商業空間は何の夢を見たか 1960~2010年代の都市と建築

  • 平凡社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582837391

感想・レビュー・書評

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  • 読み応えあり

  • 日本と欧米の広場の違いとは何か?から近代における日本の広場空間の発展について述べながらいかにその中で商業空間が進化してきたか、を大きく3パートに分けて記述した1冊。

    1960年代に新宿西口地下広場ができたが、その空間は学生運動の集う場として発展したことで本来の意図と違う使い方をされてしまい、人々が滞留しないような通行導線の一部とすることで、人が集まる空間としての機能が排除された。そしてその通行導線の両サイドに店舗機能が作られ、日本の「広場」は商業的な側面を帯びるものとなり、ショッピングセンターや百貨店に欠かせないものとなっていく。

    一方、大阪万博で作られたお祭り広場は日本古来からの「広場」の概念であるその時々で使い方が変わるということに近く、特筆すべきはお祭り広場という空間に存在する来場者が「見る」「見られる」という両側になり得たこと。
    これは現代の渋谷スクランブル交差点を舞台として、Qフロントのスターバックスやマークシティ連絡通路から「見る」「見られる」の関係性があり、特異な空間であることと似ている。
    そしてそのような商業的な広場空間を施設の中だけではなく、街との連続性を持たせたのが公園通りやスペイン坂を作った「渋谷パルコ」だ。施設自体を舞台化して、街全体から「見られる」を意識させた画期的な施設である。
    そんな「パルコ」の理念は新所沢パルコやつかしんなど、日本国内に広がっていった。

    ‥がすごくざっくりとした概略。
    「広場」という概念が日本でどのように発達してきたかは非常に面白いテーマであった。
    一方、特に三浦氏のパートは(パルコ関係者なので当然だが)パルコはこんなにもすご「かった」んだ!という論調が強く、若干引いてしまう。
    平成生まれの私としては、西武グループは堤氏の不祥事が物心ついた頃のイメージで、その後グループは瓦解し、パルコとルミネは年齢層の違いこそあれど同じようなファッションビルだし、パルコがカルチャーを産み出す先駆け的な存在‥という認識がないから。
    商業空間における広場の発展を語る上では、ラゾーナ川崎や表参道ヒルズ(ランドマークタワーも?)のような施設も考察に値すると思うので、結局はパルコすごい!商業の異端児!って過去のことを自画自賛したいだけだったんじゃん、ってオチになるのが非常に残念。
    そういう意味では多少パルコに触れつつも俯瞰した目線で書いている南後氏のパートは面白かった。

  • 他人の言葉を並べたり、これは俺がやったの自慢であったりの文章が多かった

  •  パルコ出身のアナリスト・三浦展が、カウンター・カルチャーとしてのパルコをあらためて日本の精神史に位置付け、社会学者の南後由和が、「日本的広場」論の経緯を踏まえた渋谷(パルコ)論を展開し、建築家の藤村龍至が、自身が住んでいた埼玉県所沢市の「新所沢パルコ」を出発点にして西武グループの建築史を振り返る。まるでパルコが編纂した社史のようにも見えるが、そうではない。60年代以降の日本における都市=商業史を語るとき、「コンセプトの時代」をリードしたパルコの仕事に着目するのは当然だといえる。
     80年代のセゾングループが盛況だった時代を、経済史的・文化史的に記録する文献は既に多い。この本のおもしろさは、その前史と後史、つまりパルコに流れ込んだ思想の源流と、現在の都市=商業が直面している状況を繋げて論じている点にある。
     例えば藤村龍至は、モールや駅ビル開発のような商業施設のさらなる巨大化と、それへの抵抗としての「小商い」を現代の商業トレンドとしたうえで、スモールビジネス系の新規参入を継続して担保するためには、そのような生態系の維持をコンセプトとしたグランドデサインが必要だと主張し、その手段としては公的介入も排除しない立場を採る。南後由和も、物理的な都市空間には容量の限界があるため、市場原理に任せておくと多様性が維持できないことを認め、「新しい公共」の構築を課題として掲げ、同調する。
     都市=商業のデザインを支える「コンセプト」とは、私たちの生活空間をどういうものにしたいのか、その設計思想そのものだ。60年代以降の思想史の末端に、現在の私たちの闘争局面を描き出そうとする本として、むしろ若い世代に薦めたい。

  • 商業空間という観点からみた70年代以降の建築史・都市史といった印象を受けた。また、デザインよりは社会の側面に焦点を当てている。

    郊外のショッピングセンターにおける広場やコミュニティのイメージの創出といったところで終わっているが、その後の展開については、あまり論じられていない。

    そのことによって、商業建築というもの自体が、独立したカテゴリーとして成り立ちにくくなってきているのではないかという印象を受けた。

    買い物自体が外出目的の主流から後退してきている現代において、商業空間がこれからどこに向かうのかということも、考えさせられる本だった。

  • 三浦展『システムに対する反抗ー商業施設にとっての七〇年代あるいはパルコ前史』南後由和『商業施設に埋蔵された「日本的広場」の行方』藤村龍至『八〇年代埼玉という場所ー「コンセプトの時代」の一断面』マーケティング、社会学、建築学、ちょっとずつ違う出自の論者が日本の商業空間が求めて来たものについてバトンを繋いで1960年から2020年までを走り切ります。それぞれに独自のテーマを追求しつつ見事に繋がってそれが過去を振り返るだけではなく未来への視点も指し示していると感じました。最後の章の鼎談で三浦展が『昔は、「形態はファンクション(機能)に規定される」と言われて、今では「形態はファイナンスに規定される」と言われているけど、その途中段階で「形態がフィクションに規定される」という時代が八〇年代にあったのかもしれない。』という発言をしていますがその虚構の中でセゾングループが夢見たものをの影響力の大きさに改めて。70年代後半に初めて渋谷西武に入った時の高揚感思い出します。

  • 【請求記号】6720:128

  • 広場と公園の違い
    日本的広場のの自然発生性

    鉄道会社に依存する生活

    郊外所沢論


    下町
    第一山手 文京
    第二山手 牛込四ツ谷丸の内
    第三山手 杉並世田谷目黒
    第四山手 町田立川所沢

    1945-70理想の時代 計画対ゲリラ
    70-95虚構の時代 テーマパーク対コンセプト
    95-2020 動物の時代 巨大化対スモールビジネス

    体制と抵抗の時代にパルコが第3項として文化を導入

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著者プロフィール

1958年新潟県生まれ。社会デザイン研究者。1982年一橋大学社会学部卒業。株式会社パルコ入社。マーケティング情報誌「アクロス」編集室勤務。1986年同誌編集長。1990年三菱総合研究所入社。1999 年カルチャースタディーズ研究所設立。消費社会、家族、若者、階層、都市、郊外などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。著書にベストセラーとなった『下流社会』(光文社新書)のほか、『下町はなぜ人を惹きつけるのか?』(光文社新書)、『都心集中の真実』(ちくま新書)、『吉祥寺スタイル』(文藝春秋)、『コロナが加速する格差消費』『第四の消費』(朝日新書)、『横丁の引力』『1980年代から見た日本の未来』(イースト新書)などがある。

「2021年 『花街の引力 東京の三業地、赤線跡を歩く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三浦展の作品

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