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- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582835441
作品紹介・あらすじ
白山信仰研究で知られる元「新潮」名物編集長が、民俗学の該博な知見を携えて古典世界に遊ぶ。いまに響く言葉の力に満ちた異色の日本文学案内。
感想・レビュー・書評
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「私は本書で、主に古典作品が扱うトポス=異空間に着目して、それがどういう働きをしているか、つまり文学におけるトポロジー的な考察を中心に据えてみた」という一冊。
「場」から想起されるテーマ性と言い換えても良いのだろうか。数学的トポロジーというと、ドーナツとマグカップが同じであるというような、かなり大雑把な理解しかしていないのだけど(笑)
本書では「窟」という空間と、村上春樹でいう「井戸」が、同じく死と再生を司る場として見出していることに繋がるのかもしれない。
「野」「泉」「竹」「渚」「道」……と、古典文学を取り上げながら、そこにどんな意味が見られるのかを分かりやすく説明してくれている。
現代は都市化され、こうした場の持つ力が意識されないようになってしまった。つまり、私たちが古典文学を読んだとて、そこに孕まれた何かに最早気付いていないのかもしれない。
けれど、そんな現代にあって、思い起こすと不思議な感覚を覚えた場もあるのではないか。
ここのところ、古典文学と現代文学の架橋について考えているのだけど、場の回復を志向するというのは面白い着眼点だなと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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