- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582853643
作品紹介・あらすじ
この世ははかない、人生はむなしい…。心の根底に横たわる、この無常感を乗り越えるべく、古くから日本人はさまざまないとなみをなしてきた。和歌や随筆、謡曲などをさぐってみると、それらは大きく、「夢の外へ」、「夢の内へ」、「夢と現のあわいへ」の三つに分けられる。この世が夢のごときものであるならば…。「はかなさ」をめぐる日本人の精神史をたどる。
感想・レビュー・書評
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計ると儚い
計ることができないという意味から,はかないという言葉が生じた.
それが空しさや無常観にもつながっていき,日本文化におけるわびやさびといった価値観にも繋がっていく. -
[ 内容 ]
この世ははかない、人生はむなしい…。
心の根底に横たわる、この無常感を乗り越えるべく、古くから日本人はさまざまないとなみをなしてきた。
和歌や随筆、謡曲などをさぐってみると、それらは大きく、「夢の外へ」、「夢の内へ」、「夢と現のあわいへ」の三つに分けられる。
この世が夢のごときものであるならば…。
「はかなさ」をめぐる日本人の精神史をたどる。
[ 目次 ]
1 現代日本人の無常感(「はかない」気分;「はか‐ない」とは ほか)
2 「夢の外へ」(「浅き夢みじ」―「いろは歌」の決意;地獄・極楽とは何か―『往生要集』のしかけ ほか)
3 「夢の内へ」(「妄執」のゆくえ―謡曲の鎮魂;「一期は夢よ ただ狂へ」―『閑吟集』の狂と情 ほか)
4 「夢と現のあわいへ」(「ありがたき不思議」―『徒然草』の存在理解;「ありてなければ」の美意識・倫理―「幽玄」「やさし」 ほか)
5 ふたたび、現代日本の無常感(「人間の安心」論―近代日本の「無」の思想;「夢よりも深い覚醒」―見田宗介の「鮮烈ないとおしさへの感覚」 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
色は匂へど散りぬるを わが世誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日こえて 浅き夢みじ酔ひもせず
匂うがごとく花は咲き誇るけれども、すべて散ってしまうものではないか。この我らの世界において、いったい何が、誰が常であろうか。常なるものは何一つない。だから私は無常やこの世を奥山超えていこう。こちら側の浅い夢なんか見ていないで、酔っ払ったなんかいないで
新井満 自由訳般若心経
上杉謙信 四十九年一酔の夢、一期の栄華は一杯の酒にしかず、柳は緑にして花は紅 -
はかなさ(生きている現実)=夢について、日本人がどのように向き合ってきたのかを考察した一冊。「死」についてわからないのは古今東西共通のことで、その点から考えればどの時代、どの場所の人間でも共有できる感覚があるのだろうなと思った。蜉蝣のような自身を、そして周りの人間を、それゆえにいとおしむことが人にはできるのかもしれない。
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平凡社の本はおもしろい。
『色は匂えど 散りぬるを
我が世誰そ 常ならむ
有為の奥山 今日越へて
浅き夢見じ 酔いもせず』
はかなさの根源。 -
2008/3
日本思想史を『無常』をキーワードにして解いている。主に、文学作品を元に、夢と現実との関係性を解明することで、はかないという日本独特の感情を読み解いている。