こぐこぐ自転車

著者 :
  • 平凡社
3.38
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本棚登録 : 160
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582832990

作品紹介・あらすじ

鳥うち、碁うち、そのほか面白いことばかりにうち興じて七十年の手前、伊藤センセイは自転車を始めた。病みおとろえた細腕・細脚に筋金を入れ、街中の危険をよぎり、田舎の急坂であえぎ、世の荒波を乗り越えて、ついには古希・還暦のお仲間を引き連れ北海道自転車旅行に。世に愉しさのタネはつきまじ、今日もこぐこぐ。

感想・レビュー・書評

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  • 定年を迎えてからスポーツ自転車の魅力に目覚めた著者が、自らの自転車ライフを軽妙に綴ったエッセイ集だ。ノンフィクション作家の高橋秀実が、『読売新聞』の「2006年 読書委員が選ぶベスト3」の一つに挙げて絶賛していたのを見て、手にとった。

    著者の伊藤礼は元大学教授の英文学者/エッセイスト。ユーモアと滋味あふれる文章を書く人である。あの伊藤整の子息だと知って、なるほどと思った。

    高橋秀実は、「笑える頁に折り目をつけて読み進めたら、本がふくらんで閉じなくなってしまったほど」だと書いていた。それはちょっと大げさだと私は思うが、ユーモア・エッセイの佳編であるのはたしか。

    ユーモアの質としては、北杜夫の『どくとるマンボウ』シリーズや穂村弘のエッセイに近い。含羞に満ちた、とぼけた味わいの笑い。ただし、最初から読者を笑わせることを目的としたエッセイに比べると、本書の笑いはもっと上品で薄味である。爆笑よりは微苦笑を誘うユーモアなのだ。
    例として、あとがきの一節を引いておこう。
     
    《私が自転車に乗るために北海道とか四国とか山形に行ったりしていると、世間のひとは「お若いですね」などと言ってくれる。家人にたいしても「お宅のダンナはお若くてすてきですね」などとお世辞を言ったりする。家人はそう言われるとまんざらでもないらしいがそれはお目出度いと言うべきだ。本当は彼らは「いまにあの老人は自動車に轢かれてしまうだろう。かわいそうに」と思っているにちがいないのだ。世間というのはそういうものだ。
     本書の書名は、右のようなわけで、本来は『古希老人自転車日記』とでもすべきであった。だが「そういう書名は、たとえば、谷崎潤一郎の『瘋癲老人日記』を連想させて適切ではないし、だいいち、もう少しで死にそうな老人の日記など誰も買ってくれませんよ」などという考え方もあったのでやめにしたのである》

    自転車マニアでなくてもそこそこ楽しめる本だが、マニアならたまらなく面白いことだろう。

  • 高齢者の自転車好きに少し読めた。

  • おじいちゃんだからしかたないけどちょいちょいモラルがない行動や発言するのが気になる。
    でもそんな年になっても同じレベルで一緒に趣味を楽しめるお友達がいるのうらやましい。

  • ふむ

  • 2016.4.28
    NHK われら サイクル派

  • 楽しい!自転車はこうでなくっちゃ。お年を召されてから始めた方なのに素晴らしい行動力。冒険に遠征、峠越えと、うらやましい限りです。血筋なのでしょうか、文章表現もさすがです。

  • 執筆当時70歳を越えていた筆者の自転車エッセイ。いろんなところに旅しているけど、特に夫と私が結婚する前にフェリーで車を運んで旅行日程のない道東の旅行をしたときとほとんど同じコースが出てきて懐かしかった。1日30kmから長くても100kmという無理のない行程でゆったり楽しむ旅行が楽しそうで、是非夫と老後の楽しみに行ってみたいと思った。

  • 【2015年交換会】子どもと学ぶさちまる⇒TSUNAMI②
    自転車で北海道などを旅した著者のエッセイ。私と同じ研究者でもあるそうで、選んでいただけたようです。自転車乗りたくなるかな?

  • 今すぐ自転車に乗ってでかけたくあなるのが危険な本です。楽しい自転車ライフを教えてくれます。決して無理せす、ゆっくりと楽しむ事を考えてくれます。

  • 言いたいことをそのまま書き連ねているところに好感が持てる。古希を超えた筆者が悪戦苦闘しながらも挑戦する姿にも。そして何より自転車の良さを感じさせてくれる内容になっている。私は今ロードバイクに乗っているが、筆者と同年代になった時に走る楽しみをあきらめざるを得なくならないよう精進していこうと思う。

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