眠れない夜のために

  • 平凡社 (2024年11月15日発売)
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本 ・本 (120ページ) / ISBN・EAN: 9784582839739

作品紹介・あらすじ

直木賞作家・千早茜が紡ぐ、10の夜の物語。
人気イラストレーター・西淑による美しい挿絵とともに味わう、「眠れない夜」をテーマにした短編集。

「眠らなくてはと、まぶたを閉じる。けれど、目の奥にすこんとした空洞がある」。家族が寝静まった深夜、ひとり台所に佇む時間──第一夜「空洞」

「夜にあるのは、見えない恐ろしさではなく、見ようとしてしまう恐ろしさ」。美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に、ある日旅人が訪れて──第八夜「繡(うつく)しい夜」

「夜の底の黄金よ、君の寝顔は本当に変わらないから、こんな静かな晩は永遠に続く夜に閉じ込められてしまったような心持ちになるのだ」。眠り続ける「君」の呼吸に、傍らで耳をすます──第九夜「寝息」

……ほか、夜の世界へと誘う10篇を所収。


【著者略歴】
千早茜 (ちはや・あかね)
1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。『ひきなみ』『赤い月の香り』『マリエ』『グリフィスの傷』『雷と走る』、食エッセイ『わるい食べもの』シリーズなど著書多数。

絵=西淑 (にし・しゅく)
福岡県生まれ。雑誌、広告、パッケージ、書籍の装幀などのイラストレーションを手がける。京都を拠点に活動中。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館にてお借りした1冊です♪
    千早茜さん、これで4冊目 (・ω・)ノ*。.・°*

    本書は千早さんの美しい言葉で、夜の静けさや孤独感を繊細に描き出し、読者を夜の世界へと誘います。

    この短編集の魅力は、各話が異なる視点や状況から「眠れない夜」を描いている点です。
    例えば、「空洞」では、家族が寝静まった深夜に一人台所に佇む時間が描かれています。

    この物語は、日常の中で感じる孤独や静寂の中での思索を通じて、読者に共感を呼び起こします。
    また、「繡(うつく)しい夜」では、美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に旅人が訪れる話が展開されます。
    この物語は、異なる世界が交わる瞬間の美しさや儚さを描いており、読者に深い印象を与えます。

    千早茜の文章は非常に美しく、詩的でありながらも読みやすいです。
    彼女の描く夜の風景や登場人物の心情は、まるで絵画のように鮮やかに浮かび上がります。
    また、西淑による挿絵も物語の雰囲気を一層引き立てており、視覚的にも楽しめる作品となっています。

    この短編集を通じて、読者は夜の静けさや孤独感、そしてその中で見つける小さな希望や喜びを感じることができます。
    眠れない夜に感じる不安や恐怖も描かれていますが、それらを乗り越える力強さや優しさも同時に伝わってきます。

    『眠れない夜のために』は、夜の時間をゆっくりと味わいながら読みたい一冊です。
    千早茜の繊細な描写と西淑の美しい挿絵が織りなすこの作品は、読者に深い感動を与えることでしょう。
    夜の静けさや孤独感を感じることがある人にとって、この本は心の支えとなるかもしれません。



    <あらすじ>
    直木賞作家の千早茜による短編集です。この本は、眠れない夜をテーマにした10の物語が収められています。各話には人気イラストレーターの西淑による美しい挿絵が添えられています。

    物語の一つ「空洞」では、家族が寝静まった深夜に一人台所に佇む時間が描かれています。また、「繡(うつく)しい夜」では、美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に旅人が訪れる話が展開されます。他にも、眠れない夜に感じる恐ろしさや静寂の中での思索が描かれた物語が含まれています。

    この本は、夜の静けさや孤独感を繊細に描き出し、読者を夜の世界へと誘います。ゆっくりと味わいながら読むのにぴったりの一冊です。



    本の概要
    直木賞作家・千早茜が紡ぐ、10の夜の物語。
    人気イラストレーター・西淑による美しい挿絵とともに味わう、「眠れない夜」をテーマにした短編集。

    「眠らなくてはと、まぶたを閉じる。けれど、目の奥にすこんとした空洞がある」。家族が寝静まった深夜、ひとり台所に佇む時間──第一夜「空洞」

    「夜にあるのは、見えない恐ろしさではなく、見ようとしてしまう恐ろしさ」。美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に、ある日旅人が訪れて──第八夜「繡(うつく)しい夜」

    「夜の底の黄金よ、君の寝顔は本当に変わらないから、こんな静かな晩は永遠に続く夜に閉じ込められてしまったような心持ちになるのだ」。眠り続ける「君」の呼吸に、傍らで耳をすます──第九夜「寝息」

    ……ほか、夜の世界へと誘う10篇を所収。


    【著者略歴】
    千早茜 (ちはや・あかね)
    1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。『ひきなみ』『赤い月の香り』『マリエ』『グリフィスの傷』『雷と走る』、食エッセイ『わるい食べもの』シリーズなど著書多数。

