装幀列伝: 本を設計する仕事人たち (平凡社新書 241)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582852417

作品紹介・あらすじ

明治の洋装本以来、日本の装幀文化は、時を追って深みを増し、奥行きを広げていった。編集者による仕事、詩人による仕事、著者自装、画家、版画家、イラストレーターたちによる仕事。そして杉浦康平と杉浦を師と仰ぐデザイナーたち。また一方、独自の世界を築き上げたミニマリストたち。現代日本の装幀文化の水脈を、幅広く掘り起こした注目の書。

感想・レビュー・書評

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  • 編集者の仕事から
    専門の職人の仕事に変わった
    りゅうちょうファッション

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00121397

  • 今となってはかなり前から一昔の話だが、この手の話を知っておきたい人にはおすすめ。

  • 本は好き。というか本屋が好き?読むのも大好き。翻って、それぞれの本がどんな風な恰好をしているのかも気になる。でも、気になるだけなんだな。基本的に読むのは文庫になってからだから、表紙デザイン以外、そんなに違いがある訳じゃない。それでも大丈夫ってことは、装幀まではそれほど気にしてないってこと。確かに単行本を見ると、それぞれに結構個性があって、凝った仕上がりのものも色々目にはするし、”お!すげー!”って思うんだけど、じゃあそれが誰の手になって、どんな工夫があるのか、ってところまでは、そこまで興味が沸かないのでした。という訳で、本書もほとんど流し読んじゃいました次第。

  • 本は好きだが、もっぱら文庫本か新書なので、装丁の拘りや美意識はあまり気にしたことがない。しかし本書では、そうした本の外見の装いに飽くなき拘りをもち挑戦し続けた人物たち--- デザイナー・画家・イラストレーター・編集者・そして本の著者自身 ---- の仕事っぷりが紹介される。著者自身が業界の内側にいる人なので、専門用語の多用や暗黙の前提知識の要求が鼻につくが、仕事人とその作品の価値は十分伝わってくる。
    「装幀はいうならば文化を盛る器である」という言葉が印象に残っているが、実際は作品を読み、解釈したうえで、装丁を表現するという。特注で専用の器である。今の時代、ちょいと奇抜な装いの単行本を見ても、あまり驚きはしないが、それを最初に思いついて実行に移した仕事人たちがいたということは覚えておこう。

  • [ 内容 ]
    明治の洋装本以来、日本の装幀文化は、時を追って深みを増し、奥行きを広げていった。編集者による仕事、詩人による仕事、著者自装、画家、版画家、イラストレーターたちによる仕事。
    そして杉浦康平と杉浦を師と仰ぐデザイナーたち。
    また一方、独自の世界を築き上げたミニマリストたち。
    現代日本の装幀文化の水脈を、幅広く掘り起こした注目の書。

    [ 目次 ]
    1 編集者の仕事―「不易のかたち」が語りかけるもの
    2 詩人の仕事―「詩画一致」が紡ぐ感覚のひらめき
    3 版画家の仕事―印刷との親和にたつ堅固で密度あるイメージ
    4 画家の仕事―偏見を打ち破るイメージの魅惑と思想の定着
    5 イラストレーターの仕事―問われる装画と書物空間との関係性
    6 「幻の装幀家」の仕事―創造性の裾野の広がりを示すプロフェッショナリズム
    7 著者自装の仕事―動機の強さがうむ意表外の着想
    8 杉浦イズム咀嚼の仕事―影響・感化から深めた独自の世界への道筋
    9 ミニマリストの仕事―抑制された手法で造本の「原型」を見すえる潔さ
    10 現代の旗手の仕事―飽和状態を砕く可能性への果敢な挑戦

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2009/10/31購入
    2009/12/21読了

  • 本の装幀家というと、杉浦康平はじめ専門のイラストレーターを思い浮かべることが多い。
    だが50〜60年代には本のプロデューサーとしての編集者の仕事とみなされていたし、
    詩人(朔太郎もやっていた!)や版画家、画家などによる装幀もそれぞれに味がある、と著者はいう。

    なかでも詩人・瀧口修造の仕事が目についた。
    「絵は無声の詩、詩は有声の絵」(シモニデス)のアフォリズムから、
    詩と美術(=装幀)の共通点を「心に見るイマージュ」の追求に見た瀧口。
    「本はまた見えて触れられて、しかも見えず触れられない要素を同時に持つ存在である」(p.40)
    という瀧口のことばには、詩人としての装幀づくりの本質が宿っている。

    自装家・萩原朔太郎のことばも書き留めておく。
    「最良の装幀者は、内容を最もよく理解している人、即ち著者自身だ」(p.116)
    簡明だ。

    ただし個人的には、こうした本の物質性に対する嗜好が、
    ある種美学的なものとのセットでしか受容されないことに反感がある。
    三島由紀夫、澁澤龍彦、寺山修司、『ダダ・シュルレアリスム』(トリスタン・ツァラ)など、
    この本で紹介されている、優れた装幀をこしらえた書籍の著者やテーマはどれも「美しい」。
    その点、祖父江慎による京極夏彦『どすこい』など、現代の装幀家による仕事(マンガ含む)は多彩だ。

    ざっくり言うと、<いい装幀=美しいテーマ>の定式を破る作品が増えるといいな、ということなのだが。
    たとえばノンフィクションとか、どっかの企業の社長さんの立志伝とかさ。

  • 明治の洋装本以来、日本の装幀文化は、時を追って深みを増し、奥行きを
    広げていった。編集者による仕事、詩人による仕事、著者自装、画家、版画家、
    イラストレーターたちによる仕事。そして杉浦康平と杉浦を師と仰ぐデザイナー
    たち。また一方、独自の世界を築き上げたミニマリストたち。現代日本の装幀
    文化の水脈を、幅広く掘り起こした注目の書。

  • 本の顔は中身を語る。

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著者プロフィール

1943年、長野県生まれ。『デザイン』誌(美術出版社)編集長などを経て1999年からフリー。グラフィックデザインと現代装幀史、文字文化分野の編集協力および執筆活動に従事。おもな著書に『装幀時代』(晶文社)、『現代装幀』(美学出版)、『装幀列伝 本を設計する仕事人たち』『杉浦康平のデザイン』(ともに平凡社新書)、『工作舎物語 眠りたくなかった時代』(左右社)、編著に『書影の森 筑摩書房の装幀1940ー2014』(みずのわ出版)などがある。日本タイポグラフィ協会顕彰 第十九回佐藤敬之輔賞を受賞。

「2020年 『〈美しい本〉の文化誌 装幀百十年の系譜(3,000円+税、Book&Design)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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