生まれた時からアルデンテ

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 1154
レビュー : 119
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582836608

作品紹介・あらすじ

生まれた時からアルデンテは平野紗季子さんが書かれた著書です。ガイドブックやうんちくなどではない食に関するエッセイです。誰でも一度は食べたことのあるカップラーメンやアイスキャンディー、ぼんたん飴などいろいろな食べ物が平野紗季子さんの感性が加わることで違った食べ物のように感じる事ができるエッセイになっています。

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃から外食行事が盛んな家に育ったせいで
    胃袋を満たすための惰性的な食事ではなく
    食べることそれ自体に夢を見、
    明日出会う新たな食との予感に腹を躍らせながら眠りにつく著者、平野紗季子。

    すべての幸福は食から始まり、
    常に食の偉人の本と共にあるという
    生粋の「ごはん狂」だけあって、
    食事へのこだわりがハンパなく炸裂する
    ちょっと他にはない食事エッセイ。


    いやぁ~、引きのあるタイトルと
    表紙の写真が秀逸。
    (中身にも沢山の写真が掲載されています)

    「人と一緒に食べれば何でも美味しい」に異を唱え、
    誰かと食べると食事そのものに集中できないから
    孤食を好むという考え方は正直ちょっと寂しいなと思ったし、
    (僕個人の考え方はみんなと食べる食事がすべて美味しいわけではなく、
    食事は「誰と食べるか」が重要だと思う)

    食べることは好きだけどグルメではない
    庶民派まるだしの僕からしたら、
    (ねこまんまや玉子焼きでも1日笑顔でいれます)

    外食を愛し高級店に偏った食の見方に違和感も感じました。

    まぁそれはそれとして、
    しかし、23歳の若さでこれだけ食を愛し、食にこだわり、食を自分の言葉で語れることは立派だし、
    唯一無二な感性で書かれた食に対してのエッセイは
    まずまず楽しめました(笑)


    まずは、パフェに関する考察(パフェというものは何故にあんなにデカいのか)に共感。
    確かにどの店のパフェも無駄にデカいし
    その分値段も高いし、
    お腹の弱い自分は食べ終わるまでに
    お腹が冷え冷えになって困るんですよね~(汗)
    (女の子ならなおさらあの量は食べきるのが大変だろう)
    そんな著者が見つけた完璧ちゃんのパフェ。
    代々木上原「アステリスク」のパフェドゥアステリスクは
    600円でちょうどええサイズのパフェが食べれるそうです。

    あと僕が惹かれた記事を挙げると、
    芸術とも言える美しい断面から覗く苺とキウイと黄桃と生クリームの
    赤坂のホットケーキパーラー「Fru-Full」のフルーツサンドも衝撃的だったなぁ~(笑)

    他にも、まるでウォン・カーウァイの映画に紛れ込んだかのような
    きらびやかなネオンサインがいかがわしさを放つ(笑)
    新橋駅はニュー新橋ビルのジューススタンド「ベジタリアン」の香港テイストな店構えも気になったし、

    完熟梅、青梅、赤紫蘇、赤すぐり、桃バニラ、プラムローズ、ジンジャー、レモンスパイス、いちご酵素、抹茶、小豆が渾然一体となったシロップ水の味わいに
    思わず「火垂るの墓」の節子が降臨した(笑)
    (サクマドロップスの空き缶に水を入れたフレーバーウォーターを飲んだ節子のセリフ、「味がいっぱいする!」のことです笑)
    鎌倉市由比ヶ浜の「LONG TRACK FOODS」のかき氷。

    什器をすべてカスタマイズして、
    店内すべての商品が客に見やすく美しく自己主張している
    東京都世田谷区代田の小さなスーパー、タウンマーケット「ミヤタヤ」も
    行って触ってみたくなる(笑)レイアウトに愛が溢れていて心惹かれました。

    極めつけは、
    ロイヤルホストで誰よりも完璧なサービスを提供する
    遅番紳士・小林さんを密かに追い続けたドキュメント!(笑)

    「お嬢様」「おみ足」「旦那様」
    などファミレスの店員とは思えない丁寧な言葉を使い、
    店内を常に一定の歩幅で歩き、客がメニューから顔を上げればすぐさまオーダーを取りに来て、
    客が料理名の最初の言葉を言えば
    すかさず正式名称で確認し、
    空調の加減から
    客に合った机の手配、客の目的によって席替えをスムーズに施したり、
    かゆい所に手が届く
    謎の店員小林さんのサービス精神の数々にはおそれいりました(笑)
    そんな小林さんの小説顔負けのキャラの面白さに引き込まれたし、
    著者が暴いたベールに包まれた小林さんの正体にも驚きの結末が待っています(笑)


    巻末の「食」から文化的刺激を受けたあらゆるモノを集めたカタログも面白かった。
    村上春樹などの文学作品や新聞記事から食についての表現記事が約3000例集約された
    「おいしさの表現辞典」、
    (コレは読みたい!)

