幻影の明治: 名もなき人びとの肖像

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582836547

感想・レビュー・書評

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  • 第3章「旅順の城は落ちずとも」で司馬氏の『坂の上の雲』を痛罵している。この国民的作家の最も読まれている作品を容赦なく切り捨てるところが凄い。本書の副題 ”名もなき人びとの肖像”にあるように氏の庶民への眼差しに惹かれます。学者や歴史家とは違う視点・感性で語らう市井の人々の姿に、今はもう望むべくもないいにしえの日本が偲ばれます。

  • わたしたちが 当たり前のように
    思いこんでしまっている
    「歴史の話」であったり
    「歴史上の人物」であったり
    「歴史小説の書き手」のことを
    全く違う視点で実に新鮮に興味深く
    語ってくださる

    キーワードは
    これまで 歴史学者が(わざととりこぼしてきた)
    「エピソード」

    たしかに その「エピソード」が伝えられるか否かで
    その時代の雰囲気がどう伝わるかはものすごく変わってしまう。

    これだから
    渡辺京二さんはやめられない。

  • 司馬遼太郎に物申しているところのみ読ませてもらった。確かに指摘の通り、明治の日本が確たる産業もなく、小さな国だった、という記述は明らかに誤りであろう。

  • 歴史上の「名もなき人びとの肖像」という副題のように知名度の低い人びとの言動から、その主観的心情に即して彼らの行動原理を理解しようとする。その結果、主流派歴史学とは異なる斬新な歴史像が見えてくる。この手腕はまことに見事で読みごたえがある。文章も読みやすい。
    この辺りは著者のいつもの手練れの力量で高く評価されて良いと思う。ただし、この手法のみが歴史理解の方法だと誤解しない方が良い、と自戒する。

  • その時代の雰囲気がわかる歴史のエピソード、そういうのいいな。たしかにホイジンガの中世の秋や、ブルクハルトのイタリアルネサンスの文化、みたいな本が日本の歴史ではあまりないかな。時代劇過ぎる。もうちょっとドライな、でも渋い感じ。

  • 山田風太郎の明治物が読みたくなった。

  • 「逝きし世の面影」(平凡社)に感銘を受けたので、読むのが愉しみです。と言いつつ読めてない本、多数有り。。。嗚呼

    平凡社
    「歴史の谷間から浮かび上がるもうひとつの近代とは。士族反乱から自由民権まで、変革期を生き抜いた人びとの挫折と夢の物語を語り直し、現代を逆照射する日本の転換点を克明に描き出す評論集。」

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著者プロフィール

1930年、京都市生まれ。
日本近代史家。2022年12月25日逝去。
主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『評伝宮崎滔天』(書肆心水)、『神風連とその時代』『なぜいま人類史か』『日本近世の起源』(以上、洋泉社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『新編・荒野に立つ虹』『近代をどう超えるか』『もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ―わが思索』『幻のえにし―渡辺京二発言集』『肩書のない人生―渡辺京二発言集2』『〈新装版〉黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞) 『渡辺京二×武田修志・博幸往復書簡集1998~2022』(以上、弦書房)、『維新の夢』『民衆という幻像』(以上、ちくま学芸文庫)、『細部にやどる夢―私と西洋文学』(石風社)、『幻影の明治―名もなき人びとの肖像』(平凡社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)、『原発とジャングル』(晶文社)、『夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺』上・下(亜紀書房)など。

「2024年 『小さきものの近代 〔第2巻〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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