- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582853346
作品紹介・あらすじ
金がなにより大事、金儲けこそが美徳、そのための"努力"が報われる社会を-。平成不況の末に日本がすがったのは、倫理を欠如させた拝金主義の道だった。しかし、資本主義はそもそも、たんなる"金儲け主義"だったのだろうか?資本主義のあるべき姿を示し、日本が取り戻すべき経済の品位をさぐる。
感想・レビュー・書評
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本書は、新自由主義に徹底して反対する立場からの経済書であるが、その内容は平易でわかりやすい。
すでに、かつて小泉総理が推し進めた新自由主義的改革の誤りは世の中で一般的な認識になっているように思える。なにしろ日本経済において2000年以降様々な規制緩和や構造改革が推し進められたにもかかわらず、日本経済は相変わらずデフレからの脱却すらできずに、「格差拡大」などの負の遺産ばかりが目に付く状態なのだから。
そのような状況にあるのだから、本書の「品位を失った日本経済」「アメリカの金儲け万能主義」の指摘も違和感なく受け入れられると思ったし、当たり前の指摘にさえ思えた。
しかし、その新自由主義的経済政策を批判し、それに対抗するモデルとして「品位」という概念を提示することはどうなのだろうかという違和感を覚えた。
「品位」という価値観は「経済」という領域の評価として適切な物差しとは思えないのだが、本書はその点についての考察が充分とはいえないように思えた。そのような意味で本書はあまり高く評価はできないと感じた。
本書は、わかりやすい平易な内容の新書であり、その分深い考察はあまり感じられない。本書の内容はあまり高く評価できないと思ったが、「サッチャー改革」や「レーガン改革」の後に推し進められた「小泉改革」などの「新自由主義的改革」へのマイナス評価が、日本においては一般的になる時代が来たということがよくわかる本であると思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
金がなにより大事、金儲けこそが美徳、そのための“努力”が報われる社会を―。
平成不況の末に日本がすがったのは、倫理を欠如させた拝金主義の道だった。
しかし、資本主義はそもそも、たんなる“金儲け主義”だったのだろうか?
資本主義のあるべき姿を示し、日本が取り戻すべき経済の品位をさぐる。
[ 目次 ]
第1章 品位を失った日本経済(二〇〇五年は日本の転換点;ものづくりからサービス経済へ ほか)
第2章 アメリカの金儲け万能主義(株主資本主義の成立;ネットバブルの形成と崩壊 ほか)
第3章 職業倫理と資本主義の精神(資本主義の成立;資本主義発展の果てに ほか)
第4章 ヨーロッパと日本の職業精神(ヨーロッパ経済のあり方;庶民にやさしいドイツ社会 ほか)
第5章 経済に品位を取り戻すには(品位ある経済システム;国家の使命と尊厳 ほか)
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[ 参考となる書評 ] -
所得格差の激しいアメリカ型資本主義でなく、ドイツ型経済への転換を勧めたもの。
日本が弱者に優しい、努力した人が報われる社会にするには、どう変われば良いか、優しい言葉でわかりやすく説明されている。
刊行された2006年と今を比較すると、日本国内での経済格差は更に広がっているので、筆者のあげた以外の政策を参考に少しは品格ある資本主義が復活すればと思う。
ただ、終身雇用制、年功序列的賃金体系、農林水産業保護(国内自給率を上昇させる)など、筆者の勧める政策の8割が経済成長率と人口増加率が高い戦後復興期の政策に偏っているので、不況で人口減少中の今は別の政策でないと、国自体が崩壊しかねない。
ワークシェアリング、1ヶ月の長期休暇など、過去の日本にない政策は効果的か。
他国の事例と数字を交えながら、現実的で品位ある資本主義復活案も聞いてみたい。 -
1月?
題名に惹かれて購入したが、全体的に情緒的で、内容としては大変不満足なものだった。「品位ある資本主義」というものには共感できる部分があるが、その具体像を描けていなかったように感じる。現状に対する批判という形で、品位ある資本主義ではこうではないというのみで、では実際どのようなものなのかというのがわからなかった。本書後半(4章〜)では、ドイツの「社会的市場経済原理」を引き合いに出し、話を進めていくが、話が実現可能性の低い理念的な話ばかりになってしまい、もっと実証的な分析に基づいた提言にしてほしかったと思う。