イザベラ・バードの東北紀行[会津・置賜篇]: 『日本奥地紀行』を歩く

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  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582836370

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  • 明治11年に女性一人で(正確には通訳の男性
    を連れてたそうですが)、東北から北海道ま
    で旅をして、その見聞を「日本奥地紀行」と
    いう本にしたためたイザベラ・バードの本で
    す。

    特に山形県米沢市あたりを「東洋のアルカデ
    ィア」と褒めちぎったことはよく知られてい
    ます。

    ただ、それはあくまでその時の感想を切り取
    っただけであり、実際の道中では当時の日本
    人の身なりに非常に不快感を抱いています。

    一方で危険な目に遭うことはなく、日本人の
    勤勉さ、特に労働においてその真面目さに感
    心しています。

    そうなのです。この「日本奥地紀行」という
    のは、当時の東北の暮らしがどのようなもの
    であったのかの学術書でもあるのです。

    そんな書を今一度トレースすることにより見
    えてくる日本人のアイデンティティを綴った
    のがこの本です。

    明治維新からたった10年程度しか経っていな
    い、しかも戊辰戦争の地でもあった東北地方
    での当時の日本人は、どのように時代という
    ものを受け止めていたのかが、わずかではあ
    りますが知ることができる一冊です。

  • 今からたった140年前。東北を一人旅したイギリス人女性。
    日本人は貧しく不潔で裸同然。「のみしらみ馬のしとする枕元」の世界。
    同時に、勤勉で好奇心旺盛で礼儀正しい。田んぼも畑も美しく手入れされ、物乞いもいない。
    戊辰戦争の深い傷。会津若松によらなかったのは残念。
    廃仏毀釈も実にひどい。仏像が道の両脇に打ち捨てられていると。

  • 『ふしぎの国のバード』という漫画がある。史実として明治書記にイザベラ・バードと言う女性が横浜から北海道まで旅をして『日本奥地紀行』という本を記した。本書はその「奥地紀行」の足取りをたどる。いろいろ解説がされているのは良いが、やはり原典を読みたくなる。

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著者プロフィール

1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。
『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。
『異人論序説』『排除の現象学』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』『東北学/忘れられた東北』(講談社学術文庫)、『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』(岩波現代文庫)、『武蔵野をよむ』(岩波新書)、『性食考』『ナウシカ考』(岩波書店)、『民俗知は可能か』(春秋社)など著書多数。

「2023年 『災間に生かされて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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