- 平凡社 (2025年2月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784582839654
作品紹介・あらすじ
働かない、働けない、働きたくない……。
「普通の働き方」ってなんだろう?
ロスジェネ世代、非正規雇用、職場のハラスメント、
うつと休職、生活保護、障害年金──
『ぼそぼそ声のフェミニズム』著者がつづる
〈働けない〉側から考える、あたらしい労働論。
「ウェブ平凡」で話題を呼んだ好評連載に、書き下ろしを加え書籍化!
〈目次〉
はじめに
一章 働かない、働けない、働きたくない
……時代が私に追いついてきてしまったのか?
「正規雇用」の「正」ってナニ? ──正規雇用と非正規雇用の分断の正体
働けない人間の身に起きたこと──年金制度に潜む差別
独身女性のイメージの変遷を追ってみる──ゼロ年代から二〇年代まで
インボイス制度──国家や企業の本音が透け透け
「女性活躍」とは何なのか? ──「女性の人権」とは似て非なるもの
世界は無償労働で回っている──有償労働と無償労働の違いって?
二章 「普通になりたい」という願望
“怠ける”というタブー ──うつ病の人が闘う相手とは
「お天気屋さん」として生きている
いつまでも楽にならない労働の話
頑張りゃいいってものじゃない
「おおきなかぶ」と「新時代の『日本的経営』」
三章 不安定な私の労働と、働かなくてもよい人たち
「怠け者」列伝
働いているけど、働いてない
不労所得──あるいは「稼ぎ」が目的ではない仕事
ポイ活──消費の導火線、あるいは労働の残滓
おわりに
〈著者プロフィール〉
栗田隆子(くりた・りゅうこ) 文筆家。1973年生まれ。大阪大学大学院で哲学を学び、シモーヌ・ヴェイユを研究。その後、非常勤職や派遣社員などのかたわら女性の貧困問題や労働問題を中心に新聞・雑誌などで執筆。著書に『ぼそぼそ声のフェミニズム』(作品社)、『呻きから始まる 祈りと行動に関する24の手紙』(新教出版社)、『ハマれないまま、生きてます こどもとおとなのあいだ(シリーズ「あいだで考える」)』(創元社)、共著に『1995年 未了の問題圏』(大月書店)、『フェミニズムはだれのもの? フリーターズフリー対談集』(人文書院)、『高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?』(光文社新書)など。
みんなの感想まとめ
働けないというテーマを深く掘り下げた本書は、ロスジェネ世代や非正規雇用の現実、さらには障害年金や生活保護といった社会制度についての考察を通じて、労働の意味を問い直します。著者は自身の経験をもとに、ただ...
感想・レビュー・書評
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「働けない」と言うロスジェネ世代の著者による「はたらき」について語られた本である。
文筆業と名乗っている著者がそれだけでは「飯を食えている」わけではないからアルバイトもしている。
そして障害年金額を受給し、知人の空き家を無料で借りて生きながらえているし、かつては生活保護者を受給したこともあると言う。
だからこそ、働きたいが働けないことが身体が辛いときがあるから働きたくないのか、それが働けない理由なのか…を生活するためにずっと考えているのだろうと察せられる。
伝説の人や本などで例えている部分もあって、読み易くはあったが、今の社会情勢のなか不安定な労働で生活をしている身となれば、自分のこともついつい考えてしまう。
いったいいつまでこんな働き方を続けていけるのだろうかと思わなくもない。
ころころと制度が変わる年金についても不安でしかない。
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去年の半ばから、なんかちょっとしんどいなぁと思いながら、そんな自分の声に応えてくれそうな本に手を伸ばして色々読んできた。その中で、星座を作るように点つなぎ遊びをしてみるならば⋯
野坂きみ子『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』の中で提示されていた、「発達障害というものが人類史においてここ数十年で“発見された”ということをどう捉えるべきなのか?」という問いへのひとつの答えに、本書はなるのではないかと思う。「働けない」とは、産業社会からはみ出しちゃいましたということだが、産業社会の側から見ればそれは傷病だったり障害だったり個人の性格の問題だったりして、それを周縁者として位置づければ制度は維持される。周縁者として位置づけるというのは、(被害者意識の高い言葉ととられるかもしれないが)いないとみなすことであり、「もはやインクルージョンできない」という野坂さんの表現もまた思い出される。
さらに、キャロル・ギリガン『人間の声で』を組み合わせると、これは希望になるのか絶望になるのかわからないが、既存の制度(ギリガン著書の言葉でいうと家父長制)のなかでは、周縁者(ギリガン著書の中では女)の声は失われる(ついでにいうと周縁ではない「男」のほうは心を失う)。「主人の道具を使っている限り、主人の家を取り壊すことはできない(オードリー・ロード)」という引用もあったとおり、既存の枠組みの中では何を言っても聞き届けられないことはもうわかっているのだ。
