- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582852875
作品紹介・あらすじ
欧化政策、村共同体の崩壊、新しい価値観の波-。現代にも似た転換期の日本、明治後期という時代を、「先生」も「私」も「K」も、それぞれの立場で必死に生きました。その心の揺れ、やむにやまれぬ行為の中にこそ、今をより深く長きるための、思いがけない光が潜んでいます。再読・精読の至福のうちに、どうかそれに出会ってください。漱石の「こゝろ」を、私たちはこれまで、ほんとうに、読んだといえるのだろうか。
感想・レビュー・書評
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読みやすい一冊。
一人の著者だとどうしても、論集などに比べて偏りを感じるが、一人の意見で正解はないことを念頭に置いて読むなら興味深い。 -
夏目漱石「こヽろ」について、成立と構造を述べたのち上・中・下の展開に沿って論。新書版なので持ち運びがしやすく、なおかつすっきりとしている。
上における「私」と「先生」について、鎌倉の海でバシャバシャと泳ぐ私/ぷかりと仰向けに浮かぶ先生などから、「私」と「先生」のあいだにあるずれのようなものを探る。
また、中の「私」と父にスポットを当て「私」の物の見方に対して父の対応が丁寧に拾われている印象があった。
下についてはお嬢さん・おかみさんと先生、Kと先生それぞれにスポット。お嬢さん・おかみさんの計算高さについてはある程度認めながらも自然になされるものと見、Kとの関係については儒教的道徳心と文明開化以降人々が直面した立身出世(資産形成)及び新しい道徳について、先生のおじ、「私」の兄などと絡めて述。 -
『こゝろ』を読んだのは高校2年生の頃だった。『こゝろ』だけでなく、漱石の小説は高校生の時分に1年7箇月かけて全て読破した。私の骨髄の奥には漱石がある。 30年経ち、いまこの評論を読んでまた改めて『こゝろ』を読んでみたくなった。「私」よりも寧ろ「先生」に近い齢となった今、受け留める印象もまた変わっているだろう。
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自分が読んでて気付かなかった見解や新しい見方などができて面白かった。<br>
「こころ」はいいなあ。