- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582835465
作品紹介・あらすじ
お前の中の俺を返せ!サクセスを夢見て玄界灘を渡った無名歌手、場末の回転寿司で働く全てがかったるい青春、ハッテンバで成り上がり実業家となる双子らが交錯し、マヌケでくだらない日常を生き抜く-。映画やマンガのような生き方に憧れ、人生の虚妄にまどう若者に贈る連作小説集。
感想・レビュー・書評
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特殊漫画家・根本敬による初の小説集である。
といっても、根本は2009年の著作『真理先生』の一章を小説仕立てにしており、小説デビューはそこで果たしていた。丸ごと一冊の小説集が初なのだ。もとは平凡社のサイトでウェブ連載したものだという。
『真理先生』の「小説」(というタイトル)を読んだ際、当ブログのレビューで私は次のように書いた。
《根本のマンガをそのまま小説に置き換えたような、彼以外には書き得ない作品。もしかしたら、根本敬は町田康のように小説家に大化けするかもしれない。》
本書に収められた4つの中短編もしかり。100%の特濃根本敬ワールド。かなり読者を選ぶ作品だが、根本の著作を愛読してきた人なら愉しめるはずだ。
書名は「ガインガインガイン」と読む。
かつての名著『因果鉄道の旅』を彷彿とさせるこのタイトルが示すとおり、登場する人物はどいつもこいつも強烈な個性をもつ「因果者」ばかりである。普通の人は一人も登場しないといってもよい。
「因果者」たちがたどる数奇な運命を描いた4編は、どれも不気味で下品で奇妙な物語なのだが、しかし根源的なフリーダムの感覚にも満ちている。「人間はどう生きてもいいんだ!」という「生の肯定」が全編の通奏低音となっていて、ゆえに読後感は爽快である。
4編それぞれ面白いが、私がいちばん気に入ったのは「お寿司9696(クルクル)会館」。
場末の回転寿司屋で出会った男女が夫婦となり、紆余曲折を経て画期的な回転寿司店を開くまでの物語なのだが、これほど先の展開が読めない小説も珍しい。どう転がっていくか予測不可能な面白さがある。
くわえて、4編とも随所に根本らしい歪んだ笑いが仕組まれていて、かなり笑える。既成の小説にはまったく似ていないが、しいて近いものを挙げるなら、やはり町田康の諸作になるだろうか。
文芸誌各誌は、根本敬に小説を依頼すべきだと思う(すでに依頼していたら失礼)。そして、根本が芥川賞でもとったら面白いのだが……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジャケ貸出で読みはじめましたが…。
人によって、好みが分かれると思われる作品。
私はあまり、好みではなかったので…読みにくかったです。
読破するまで一苦労しました(´ω`;) -
この作家、自称『特殊漫画家』だそうだ。
内容は……まるで趣味じゃないので読むのは結構苦痛だったけど、これも何かの縁、と頑張って最後まで読んだ。
理解に苦しむ表現が多く、例えがよくわからない。
たまにクスリと笑える表現もあるにはあるけど。
多分もう、この作家の本は読まないだろう。