今、「主人の道具を⋯」という引用文を確認するために私のギリガンメモ(=ギリガンの『人間の声で』を読んだときに私がとったメモ)をチラ見したら、そのあとに、「しかし、他にも道具はある、それだけでなく、他の道具を私たちはすでに持っている」というギリガンの言葉が続いていた。それは希望だ。しかし、このメモの出どころそのものは、その声による動きが、現状維持の方向に働く力の強大さに阻まれた事例の文脈だったことも思い出した。こっちは絶望だ⋯いや待てよ、希望がある限り“絶”望ではないか。
栗田隆子さんのことはこの本で初めて知ったが、このような本が出版されていることだけとってみても、まだこの世も捨てたものではないかもしれない、と思う。栗田さんの己を見つめる鋭さというか温度感というか突き詰めすぎてますます複雑化していく感じは、素晴らしいとか優れているとかではなく私は自分にとても近いものを感じてしまい、私はすごくわかるよと抱きしめにいきたいような逆にこの人の前で大泣きして抱きしめられたいようないやそんなことお互いしたくないですよねでも握手だけいや見つめるだけしてもいいですかみたいな、よくわからない昂ぶった気持ちに何度かなった。そして、本書への否定的な感想やコメントを目にするとまた暗い気持ちになったりと、布団の上から動いてないし誰にも会ってないのに、脳と心だけはカロリー消費が激しい昼下がりである。
他の本や自分の話ばかりで本書の内容の紹介みたいなことができていないが、そういうテンションなので要点まとめは荷が重い。代わりに、とある一部分を、「他の箇所だってたくさん良いんだけどさ」とブツブツ言いながら、引用させてもらって終わりにします。
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そんな時代において静かに横になっていることは、他人への、ひいては社会への地味な問いかけになっているかもしれない。そして何より怠けていようが寝ていようが病んでいようが、あなたが今存在していることを否定できる人は誰もいない。いてはならない。あなたが今はただ眠ることで生き延びているならば、それはなによりも大事な営みなのだ。賃労働とは真逆であっても。(p.109) -
強烈で衝撃的でした…
貧困、女性、働けない…いろいろ考えるきっかけになりました。 -
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<読んでみた>『「働けない」をとことん考えてみた。』栗田隆子著:北海道新聞デジタル会員限定記事2025年3月4日
https://www.h...<読んでみた>『「働けない」をとことん考えてみた。』栗田隆子著:北海道新聞デジタル会員限定記事2025年3月4日
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1129161/2025/03/04
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とことん、考えて出た結果がこちらでは私は合わなかったな、の言葉につきます。
資本主義や社会の仕組みとしてそうっていうのはあるんだろうけれど、著者のフェミニズムからの叫びが私にはノイズでした。事実としてはそうだけどそういっても仕方がないし、現実をうまいこと組み立てていくしかないんじゃないかと思ったり。
資本主義批判とフェミニズムの叫びに浸りたい人にはおすすめです。でも私みたいに、今病気で働けなくて困っているから何か案があれば……と思う人にはおすすめできません。 -
タイトルおよびサブタイトルから何となく読み取れるが、様々な諸事情により「働けない」著者の「普通の人(男性、健常者、正社員…)」を基準に作られたとしか思えない社会制度に対する怒りや不信感が綴られた(叫ばれた)本。
人によって生き方や考え方は必ず異なる。怒りを覚えるのは理解はできる。
きちんと全ての立場を理解しておきたい、と思い本書など様々な立場の方の意見に目を通す訳だが、そこは自分も人間なので、読み進めるうちに「でもねぇ…」という気持も湧いてくる。
そのうちに読むのが苦しくなってくる。人とは自分とは異なる意見を一方的に入れていると不愉快になってくるものらしい。そして気がつく。これだ。理解とは、双方で合意形成を図る形を取らないと深まらないのだ。本書も主張のみでなく(主張への対応が疎かという紹介だけでなく)、異なる意見の人々のディスカッション形式なら、もっと理解が深まったのかもしれない。
本書は多くの法律をしっかりとひいて論を進めており、語り口も軽快なので読みやすい。この点はお薦めである。 -
「ウェブ平凡」の連載に書き下ろしを加えたもの。
・世間では「労働」を「当たり前」のものと捉えて論ずるものが多い。当たり前、の中には、とりあえず「よいもの」としている議論が大半だ。でも、栗田さんはその議論には与したくない。さりとて、資本主義を暴走させるような「わるいもの」という議論にも与しない。労働そのものの議論が薄いからだ。
・「働く」「働かない」の2つだと、善悪二元論になってしまうのは、ワタシも感じている。ここに栗田さんは「働けない」も加えて考えている。「働けない」理由があるとき「働かない」のと、自己責任論の人たち?がいう「働きたくない」という「わるい」わがままで「働かない」選択をすることと、切り分けられる。
