房)『黒船前夜-ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞、洋泉社)『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)『原発とジャングル』(晶文社)など。

「2025年 『(新装版)死民と日常 私の水俣病闘争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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