    絵=西淑 (にし・しゅく)
    福岡県生まれ。雑誌、広告、パッケージ、書籍の装幀などのイラストレーションを手がける。京都を拠点に活動中。

  • 千早茜さんの作品は7冊目。

    「眠れない夜」をテーマにした10編の短編集。

    読み始めから、千早茜さんにしか感じられない独特の雰囲気に呑み込まれる。
    あぁ、これだ。 久しぶりの感覚。

    西淑さんの挿絵が素敵で、物語の特別感を彩っている。

    個人的に好きなのは
      「木守柿」「夜の王」「寝息」

    すごく良かったのに長編が読みたくなるのは、なぜだろう。以前に購入したとっておきの2冊、そろそろ読もうかな。

    • かなさん
      おはようございます。
      ですよね!千早茜さんの作品、長編を読みたいです。
      でも、私も「木守柿」が好きです(*^^)v
      おはようございます。
      ですよね!千早茜さんの作品、長編を読みたいです。
      でも、私も「木守柿」が好きです(*^^)v
      2025/04/03
    • ミユキさん
      かなさん、コメントありがとうございます。
      千早茜さん、いいてすよね。
      たくさん読みたい本があるので、同じ著者の本は連続して読まないようにして...
      かなさん、コメントありがとうございます。
      千早茜さん、いいてすよね。
      たくさん読みたい本があるので、同じ著者の本は連続して読まないようにしていますが、千早茜さんの本は連続して読みたい衝動にかられます。
      2025/04/03
  • 「眠れない夜」をテーマにしたショートショート作品でしたが、それぞれの世界観にどっぷり浸ることができ、楽しく読むことができました。

    本作は「眠れない夜」をテーマにしたショートショート作品が10編おさまっている短編集。夜中にこっそりお菓子を食べるお話や、スマホを見ちゃうお話、寝たきりの妻を思うお話などさまざまな作品が収録されております。

    個人的に好きだったのは、「「森をさまよう」と「木守柿」で、「森をさまよう」は比喩が上手くて、千早さんの感性がすごいなって素直に思いました。対して「木守柿」はストーリーが好きで、幼少時代の思い出から現在に至るまでの象徴として「柿」があり、特に思い出の柿の木によって、もたらされたものが素敵だなって思いました。あと「柿色」の人っていう表現も、物語に合わせた表現で、とても素敵で印象に残りました。

    お話とは別になるのですが、挿絵もとても素敵で、千早さんの世界観をいっそう深めてくれているような気がしました。

  •  こちらは、千早茜さんの作品で10編の眠れない夜に纏わる短編集です。イラストは西淑さん…この作品のテーマにピッタリなんです。それぞれの短編は、「眠れない夜は…」でからはじまっています。なんか、夏目漱石先生の「夢十夜」が思い出されます。雰囲気もちょっと似てるかな‥。

     で、こちらの作品、どれもしんみりした静かな夜を思い浮かべることができます。私は第六夜の「木守柿」が一番好きです。あたたかい柿色が好きになりました。あとは、第一夜の「空洞」のクッキー缶は、ウチにもなんか捨てられなくていっぱいあったりして、マイ宝もの入れにしてましたね!

     でもやっぱ、短編じゃなくて長編も読みたいな…。

    • かなさん
      1Q84O1さん、お疲れ様です!
      というか、お疲れなのは私でしたね(^-^;
      装丁ですねぇ…
      1Q84O1さん、お疲れ様です!
      というか、お疲れなのは私でしたね(^-^;
      装丁ですねぇ…
      2024/12/26
    • 1Q84O1さん
      かなさん

      今日はとにかくゆっくり休んでください!w
      かなさん

      今日はとにかくゆっくり休んでください!w
      2024/12/26
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      ゆっくり休めました(*^^)v
      読みたい本が読めなかったけど…
      まぁ…仕方ないですね(汗)
      1Q84O1さん、おはようございます。
      ゆっくり休めました(*^^)v
      読みたい本が読めなかったけど…
      まぁ…仕方ないですね(汗)
      2024/12/27
  • 千早茜さんの作品はこれで3作目!
    眠れない夜をテーマにした短編集。

    自分自身も眠りが浅いから真夜中に目覚めて
    そこから眠れず、眠れないことへの焦りや明日への
    不安とかどんどんネガティブなことを考えてしまう。

    けれど、この本の中の眠れない人や生き物たちが
    織りなす物語を見ていると、眠れない人は自分だけじゃないんだなぁーと少しホッとしてしまった。

    千早さんの幻想的な文章や比喩の仕方は、
    眠れない夜をちょっとしたファンタジーに
    してしまうから素敵。

    特に好きだったお話は
    ◉「森をさまよう」眠れない夜にSNSをしてしまう
    女性のお話。ついついスマホって見たら眠れなくなるのに、触ってしまって、ますます目が冴えるよね

