趣味は読書。

著者 :
  • 平凡社
3.29
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本棚登録 : 280
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582831429

作品紹介・あらすじ

ベストセラーなのに、読んでいる人が周りにほとんどいないのはなぜか?今まで誰もが気づきながら口にしなかった出版界最大の謎に、気鋭の文芸評論家が挑む。

感想・レビュー・書評

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  • ベストセラーを読む価値なしと思っている読書人に代わり斎藤美奈子さん(私はこの本がはじめまして)が話題の本を読み、内容を報告してくれるというちょっと変わった書評本。
    1冊ずつ分かりやすく内容を説明してくれてるし、引用部分も面白くしてくれてる。(これかなりすごいと思う)
    厳しいコメントも楽しく、すらすら読めてしまう。
    なるほど、1冊読むだけの時間を割きたくはなくてもこの書評なら読む気になるのも分かるなぁ。
    なんでこの本が売れるのかなんて分析も当たってるかどうかはともかくとして、そうかもと思わせられてしまうし。

    でも、実際に読まずにこの書評だけで分かった気になるというのもさびしい話だなぁ。
    斎藤美奈子さんは著者や物語に感情移入せずに冷静に読んで分析されているわけで、その感想は面白いけど冷たくも感じられる。
    私はきっとまんまとその本の世界に引き込まれて斎藤さんから見たらアホな読者になってしまうのだろう。
    でも、その方がいいじゃんと思う。
    自分なりの感想を持った上で斎藤さんの感想を読んで、なるほどそう考えますか!と驚く方が楽しそうだ。
    偏食がひどい私には馴染みのない本が多かったけど、『模倣犯』とか『白い犬とワルツを』はそういう読み方が出来たからやはり他のよりも面白く読めた。
    ハリーポッターは何の分析にもなってなくて残念。
    あ、動物占いも懐かしかった。
    斎藤さんは他にどんな本を出してるんだろう。
    探してみたい。

  • ベストセラーの類の本の内容を、著者が報告してくれています。
    三浦しをんさんのエッセイで登場した本です。
    斎藤美奈子さんの本ははじめて読んだのですが、三浦しをんさんと文体がにていますね。(三浦さんが斎藤さんに似ているのかな?)好きです(笑)
    ズバズバと斬るようで、痛快です。

    一番印象的で好きだったのは、プロローグ。
    まず「本は購買数が非常に少ない」ということ、そして「本を読む人は少ない」こと、さらに「余暇調査の余暇の中には読書は含まれてないんだよ、実は」ということ。驚きです。

    皆さんは少数民族なんですよ。

  • 古本屋さん巡りが趣味の一つです。
    ちなみにB-OFFにも行くことかあります。
    行くたびに
    あぁ これは(いわゆる)話題になっていたモノだなぁ
    と思っていた本をよく見かけることがあります。
    特にB-OFFで見かけることが多し。
    先ず、自分では絶対に買わないだろう、読まないだろう
    と思っている(いわゆる)ベストセラー本です。
    ただ あまりにも見かけるので
    どんな本だろうとは
    心のどこかで思っていました。

    その謎(疑問?)が
    本書で一気に解決しました

    やはり 買わなくて(読まなくて)
    よかったと 改めて力強く思わせてもらえました。
    それにしても
    斎藤美奈子さん!
    さすがです!

  • 感想
    作られる好み。個人的な領域である読書はすでに侵食を受けている。迷える読書人にはそれでも良い。真に自分のための読書はできているのか。

  • 少し古いがこれから本を読んでゆく羅針盤としておすすめ

  • 49冊のベストセラー本を読書代行業として読み
    分析し、ビッシッと斬っています。

    私が読んでいたのは
    「朗読者」「ハリポタ」のみ
    その他は、そんな感じなんだ~
    読まなくってよかった~と思いつつ
    自分では読まず、判断もしていないのに
    読んだような気になっている
    自分にダメだし、しています。

    面白くて、すぐ読み終わったけれど
    この読書時間が
    心に響いてくる一冊に出会えていたほうが
    ずっと良かったと思いつつ本を閉じました。

  • 面白かった。自分の苦手な雰囲気小説が、なぜ苦手なのか的確に述べられていてすっきり。結構本を読んでるつもりだったけど、出てくる本のほとんどが未読だったなあ。「朗読者」については本当に共感できて、そこだけでも読んだ価値があったと思えました。

  •  痛快な書評集。米原万里さんの書評集『打ちのめされるようなすごい本』で紹介されていたので読んでみました。本書の内容をひとことで表すなら、「邪悪な読書」のお手本。

     ジャンルも人物もさまざま、多くの人に支持されているであろうベストセラーをばさばさと切り捨ててゆきます。

     といっても、ただの悪口ではないという点が、密林にありがちなこきおろしレビューとはまったく違うのですね。面白いところは面白いと言い、つまらないところは切り捨てる。さらには「なぜ売れたのか」とか、「どんな人が読者なのか」といったことにまで踏み込んで考えています。これは売り手目線ですね。

     どうせ悪口を書くなら、意図が伝わるように、かつ面白く書かなくちゃ。その意味で、まさしく「邪悪な読書」のお手本の一つだなと思いました。

  • 何度も笑った。好きな感じの辛口だった。
    特に、読書人口の少なさにびっくりした。(統計的に)

  • 辛口なんだか毒舌なんだかただのひねくれ者なんだかな書評集。視点がメタだからビジネス書を読んで学ぶ、とかエッセイを読んで感動する、とか小説を読んで夢中になる、といった「読書の醍醐味」的な記述ではなく、とにかくテンポよく軽快に毒を吐いているという印象。
    さらさら読めたけど、取り上げられた本で読みたくなった本は少ないなあ。ベストセラーってしょうもないんじゃ…と思わせられた。
    辛口批評を読んだ上でも読みたいと思ったのは村上春樹と宮部みゆきくらい?

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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