- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582835717
作品紹介・あらすじ
私の記憶の中のあなたは誰?ユミという同じ名前を持つ二人の女性が、互いの記憶を共有している不思議に気づいた時から、衝撃的な愛のドラマが始まった…。タイムトラベル・ロマンスを超えるラブ・サスペンスの新境地。
感想・レビュー・書評
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タイトルの『ダブルトーン』を、初めて書籍広告で目にした時は
「二重の音ってことは、重音?」と勝手に想像していたのだけれど、
なんと、1枚の原画から2つのネガを作って版を起こし、
それを刷り重ねて作品として仕上げるという、印刷の手法なんですね!
以前の作品『この胸いっぱいの愛を』が、
タイムトラベルものとして私の中ではかなり上位を占める作品なのに
タイトルがあまりに昔の少女漫画みたいで
なかなか人に薦められないというジレンマに陥ったりしたのに較べると、
この『ダブルトーン』は、物語とタイトルがぴったりと寄り添っていて
梶尾さん、ナイス!と思わず呟いてしまったりして。
朝、目を醒ましたときに、自分の隣に誰かの気配を感じるか否かで
「今日は自分が誰なのか」わかる、田村裕美と中野由巳。
夫の洋平と娘の亜美の世話を焼き、週に何日か税理士事務所で働くという
判で押したような生活に密かな淋しさを抱いている主婦の裕美と
老舗の小さな広告代理店で事務からイベントのMCやクライアントの接待まで
臨機応変に対応して、充実した日々を送る独身の由巳が
記憶を共有しながら、眠りを境にスイッチする、という設定がおもしろい。
由巳が結婚前の裕美なのかと思ったら、そうではなくて完全に別人格で、
しかもふたりが生きる世界には数年のタイムラグがあったり、
数年後を生きる由巳の前に、妻を亡くした洋平が現れたりして
このふたりに、どうして記憶の共有が?と一気に作品世界に引き込まれます。
ミステリとして見ると、犯人の目星がすぐについてしまって物足りないかもしれませんが
ふたりの女性の心理に寄り添って読むと、かなりハラハラドキドキを味わえます♪
それにしても、大変な目に遭った由巳に、この先ちゃんと幸せが訪れますように!
と願わずにいられません。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どんどん物語に引き込まれて、一気に読み終えましたぁ‼
全てが繋がりラストに向かう展開は、呼吸する事すら忘れる程でしたぁ‼ -
不思議な話し。どうしてこの2人なのか?があいまいかな。 2020.2.28
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時間を利用したSFミステリーといったところでしょうか。
同じユミが、別のユミと協力して謎を解決します。
全く知らなかった二人がなぜ繋がるのかは、本を読んでのお楽しみ。
ラストの方は、結構ハラハラします。
ラストシーンは映画にでもなりそうな感じです。 -
幼い娘を持つパート主婦 田村裕美
忙しいがやりがいのある仕事を持つ自分を満喫する独身OLの中野由巳
入れ替わり リンクする2人の生活
「彼女はもうひとりの自分なのか」
時を超えた不思議
由巳は裕美を救うことができるのか
ラストへと向かう勢いはさすが。 -
2018.4 2回目読了。しっかり忘れていたので、また楽しめた。ほぼ2時間位でさらっと読める本。オチは流石に読み進めるうちに、何となく思い出してしまったけど。2人の年齢も違うユミを行ったり来たりする意識。時間は2年違うし、2人とも毎日の記憶があるのに、朝起きるとシングルの由巳だったり、子持ちの裕美だったりする。どちらの人生も楽しめていいような気がしていたが、実は恐ろしい事実が分かってくる。それを食い止める為に、意識が行ったり来たりしていた。でもオチがちょっと納得いかない。人ってそんなことのために、そこまでするかな〜。
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心がシンクロした2人の女性、過去に生きるパート主婦、未来に生きるOLが未来で殺される自分を感じて過去に戻り少しずつ小さな生活を変える事で難を逃れる。この過程で生活の
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普通の主婦、田村裕美と、独身OLの中野由巳は、夢の中で別の人生を過ごしているような不思議な記憶が残っていることがあった。
曖昧だった寝起きの記憶が次第にはっきりとしてきて、お互いの人生にかかわりあっていくような気がしてくる。
ファンタジーなのにちょっぴりミステリーも入っていて、何とも不思議な設定なのですが…
二人の女性の入れ替わりがそんなに読み難くなくて、どうなるんだろう?のドキドキ感でラストまで一気読みでした。 -
ドラマは見ていないが、話はよかった。
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広告代理店の下請けをしている会社で働く独身の中野由巳、保育園に通う亜美という娘をもつ税理士事務所で働く田村裕美、ふたりの魂が時間と空間を隔てて相互に転移することにより、過去に起こったはずの犯罪を防ぐという奇想天外な物語。やはり、『壱里島奇譚』の作者だなと思わせる梶尾ワールドにようこそ。