    ◉「水のいきもの」眠れず、夜の外を歩く女性のお話。自分も何回か夜の公園を散歩したことあるけれど、暗いから少し怖いなと思いつつも非日常的で
    ワクワクしてくるんだよねと思った。

    眠れなくて不安や焦りを感じてしまう人は
    この本を手に取れば、自然とまぶたが重くなって
    良い眠りにつけるかもしれません。

  • 眠れない夜をテーマにした10編の短編集。

    眠れない夜をみんなはどう過ごすのだろう。
    私は、静かな夜は微かに聴こえる音を楽しみたいと思う。
    それは、雨であったり道路を走る車の音だったり…
    ちょっと苦手なのは、時計の針が進む音。
    早く早く寝なきゃと思ってしまうから。

    この物語は、優しくもあり不思議さもあり。
    心地よい雰囲気を味わえる。

    音をいちばん感じたのは「空洞」で、缶にかちんとネイルが触れるとか、缶の蓋を開け、はりはりと音をたてる薄い紙をひろげるの表現が好き。
    眠れない夜は、から始まるそれぞれの夜。


    第一夜 空洞〜眠れない夜は、クッキー缶を開ける。
    第二夜 森をさまよう〜眠れない夜は、ばけものになる。
    第三夜 水のいきもの〜眠れない夜は、ないと思っていた。
    第四夜 あめ〜眠れない夜は、雨が降っている。
    第五夜 しじまの園〜眠れない夜は、ここに来るといいですよ。
    第六夜 木守柿〜眠れない夜は、お腹のなかからやってきます。
    第七夜 夜の王〜眠れない夜は、おれのもの。
    第八夜 繡しい夜〜眠れない夜は、すぐそばに*※※※がきているのだと云う。
    第九夜 寝息〜眠れない夜は、君の呼吸に耳をすます。
    第十夜 仕舞いの儀式〜眠れない夜は、どうやって過ごしていただろう。

    第十夜のイラストが一番好き。
    朝日を見ている後ろ姿に新たな思いを感じた。





  • 眠れない夜は、の書き出しで始まる、誰かの眠れない夜を描くみじかいおはなしが十篇。

    挿絵がついて、大人の絵本のような味わい。

    うつくしい文章とイラストに贅沢さを感じながら拝読。

    第三夜 水のいきもの、第四夜 あめ、第八夜 繍(うつく)しい夜、が印象に残った。

    いちばんは、あめ、かな。

    後半二夜の扉絵のカラーが、夜が明け、空が白んでいく様子を表していて素敵。

    久しぶりの小説、堪能しました。

  • 夜にまつわる10の短編集。
    1編が10ページ程なので、ちょうど寝る前に読むのにぴったりのボリューム。私は一気に読んでしまったけど。
    眠れない夜というのがほぼないのだけど、眠れないことで感じる焦りがなくなりそうな本だなと思った。
    不安、焦りをそっと包みこんでくれるような静かな物語と、それにぴったりのイラストに癒された。

  • 「なんとなく眠れない夜」に読むのにぴったりな短編が10編。夜の世界もいいものだなぁと思える素敵な作品集でした。ところどころ挿し絵もあり、美しくて心癒されました。

  • 眠れない夜のための物語でした。本の装丁も挿画も、深い夜のイメージでした。静かな夜に、ページをめくるのがいいかもしれないと思いました。

    眠れない夜は、クッキー缶を開ける。
    眠れない夜は、ばけものになる。
    眠れない夜は、ないと思っていた。
    眠れない夜は、雨が降っている。
    眠れない夜は、ここに来るといいですよ。
    眠れない夜は、お腹のなかからやってきます。
    眠れない夜は、おれのもの。
    眠れない夜は、すぐそばに■■がきているのだと云う。
    眠れない夜は、君の呼吸に耳をすます。
    眠れない夜は、どうやって過ごしていただろう。

    これらの9つの冒頭の言葉から、紡がれた短編集。6話目の『木守柿』と9話目の『寝息』、そして10話目の『仕舞いの儀式』がよかったです。

    • かなさん
      フリージアさん、こんばんは!
      同じタイミングで、この作品のレビューができましたね(*´∀`)
      ちょっと、嬉しく思いました♡
      しかも「木...
      フリージアさん、こんばんは!
      同じタイミングで、この作品のレビューができましたね(*´∀`)
      ちょっと、嬉しく思いました♡
      しかも「木守柿」が好きだっていうのも同じ♪
      私は、“柿色”から目が離せなくなりそうです。
      2024/12/22
    • フリージアさん
      かなさん、こんばんは!
      私も、この偶然にひとりで喜んでいました♪
      オレンジ色ではなくて、柿色ですよね。食後に柿を食べて、この色だと思っていた...
      かなさん、こんばんは!
      私も、この偶然にひとりで喜んでいました♪
      オレンジ色ではなくて、柿色ですよね。食後に柿を食べて、この色だと思っていたところでした。
      2024/12/22
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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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