知事抹殺 つくられた福島県汚職事件

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582824544

作品紹介・あらすじ

東京一極集中に異議を唱え、原発問題、道州制などに関して政府の方針と真っ向から対立、「闘う知事」として名を馳せ、県内で圧倒的支持を得た。第五期一八年目の二〇〇六年九月、県発注のダム工事をめぐる汚職事件で追及を受け、知事辞職、その後逮捕される。〇八年八月、第一審で有罪判決を受けるが、控訴。

感想・レビュー・書評

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  • 「うつくしま ふくしま」をスローガンに福島原発の危険性を指摘、原発問題に真っ向から挑んだ元福島県知事。彼はその後でっち上げの汚職事件で抹殺された。今こそ読む本!!!
    あの事故があってすぐ書いた感想文がブログにあり↓
    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-389.html

  • 新聞報道で,この本の著者が知事であったころに逮捕されたことを知った時,「また知事の汚職か」程度にしか思わなかった。しかし,実は知事の仕事を務める福島県のために(地方自治のために),著者は官僚組織,(原発問題については)大企業と闘った。しかし,それが「国策捜査」を生み出し,身に覚えのない罪で逮捕されるに至る。
    知事としては真摯に仕事をしたにもかかわらず,いや,それゆえにというべきか,こうした事態に至った経過がよく書かれている。
    「国策捜査」という言葉は,佐藤優氏が一般人に知らしめた言葉だったと思うが,佐藤氏,鈴木宗夫氏の例,また「国策捜査」ではないかもしれないが「検索の描き出したストーリーに沿った犯罪」をでっち上げられて人生の貴重な時間を国家権力に拘束された国家公務員など,最近は枚挙にいとまがない(冤罪は今に始まったことではないが)。

    「国策捜査」である以上,裁判の上告審でも無罪となることは難しいだろう。しかし著者がいうように,賠償金の発生しない収賄罪,という奇妙な判決を出さざるを得ないということであれば,著者の無実性は明らかだと思う。

  • 原発事故を受けて読んでみた本。こういう権力サイドの陰謀論は何冊も読んだが、どうも苦手かも。この本の質がどうこういうより、こういう恨み辛みがこもった本を読むこと自体、僕の体があまりうまく受け付けてくれないのでしょう。僕の故郷の島根もそうだけど、これから地方は原発のリスクとお金の問題をどう扱うか、リアルに深刻な悩みになっていくと思う。沖縄の基地もそうやけど。

  • 検事というのは怖ろしい人だな

  • 町田図書館

  • いや、大変に面白かった、限りなく★5つに近い★4つ。
    本書を原作とした映画が近く公開されるとの記事をフェイスブックで見ました。
    迂闊なことに、それまで本書の存在そのものを知りませんでした。
    2009年に初版発行された本です。
    著者は参議から福島県知事に転じ、県発注のダム工事を巡る汚職事件で知事を辞職、その後、有罪判決を受けました。
    検察の取り調べを受ける場面が、本書の白眉でしょう。
    硬軟織り交ぜて時に厳しく、時に懐柔して自白を迫る検察の手管には恐ろしさを覚えました。
    これだけ執拗に過酷な取り調べが続けば、どれだけタフな人でも音を上げるというもの。
    実際、この事件で検察の取り調べを受けた関係者は、心身がぼろぼろになって虚偽の自白に追い込まれ、自殺を図る人まで出てきます。
    著者も、何より大切にしてきた支援者を次々としょっ引くと脅され、次第に追い詰められていきます。
    このあたりの描写はさすがに緊迫感に満ちており、固唾を飲んで読みました。
    「あなたが了解すれば、全体がきれいに決着していくよ」と、著者の取り調べを担当した山上検事は実に巧みに誘導していきます。
    著者は独房でノートに「山上君はいい検事だ」と記しました。
    検事の描いた犯罪の絵はあちこちに綻びが露呈しているにも関わらず、裁判所は被告に厳しい判決を下しました。
    日本では、起訴されると99%は有罪となります。
    検察ににらまれたら終わりだということでしょう。
    著者はたしかに、国家にとって「好ましからざる人物」でした。
    原発を推進する東電や経産省、原子力安全・保安院に立ち向かい、道州制などに関して政府と真っ向から対立しました。
    その力の源泉が、田中角栄さえも認めたほど、自ら地道に選挙区を回って作った強固な支持基盤です。
    ただ、汚職事件で足元をすくわれました。
    著者の弟の取り調べを担当した検事が、いみじくもこう言ったそうです。
    「知事(著者のこと)は日本にとってよろしくない。いずれは抹殺する」
    国家権力の恐ろしさの一端をまざまざと見せつけられるような言葉です。
    個人的には、前に勤めた会社で小泉改革をウォッチしながら記事を書いてきただけに、いわゆる「三位一体改革」を巡る国と知事会の攻防を大変興味深く読みました。
    当時、「改革派知事」と呼ばれた知事たちが、いかに腰抜けであったかも分かります。
    いや、大変に得るものの多い読書でした。

  • 国の原子力政策に疑問を投げかけ続けた知事が官僚に抹殺される様子が克明に描かれている本。陰謀ってこうやって作られていくんだなって読んでいて少し怖くなった。
    それにしても知事は文章がうまいなぁ。

  • 前半、知事時代の業績の自慢タラタラでかなりウンザリさせられるが、それもこれも「抹殺」された人間の言葉と思うと重みが違う。

  • 原発文化人に記載の佐藤元福島県知事の話。

  • 日本の構造は変えられないのかもしれない。

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著者プロフィール

1939年福島県郡山市生まれ。福島県立安積高校、東京大学法学部卒業後、日本青年会議所での活動を経て、1983年に参議院議員選挙で初当選、87年、大蔵政務次官。88年、福島県知事選挙に出馬し、当選を果たす。東京一極集中に異議を唱え、原発問題、道州制などに関して政府の方針と真っ向から対立、 「闘う知事」として名を馳せ、県内で圧倒的支持を得た。第5期18年目の2006年9月、県発注のダム工事をめぐる検察の捜査で嫌疑を受け、知事辞職、その 後逮捕される。現在、上告審で審理中。著書に『福島原発の真実 』『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』など。

「2012年 『原発と建築家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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