『遠野物語』を読み解く (平凡社新書 460)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 89
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854602

作品紹介・あらすじ

明治四一年一一月、遠野の伝承を集めていた青年佐々木喜善が若き民俗学者柳田国男のもとを訪れた。この出会いから生まれた名作『遠野物語』刊行から百年、山の女神、ザシキワラシ、河童、天狗、山男など、神や精霊、妖怪の生きる異界が人々の身近にあったことを伝える伝承は古典となって生き続けている。研究の第一人者が霊異譚の背景にあるものと、都市伝説としての『遠野物語』を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 物語誕生から100年の節目に書かれた作品

  • かつての地方の人々がいかに物語を作り、消費していたかがわかる良書。『遠野物語』を読む前に読んでおくといいかもしれない。

  • [ 内容 ]
    明治四一年一一月、遠野の伝承を集めていた青年佐々木喜善が若き民俗学者柳田国男のもとを訪れた。
    この出会いから生まれた名作『遠野物語』刊行から百年、山の女神、ザシキワラシ、河童、天狗、山男など、神や精霊、妖怪の生きる異界が人々の身近にあったことを伝える伝承は古典となって生き続けている。
    研究の第一人者が霊異譚の背景にあるものと、都市伝説としての『遠野物語』を解き明かす。

    [ 目次 ]
    小盆地宇宙の構造
    『遠野物語』の発刊
    神々の呪縛
    精霊の楽園
    霊魂の執着
    動物との共生
    現代伝説の誕生
    日本のグリムの偉業
    童話への回路
    祝福と鎮魂のテクスト
    人類史学への提言

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 遠野ってちょっとユートピア的なイメージだったのですが、どっこい!この世のどこにもそんな場所は存在しないのです。生きることの根底にある色は悲しみ。恐怖も感じました。

  • (2010.01.20読了)
    柳田国男の「遠野物語」が発刊されたのは、1910年6月14日ですので、今年2010年は、百年記念ということになります。関連本が出版されたり、展覧会が開かれたりいろいろありそうです。
    「遠野物語」は、1970年に読みました。もう40年たったのですね。
    「遠野物語」柳田国男著、角川文庫、1955.10.05
    いろいろな不思議な話で、楽しませてくれました。

    ●遠野市(12頁)
    岩手県遠野市は、北上山地の中南部に位置する、山々に囲まれた盆地にあります。東に1294メートルの六角牛山、北に1917メートルの早池峰山、西に1038メートルの石上山という遠野三山に囲まれています。
    ●佐々木喜善(12頁)
    山間部の土淵村山口の集落に育った佐々木喜善は、作家になりたいと思って上京して、偶然知り合った柳田国男に故郷の不思議な話をしました。それをまとめたのが、1910年6月の「遠野物語」です。その中には、山の神、里の神、家の神をはじめ、天狗、山男、山女、河童、狼、熊、狐などのあらわれる話が数多く収められています。
    ●一万石の城下町(17頁)
    遠野盆地の盆地底は、かつて遠野南部家一万石の城下町でした。1627年、藩主が八戸から入部し、以来240年余り11代にわたって治め、明治時代に至りました。
    ●水野葉舟(32頁)
    1908年11月4日、水野葉舟が佐々木喜善を誘って柳田国男を訪ねて遠野に伝わる話をしています。
    「遠野物語の周辺」水野葉舟著・横山茂雄編、国書刊行会、2001.11
    ●人名をどうする?(48頁)
    遠野物語に出てくる人名をどうするかで悩んだようです。遠野の住民にとっては、土地の名前と人名が出てくれば、どの家の話かわかってしまいます。
    ●三山の神話(63頁)
    岩手県にも、岩手山と姫神山が夫婦だったが、早池峰山が横恋慕をしたという話もあれば、岩手山が姫神山を本妻とし、早池峰山を妾にしたという話もあります。
    ●山の神(66頁)
    産婦が産気づいても、山の神が来ないと子供は生まれないと言って、馬に荷鞍を置いて迎えに行きます。人は馬の後ろから付いてゆき、馬が身震いすると山の神が乗ったと言って連れて戻ると、ほとんど同時に生まれるそうです。
    ●蛇(84頁)
    家のあたりに出る蛇は殺してはならぬ。それは其家の先祖の人だからといふ
    ●佐々木喜善と宮沢賢治(178頁)
    佐々木と賢治の関係が親密になるのは、1932年、仙台に暮らすようになった佐々木が花巻におけるエスペラント講習会の講師を引き受け、賢治を訪ねるようになってからです。

    著者 石井正己(いしい まさみ)
    1958年、東京都生まれ
    東京学芸大学大学院修士課程修了
    日本文学・口承文芸学を専攻
    東京学芸大学教授
    遠野市立図書館顧問、遠野市立博物館顧問、遠野物語研究所客員研究員・研究主幹
    (2010年1月25日・記)

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著者プロフィール

東京学芸大学教授、一橋大学大学院連携教授、柳田國男・松岡家記念館顧問、韓国比較民俗学会顧問。日本文学・民俗学専攻。
最近の単著に『100de名著ブックス 柳田国男 遠野物語』(NHK出版)、『ビジュアル版 日本の昔話百科』(河出書房新社)、『昔話の読み方伝え方を考える』(三弥井書店)、編著に『博物館という装置』(勉誠出版)、『昔話を語り継ぎたい人に』(三弥井書店)、『現代に生きる妖怪たち』(三弥井書店)、『外国人の発見した日本』(勉誠出版)がある。

「2018年 『文学研究の窓をあける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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