・栗田さんの議論には、栗田さん自身の経験が盛り込まれていて、ここが読み甲斐があるところ。どんどん読めるのだけど、読み終わって、本当にさまざまな切り口でさまざまな問題が積み残された社会に毎度びっくりする。議論で紹介されたデータや他の人の考えなどには、アクセスしやすいかたちで出典が示されているのがうれしい。
・電子書籍あり。 -
働くことが辛いからこそ、「働いていない」人(そしてこの中に「働けない人」も含む)に「ズルい」という思いを抱いてしまう、というのはまさにそうだと感じた。もう少し働くことにグラデーションがあればいいのにと思っている。いや、いまもそれなりに色々な働き方があるのだけど、フルタイム正社員以外の働き方が割に合わなすぎる(要するに儲からない)んだよなあ…。
なので今日も明日も残業しながらフルタイムで働くしかない。 -
高学歴ながら正社員として働けてこなかった著者。
自分も氷河期世代で、正社員として働けた期間も短くて、社会の周辺にいるなんとなくぼんやりした存在として自信がないところがある。いまだにそれは努力不足やうまくやれなさが原因だと思っているところがあるのだけど、やはりシステムの問題なのだよなあと。
男性既婚子持ち…の優位なもの中心に巧妙に設計された日本社会で、ではどうやって生きていくのか。巧妙な誘導にだまされないで、自分の頭で考えなければ、と思った。 -
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「とことん」だとはあまり感じられなかった
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総選挙が終わり、今回は無事に投票を済ませた。正直、積極的に行きたかったわけではない。休日にわざわざ出向くのは少し億劫だ。それでも前回は体調不良で行けなかったこともあり、今回は行けてよかったと、投票所を出たとき少しだけ達成感のようなものがあった。「ちゃんと」行こうと思っていたが、その「ちゃんと」が何なのかは今もよく分からない。たぶん自分なりのけじめ、くらいの意味なのかな・・・脱線が過ぎてしまった。
本著は、非正規雇用や男女差別、ケア労働の偏りを通して、「働けない」とされる人の声を丁寧に拾い上げる。働けないことが努力不足や自己責任として片づけられる社会のまなざしを静かに問い直す。
読みながら、かつて思うように働けず、世間の速度についていけず職にあぶれていた私自身のことを思い出した。焦りと後ろめたさの中にいたあの頃のことだ。
そんな私は、現在は労使の間に立つ。結局、投票でも「俺が明日も飯を食えるか」を基準に選んだ。その切実さは、立場が変わっても消えないらしい。 -
哲学を学んでいたとのことで本の引用が素敵でした。自分も世の中ではマイノリティ側の人間だと思っていたが、さらに困難にぶち当たってる人を見ると目を背けたくなってしまうことに気付かされる。労働の話というよりはいちエッセイとして見たほうがよさそうな。
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自分が言語化したかったことをつぶさに語ってくれていてありがたく思った(自分の言葉で語ることを諦めないようにしようと思いつつ)。似た立場である部分もあるし、能力や環境の違いを感じる部分もある。そもそも働けないことについて当事者(かつ文筆家)が語っている本があるだけで嬉しい。
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2025/05/09予約 25
ハラスメントの被害者は無賃で対処するのに対して、加害者は賃金をもらいながらハラスメントをしているという話は確かにそうだと思う。同じ構造が犯罪被害者と加害者の関係というのもある。
そして障害や病気で働けない人は『普通の人』でさえなく、論点にも上がらないんだな…最後の砦の生活保護も受ける条件が整わずに貧困に陥る人は今後ますます増えるのかもしれない。
著者と同意見ではないが、あまり見たことのない視点から描かれた本なので貴重。
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働けない人はもちろん、休み明けの仕事が憂鬱な人とか、今やってる仕事にもやもやを抱えているすべての人に刺さるんじゃないかな
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普通に働いている人にとっては働けない人は異質な存在で、著者はそれを全てフラットに考えたいと思っているんだと思う。
働けないのを責めるような社会の仕組みがおかしいのだと。
言いたいことも分からなくはないが、毎月多額の税金が給与から引かれてその一部が働けない人の社会保障や年金の一部になってると思うと、どの口が言ってんだという気持ちになってしまう。
働けない人を支えるお金を働ける人が補助してるのに。 -
自分の現状と照らし合わせて読もうと思い購読したが、フェミニズム的観点の「働けない」に対する内容が多く、私が求めていた内容とは違った。
ただ、その中でも共感できる部分やこういった考え方もあるのかと学べる部分もあった。
著者プロフィール
栗田隆子の作品
