そして、人生はつづく

著者 :
  • 平凡社
3.90
  • (4)
  • (11)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 77
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582835977

作品紹介・あらすじ

昨日と同じように、今日も生きてゆく-。妻を亡くした後の一人暮らしの家事のこと、震災後に再訪した小さな鉄道の旅のこと、3.11と世の中のこと、そして、毎日を普通に生きること…。静かな老年の日々を綴った、「独り居」の日記。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近所のなんでもない川のそばを
    ゆっくり 散歩しているような気持ちに
    させてもらえる 一冊
    「しあわせ」なものは
    すぐそばに いくつもあるよ
    を 静かに教えてもらっているような

  • 丸谷才一 徹底した雅の人。「笹まくら」についての解説が素晴らしい。

  • 奥様が亡くなられた直後に書かれた『いまも、君を想う』を読んでとても切ない気持ちになりました。
    この本はその二年後から約二年にわたって書かれたエッセイをまとめたものです。

    時々ふっと淋しい空気が流れているのですが、川本さん、ひとりで頑張って有意義に暮らしていらっしゃるようです。

    思ったのですが、57歳で亡くなるなんて、早すぎで非常にお気の毒ですが、だからこそ残された旦那様も元気に活動できるのではないでしょうか。
    老老介護の果てに一人のこされたかたは、ボロボロのヨレヨレで何もできないのではないかしら?

    川本さんは職業柄たくさんの本を読まれます。
    ときどき杉並区図書館に対する不満が書かれていて、面白かったです。
    その後改善されたかな?

    川本さんの読書記録を読んで、何冊か予約しました。自分の首をしめる…。
    また、私はよく母のために小説を借りるのですが、自分があまり読まなくてわからなかったので、川本さんの本の紹介が参考になりました。

    続編も読みます!

  • 川本三郎さんのエッセイ「そして、人生は続く」、2013.1発行です。川本さんのエッセイには読書された本がたびたび登場します。それを確認するのも大きな楽しみの一つです(^-^) この作品からは、川口明子著「大塚女子アパートメント物語」(2010)を読みたいなと思ってます。また、年を取ったら気をつけることで「ヨイコノタメノカギ」を知りましたw。「酔って入浴するな、医者と仲良くしろ、転ぶな、のみ損なうな(餅など)、食べ過ぎるな、目方に注意、飲み過ぎるな、風邪をひくな、義理を欠け」気をつけます(^-^)

  • 愛妻を亡くした後のひとり暮らしの家事のこと、震災後に再訪した東北の小さな鉄道の旅のこと、そして3・11と世の中のこと……。静かな老年の日々を綴った「独り居」の日記。

  • 川本三郎さん、ものすごく心に訴えてきます。
    いつも図書館で読んでは、買ってしまいます。

  • いいな。妻を亡くした初老の男性の日常。朝食を丁寧に作り、思い立つと電車に乗ってひとり旅。ローカル鉄道でのんびり揺られながらの読書が捗る。気ままに降り立った駅で社寺に出会うとお参りをする。そして町をめぐり立ち止まった居酒屋に入り熱燗を所望するのだ。
    帰宅したら、お気に入りの映画のDVDを愉しみ就寝。晴れた朝にはふとん干し。ちょっと寂しめだけれど、それでも充実した豊かな時間が過ぎていく。老後の時間の味わい方教えられました。

  • 川本三郎には、荷風、林芙美子、白秋など近代文学史上に名を残す作家の評伝を書くという文芸評論家の仕事とは別に、映画、鉄道旅行、居酒屋、商店街といったお気に入りの主題を材に採ったエッセイ作家の顔がある。数年前に永年連れ添った伴侶をなくしてからは、それに独り居の日記という体裁の気どらない日誌風の文章が加わった。

    イランの映画監督アッバス・キアロスタミの作品からタイトル名を借りた今度の本にも、その弧愁の色が影を落としている。さらには地震の被災地をめぐる記録映画の形をとった映画同様、3.11後の東北を訪れた際の文章も数多く含まれている。どんな辛い出来事に出会おうとも、残された者はその後の人生を生きていかなければならない。淡々とつづられた文章の向こうに日々の暮らしをつづけていく、たしかな力が透けて見える。気負いのない、むしろ軽みすら感じさせる筆致からは、ようやく老境に入りかけたかつての青年の姿を想い見ることができる。

    自らの「愚行」の記録でもある『マイ・バック・ページ』の映画を見ながら、手ばなしで泣いてしまう川本には、いい意味での人の良さを感じる。「朝日との切れ目が縁の切れ目」と、事件後「朝日」を辞めた自分の周囲から去ってゆく人々を恨むでもなく、独り引きこもった彼だったが、復帰を喜んでくれる人々も少なくはなかった。井上ひさし、種村季弘、丸谷才一といった錚々たる顔ぶれが物書きとしての川本を認めていた。丸谷の死を悼む一文には、刊行当時、また袋叩きに会うのではないかと恐れた『マイ・バック・ページ』を一番に書評で評価してくれたことに礼を言う川本に、「僕は『笹まくら』の著者だよ」と応じた丸谷の言葉が紹介されている。情理を尽くした一言に読んでいるこちらまでうれしくなった。

    一人になったこともあって、以前にもまして気軽に旅に出るようになっている。旅といっても各駅列車に乗って近くに出かける日帰り程度の旅が多いのだが、この近郊への旅で見つけた、観光地でない日本の小さな町歩きが、エッセイの恰好の材料になっている。人の暮らしぶりがそのまま町の風景となっているような、まだ日本に残っている名も知らない町、食堂があり、居酒屋があり、時には温泉があったりする。

    かつては「中年房総族」と名乗って房総半島を経巡っていたが、近頃は八高線沿線がテリトリーになっているようだ。ファミレスや牛丼屋で朝飯を済ませ、鉄道に乗り、遠くは小淵沢まで足をのばす、その間車内を書斎代わりに読書し、好きなところで降りて、駅弁で昼食、小一時間ほど湯に浸かった後は近所の町をぶらぶら歩き、そしてまた鉄道に乗って帰ってくる。

    夜は、DVDで古い映画を観ながら燗酒を独酌。映画を一本見終わったら床に就くという、淋しいような、気楽なような暮らしのところどころに観劇や、音楽会、講演会で出会った人との交友をちりばめながら、この本はつづられている。肩の力の抜け具合がほどよく、読んでいて心地よい。「朝ジャ」で中津川のフォーク・ジャンボリーを取材した話を読んで、国鉄の汽車に乗って出かけた当時を思い出した。もしかしたら糀の湖畔ですれちがっていたかもしれないな、と懐かしくなった。

  • 「遠い声」が特に好きです。
    素朴で短い一編一編ですが、大変揺さぶられた。なんじゃこりゃ。
    川本さんの文章に初めて触れました。他の作品も読みたい。

  • 3.11は著者の日常にも影響を与えた。2年間、大学で教えていた時の学生が被災地にボランティアで入り、戻ってきたときのコメントが何ともつらい。

    2015.6.29再読。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

川本 三郎(かわもと・さぶろう):1944年東京生まれ。「週刊朝日」「朝日ジャーナル」記者を経て、評論活動に入る。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』、著書に『映画の木漏れ日』『ひとり遊びぞ我はまされる』などがある。

「2024年 『ザ・ロード アメリカ放浪記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川本三郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
又吉 直樹
64
横山 秀夫
三浦 しをん
川本 三郎
川本 三郎
ピエール ルメー...
ウォルター・アイ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×