本居宣長とは誰か (平凡社新書 297)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582852974

作品紹介・あらすじ

江戸中期の学者・本居宣長とはいったい誰か?昭和前期には皇国思想と結び付けられてきた歴史がある。そもそも宣長は、「日本」というアイデンティティを考察した最初の思想家だということができる。賀茂真淵との出会い、『源氏物語』と「物のあはれ」、大著『古事記伝』の執筆、上田秋成との論争、そして死。宣長の思想的発展に従って、十の問いを設定し、それに答える形で記述した宣長入門書の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年に著者がつくば市でおこなった市民講座をもとにした、本居宣長の入門書です。

    著者は、『本居宣長』(岩波現代文庫)や『「宣長問題」とは何か』(ちくま学芸文庫)などで、現代思想的な関心にもとづいて、宣長のテクスト解釈の方法と、その思想の構築との内的な関係を問いなおす仕事をおこなってきました。本書は、『排蘆小船』や『石上私淑言』に見られる歌論や、『紫文要領』に示された物語論、そして『古事記伝』や上田秋成をはじめとする批判者とのあいだで戦わされた論争といったトピックを一つひとつ解説するという形式をとっているとはいうものの、その根底には宣長のテクスト解釈の方法に対する著者自身の問題関心があります。そのため、入門書とはいうものの、宣長の生涯と思想を簡潔に紹介するような内容ではないという点に留意する必要があるように思います。

    個人的には、著者の提出している問題そのものに興味をいだいており、本書の議論もおもしろく読むことができました。

  • 宣長の入門として手軽で良い本だと思う。歌論や源氏などであげておきながら、古事記伝を間に挟み皇国思想で落としてくるスタイル。さいごは謎の死生観。あらためて宣長という人物に興味がわいたよ。秋成との論争、おもいだしました(小林秀雄)

  • 本書では、宣長が見たxxという章立てで彼の思想を明らかにし、それにより宣長を浮き彫りにする。宣長の考え方は、・彼の生きた時代、日本語は漢語により汚染され、本来の大和言葉が失われてしまった。・何とかこれを自分の手で、再発見したい。・古事記は大和言葉で書かれている唯一の歴史書(著者の指摘もあると通り、私には古事記が歴史書には思えない。むしろ神話集)なのだから、これから大和言葉を発掘したい。・このためには、何が大和言葉なのかをしることが重要であり、このために万葉集を研究したいということらしい。実際、このような考えの下、古事記を研究し、大和言葉である「もののあわれ」や、「やまとこころ」を再発見、さらには日本精神文化の再構築に成功したのだから、やはり最高の国学者であるという評は当たっているのだろう。ただし、これが昭和初期の軍政時、ファシズム政権に悪用されたことは、実に残念である。

  • 本居宣長に出会ってしまった人の入門書として非常に優れていると感じた。
    この本を読めば宣長学の基本の型を得るコトが出来ます。多分w

  • <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006000588/" target="_blank"><strong><u>『本居宣長』</u></strong></a>や<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480086145/" target="_blank"><strong><u>『「宣長問題」とは何か』</u></strong></a>に強く刺激されて以来、この著者のファンです。この2冊の焼き直しかな、と思って読み始めたら、そんな「知識の切り売り」などではありませんでしたよ。宣長が「もののあはれ」をどうとらえていたかという話や、宣長と歌についての話、上田秋成との論争などは、先の2冊にない内容でした。おもしろかった。3冊あわせて読むのがいいでしょうね。(20060120)

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著者プロフィール

1933年生。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)修了。文学博士。大阪大学名誉教授。日本思想史学会元会長。専攻-日本思想史、倫理学。
主著:『江戸思想史講義』『宣長学講義』『徂徠学講義』『漢字論』『思想史家が読む論語』(岩波書店)、『伊藤仁斎の世界』『平田篤胤の世界』『方法としての江戸』『仁斎学講義』(ぺりかん社)、『はどう語られて来たか』『昭和とは何であったか』『「大正」を読み直す』(藤原書店)、『鬼神論』『歎異抄の近代』(白澤社)、『国家と祭祀』『とは何か』『和辻倫理学を読む』『日本人は中国をどう語ってきたか』(青土社)。

「2017年 『仁斎論語 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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