    京都でしか食べれない中華料理の秘密に迫った秀逸な中華本「京都の中華」、
    アントニー・バージェスの「アイスクリームの国」、
    梶井基次郎の「檸檬」、
    種村季弘の「食物漫遊記」、
    森茉莉の「貧乏サヴァラン」、
    ロシア民話の絵本「おだんごぱん」、
    鉛筆の天ぷらに心惹かれる
    矢玉四郎の絵本「はれときどきぶた」、
    佐々木マキの絵本「変なお茶会」
    などの食本に、

    ピーター・グリーナウェイの傑作食映画「コックと泥棒、その妻と愛人」、

    2013年に発売された4冊の続編を買うと応募者全員サービスで貰えたという
    「からすのパンやさん一家オリジナルトートバッグ」、
    そして乳酸菌飲料の「ヤクルト」や「ヒロタのシュークリーム」にいたるまで
    著者の鋭い感性がさえまくる食レビューも
    食好きさんなら貪るように読んでしまうこと請け合いです。


    最後に、
    本書の著者、平野紗季子さんと空間プロデューサーの山本宇一氏の対談で山本さんが「食」というものを捉えて言った
    「花は枯れるから綺麗なんだし、ずっと咲いてる花には誰も振り向かない」が印象的でした。

    食は音楽や映画や絵画と違って
    永遠に続かないもの、残らないもの、腐っていくもの。
    50年前の料理そのものを僕たちは食べることができない。
    今日の料理そのものを
    10年後にまた味わえる保証はない。
    だからこそ食は旬に食べたいし、
    味の記憶をどうにかして心に留めておきたいと人は願うんですね。

    食事の記憶はお金なんかじゃ買えないし、
    毎食毎食が「一度きりのもの」だからこそ
    大切な記憶になるわけだし、
    食べれば消えてしまう儚い存在だからこそ
    いつまでも記憶の中に残るものなのだと
    本書を読んであらためて感じました。

  • 発売日時から、どことなくタイトルと表紙に狂気をかんじていて気になっていた一冊。
    重版になり、まわりでも読んだ、面白かったという評判をきいて思わず書店で購入。

    いわゆる、食のエッセイではあるが、いわゆる、美味しいものをゆるふわ~な文章ではなく、食を小さいころから楽しむひとりの女性というか、異常な執着をもったりもたなかったりその緩急が誰にとっても楽しめるエッセイです。
    その紹介する食べ物は、高級なレストランから柿ピーやパピコまで。その高低差がめくるめく波状攻撃のようにページをめくるたびにやってくるので、もう作者の食を表すことばを体が待ってる状態です。

    僕にとっては2014年前半で今の所一番楽しめた本です。

  • テレビ番組「セブンルール」で著者の回を見て興味を持ち、借出。
    面白かった。詩に近いエッセイで、絵画を見るような気分で読める。番組でもいくつか面白い表現が紹介されていたので期待して読んだが、それ以上。独特の乱暴な文章で、けだるい、けど明るい、けど狂気を感じてぞわぞわする。かと思いきややけにアカデミックな表現だったりもする。
    「食通」はグルメ、評論家、職人、研究家を指し、「食好き」は単純に食べることに幸せを感じ追い求めているという認識で、著者は後者側で、つまりは自分側の感覚だと思っていた。しかし実際は「食好き」を越えて「食中毒」。追い求める貪欲さ、味わう五感が桁違い。それに独創的で攻撃的な文章表現が加わって、格好良い読み物になっている。
    お気に入りは『のさばるレモン考』。

  • フードブロガーで、生粋のごはん狂。平野紗季子さんのブログ本です。

    とある雑誌にて。センスがいいって、どういうことですか?という質問に「その人の感性に、天然的に大衆性があるということ、なのかなあ。」との答えに痺れ、ファンになりました。

    まだとてもお若い方なのですね。なのに、フレッシュな感性の中に老成された感性を感じるのは一体何故でしょうか。

  • 一ページ目から絶句して、深夜のスターバックスで途方に暮れた。自分の生きてきた26年間はなんだったのだろうと思った。言葉選びのセンス。ユーモアと素直さと色気。習慣は最強の武器だ、って、確か伊坂幸太郎の言葉だったと思うけど、それはまさにこういうことなんだろうなと思った。好きだから続ける、に勝る動機はない。

  • 食に造詣が深いだけでなく、文章も面白くあっという間に読み終えてしまった一冊。
    食に対する研ぎ澄まされた感性に感心する。
    私はライターとして雑誌にレストラン紹介の文章を書いている身なので、「不感症グルメ」のくだりは特に面白く、自分の職業を呪いたくなった。

  • 自分のような読書初心者には楽しくて仕方がない。
    私の食好きな性格と、変な性格に平野さんがよくマッチしていた。
    この作品を通じて平野さんに惹かれ、彼女を羨ましくも思っている。

  • 以前「天然生活」の本の特集で紹介されていて、気になっていた本。
    平成世代の考え方が新鮮でおもしろい。
    私はちょっと上なので反発しつつ共感しつつ。

    エッセイのほかに、ツイートみたいなところや対談なんかが出てくる雑多なかんじも、
    サブカルのにおいがぷんぷん。
    ちょっと前の(若い)自分が好きなかんじだなあと思いました。
    今は、こういう若いギザギザしたものに少し身構える自分もいます。
    孤食最高と言っちゃったり。生まれた頃からアルデンテだったり。
    そうだよね。言われてみれば自分もかも。
    「21でそんな固定概念に囚われているとあなたは即座に老け込む」にはっとしました。
    宇一さんという人との対談もおもしろかったです。
    つまみ食いみたいなかんじが楽しくて、結局けっこう好きな本でした。また読みたい。

  • 実用的で詩的で実験的で、最高だ!

  • なぜもっと早くに読まなかったんだと後悔するほどおもしろかった。特に小学生時代の食日記とロイヤルホスト小林さん(仮)観察日記は笑った。文章が洗練されすぎて、見たこともない食の表現が連発している。これを読んでいて、今まで自分は一体何を食べてきたんだろうと少しだけ情けなくなった。

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