市に虎声あらん

  • 平凡社
3.22
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本棚登録 : 79
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582835281

感想・レビュー・書評

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  • 実質的処女作である本作、やっと読めました。この頃からディックの芯は定まってたんだなと感じた

  • ディックの処女作だそうだ。ディックは、本当はSFではなく、普通の小説を書いて身を立てたかったらしい。しかし、ディックがこういう小説を書く作家になっていたら、間違いなく、その作品を読むことはなかったと思う。ディックの小説を原書の刊行順に読み直してみようと思い、「偶然世界」を読み終えたのが2017年5月のことだから、結局3年近くもかかってしまった。読み直しておもしろかったのは、「火星のタイム・スリップ」、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、「ユービック」、「死の迷宮」、「暗闇のスキャナー」の5作品。世評が高いのは「高い城の男」や「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」らしいが、それがどうもよく分からない。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 市に虎声あらん

  • 若い頃の非SF純文学初長編で,諸事情から買手がつかずにオクラになってたものらしい.癖の強い訳文だから原文の雰囲気はよくわからないが,出来はそう悪くないように思える.
    ただ,主人公の焦燥や感情の起伏を,過不足ない分量で読者に伝えることがうまくいってない感があって,読んでる側としては主人公の七転八倒を,いささかしらけて眺めることになる.
    のちのディックの作を読んでる私らには,何を表現したいかは朧げにも類推出来るのだけど,あいにく,肝心の著者が,まだいまいちわかってない感じなので,そこが専ら,出来の良くなさを印象させられるんだろう.

    ついでに……この小説のラストのクライマックスに使われるガラスのショウウィンドゥ自傷突撃,あれって「ブレードランナー」のゾーラ射殺シーンとよく似てると思うが,偶然の一致か

  • フィリップ・K・ディックの実質処女長編。日本初翻訳だそうだ。
    1950年代初頭のサンフランシスコを舞台に、当時の世相を色濃く反映したSFではない普通小説。ディックは元々普通小説を指向していたらしい。
    読了にはかなり苦戦。一読するだけでは登場人物設定や主人公の心情的動きの必然性がつかめず、場面展開にしばしば困惑してしまうのだが、訳者である阿部重夫による解説を読むとバラバラだったピースがカチッとあるべきところにはまるように明快になる。訳者は日経記者上がりの雑誌「Facta」編集者だが、どこでこのような素養を身につけたのだろうか。
    再読すると、さらに共感もしくは納得感を持って読めるだろう。
    弱冠25歳で書いたとは思えない構成、重厚さを備え、訳者解説のとおりその後の作品の原点、というか恐らくPKディックファンのバイブルとなりうる本だと思うが、★5つとしないのは、上述のある種難解さによる。

  • 翻訳者の自己満足としか思えない衒学的な訳文と訳注に妨害されながら、なんとか読了。まともな翻訳で読んでみたい。
    ただ、ディックの特徴って、物語や構成の破綻が小説にドライヴをかけるガソリンとなるところだと思うんだけど、それにはやはり、SFというオイルが必要みたい。

  • 『電気羊』でPKDに初めて触れて20数年になる。翻訳SFにハマったきっかけもこの辺にあるはず。色んなものに終止符を打つつもりで買って、読んだ。終わりを告げる処女作。

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