あの路

  • 平凡社
4.13
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本棚登録 : 217
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582834512

作品紹介・あらすじ

この世界で一番大切なことを、きみは教えてくれた…孤独な少年と三本足の犬との出会い、魂の絆の物語。画家と詩人の共作が切り拓く新しい絵本文学の地平。

感想・レビュー・書評

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  • 両親を亡くし、一人親戚の家に預けられることになった男の子。
    悲しみ、孤独。
    馴染めない生活、学校の中で次第に自分だけの世界に孤立していく。
    空虚、逃避。

    街の路地に住まう3本足の犬もまた、孤立した存在。二人は石畳の路地の片隅に寄り添い、少年は空虚な心の穴を埋めていたのか。

    雪の降る冷たい朝、少年の前から3本足が見えなくなったとき、再び失うことへの不安はどれだけ深かったのだろう。冷たく傷ついた3本足を抱きかかえ温めるとき、そこにあるのは二人だけの孤立した世界。通い合う二つの心を描いたシーンは印象的でした。

    そこに希望は無いのか、伊勢さんの他の作品にみられる暖かく柔らかな光はなく、静かな二人だけの空間は悲しみと、空虚な色彩でしかない。

    やがて少年は足元の水たまりに映る青い空を、自由な色を見つけ路地から外の世界に出ていくが、3本足は路地から出ることはなかった。

    伊勢さんの作品制作過程を紹介した「Process」の中では、青い空の形で駆け回る3本足の姿を、車窓から見る青年の姿が描かれていました。静かな余韻の残る作品です。

  • あぁ、ちょっと切なくなるストーリーでしたねぇ。三本足の犬は、きっと少年自身と重なっていたんだろうなぁ。独りぼっちでも、足が三本しかなくても、ひどい虐待をされても、透明な目をしている野良犬の三本足。たった一人の肉親を亡くし、友達もおらず、いじめも受けている少年にとっては、とってもかけがえのない存在、心の支えだったのでしょうね。

    お別れのシーンがなんとも切ない。犬は敏感に感じるんでしょうね。手を振らなくても追いかけてくる三本足。でも自分の路で終わるところで止まるのが印象的です。

    成長した青年の心の中にいつまでのこの三本足と触れ合った路の風景、透明な目をして一緒に走った三本足の姿が焼き付いていることでしょう。そして、それが彼の生きる心の支えになっているんでしょうね。

    少年と三本足の野良犬、弱い者同士が触れ合う様子、心象風景をいせさんの柔らかな水彩画が見事に描かれていた素敵な絵本でした。

  • 2009年発表。


    ママが死んで
    おばさんに引き取られた『ぼく』が、
    ある日出会った
    3本足の野良犬。


    孤独な少年と
    孤独な犬との
    出会いと別れ、
    そして旅立ちを描いた
    なんとも胸を締め付けられる絵本です。



    まずなんといっても
    その絵の素晴らしさ!


    絵本作家のいせひでこさんが
    水彩画で描いた、
    その淡く繊細なタッチの表紙に惹かれて
    購入しました。



    孤独な魂を共有する少年と犬。

    お互いが
    お互いを必要とする
    魂の絆。

    初めて心通わせた
    かけがえのない友達。


    そんな二人にも
    突然の別れはやってきます。


    本当に大切なものを失くした時、
    人はどうあるべきなのか?


    自分も何をするにも
    一心同体だった
    親友を亡くした経験があります。


    人はいろんな経験をして、
    いろんな物を見て、
    人と触れ合って成長していく。

    川の流れと同じく
    ずっと同じままで、
    同じ場所にとどまることはできません。


    どんなに楽しいことも
    必ず過ぎ去っていくし、

    どんなに悲しいことも
    時が経てば忘れていく。


    変わってゆくことを
    何度も何度も繰り返しながら、
    前へ前へと
    人は進んでいく。


    だからこそ
    人には
    とどめたい思いがあって、

    人は忘れていく生き物だからこそ、
    忘れたくない思いがあるんですよね。


    いろんな別ればかりの世の中やけど、
    人が成長していくためには
    別れは絶対に必要なこと。


    胸が締め付けられる
    『別れ』というものを
    怖れることなく、
    自分も生きていきたい。

    そんなことを考えさせられた
    人間にとって
    本当に大切なものを描いた
    心揺さぶる作品です。

  • 辛いことがあったときにひっそりと読みたい大人向けの絵本。

    二人暮らしの母親を亡くし、内にこもって社会からはみ出した少年と、路地に住み着いた三本足のムク犬との交流を描いた静謐な冬の物語。

    無邪気になついてくる三本足とのふれあいで少年はささやかな居場所を見つけるが、三本足もまたはみ出しものであり、手酷い悪意の対象になっている。
    彼らはこの路でひとりぼっちだ。

    少年が街を去ることになったとき、三本足は路の終わりまで少年が載せられた車を追いかけるが、それ以上くることはできない。
    このシーンと次のページに広がる無限の海・空の対比が心を揺さぶる。

    街のシーンで背景に小さく描かれている少女は『ルリユールおじさん』のソフィか?

  • 絵本語りで使いました。

    この物語にふれて、胸が震えない人がいただろうか。
    青の美しさに見せられつつも、血のつながり以上の『つながり』、そして、心の『拠り所』や『支え』とは何かを折に触れて感じさせて頂いた作品です。

    どこで読んでも好評でした。


    何度でも朗読したい作品です。

  • 絵は好きだが話がよく分からん。

  • こんなに美しい文章の絵本を読んだことがなかった。絵だけの見開きが、何も言わないことが、こんなにもはっきりと言葉を伝えるとも思っていなかった。孤独、傷つくこと、信じること、前を向くこと、もう一人でも大丈夫なこと。心を揺さぶられる。間違いなく名作。
    « Mon ami à trois pattes. »

  • もひとつピンとこず。

  • あの路と3本足が、僕にとってのマドンナだったんだ。

  • 淡いタッチがどこか寂しさを匂わす、一冊。

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