自殺する種子―アグロバイオ企業が食を支配する (平凡社新書)

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  • 平凡社
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854695

感想・レビュー・書評

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  • どんな情報でも、一方からの情報からだけで判断するのはよくないが、関連の書籍は多く、色々読んでいくと全体としてはやはり、かなり世界中でとんでもないことが起きているなという認識になってくる。この本はかなり辛口。非常に広範囲に様々な情報を集めてき、苦労して編まれていて読み応えはたっぷりある。

    アグロバイオ企業に関する章では、本書のタイトルにもなっている、次世代のタネを残さず、農家が毎年タネを買い続けるビジネスモデルが登場する。「ターミネーター」と聞くと真っ先に「シュワちゃん」のイメージが浮かぶが、まさにハリウッド映画並みに分かりやすい、とんでもない技術だ。また、特定の病気にだけ「弱い」タネを作り出し、その病気を防除する農薬をセット販売するとか、まるでギャグ漫画のような話も出てくる。

    あとはWTOとミニマムアクセスの話は、これまでニュースで見聞きはすれど、なんとなく流していたことが、実はどれほど深刻な問題だったか目から鱗が落ちた。特に大豆など、日本人が本来昔から醤油、味噌、豆腐の原料として普通に作ってきたはずなのに、いつの間にか輸入に頼りまくり?またその輸入も、生産国の都合でいつでも輸出をストップできる条項付とは、どんだけリスクがあるわけ?とちょっと呆然としてしまうぐらい考えさせられる。「和食」がユネスコ無形文化遺産として認められたとか、喜んでる場合じゃない。

    本書が指摘するような問題は決してヒステリックに叫んで批判するばかりでは解決しない。農業生産者は消費者が求めるものを作ろうとする。農業生産者も馬鹿じゃないが、消費者が見えなくなっているのが問題。やはり消費者と生産者をつなぎ、サポートする体制の問題が大きいだろうと思われる。

    ほんとに生命に関わっていく問題。誰もがもっと正確な情報を持ってしっかりと認識し、自分で正しい判断をしていかないといけないこと。日々、生活していく上で、ちょっとでも関心レベルをあげていくべきだと思う。

  • 「自殺する種子」を開発したのは、アメリカのミズーリ州セントルイスに本社を置く多国籍バイオ化学メーカーの“モンサント”社。農薬メーカーとしても有名で、ベトナム戦争で使われた悪魔の「枯葉剤」が同社製だったのは周知のことだ。「自殺する種子」はターミネーター技術によって生れた。
    「自殺する種子」とは米国モンサント・カンパニーが開発したターミネーター種子の事である。遺伝子操作により植物の有用性を増しながらも不稔性を付加された植物の種で、作物としては数々の利点があるものの種子ができないので農家は毎年種苗会社から種子を購入する必要がある。
    「自殺する種子」をキータームに、本書では米国企業がいかに遺伝子技術を初めとしたテクノロジーで「食と農」を支配して利益を得ようとしているか、また米国は戦略物資として「作物」をとらえこうした企業と一緒になって農業の分野を支配しようとしているかを描いている。
    日本の食料自給率の低さが問題視されているが、本書では、そのことも深刻さを知ることができる。
    遺伝子組み換え作物の是非はともかくとして、自分たちの生活を守るために「食料」についても日本という国の舵取りをどうするかをよく考える必要がある。
    ぶぶろぐのレビューを読むと本書の科学的な記述に誤りがあるとか著者の思想が見え隠れして気に入らないと言うような文章が目立つが、そのような点はとりあえず横に置いて読んでおく価値はある本だと考える。

  • 一握りの巨大アグロバイオ企業が、遺伝子工学を駆使した生命特許という手法で種子を独占し、世界の食を支配しつつある。その構造を豊富なデータを用いて徹底解剖する。

  • 少し前の本(2009年)なので、データや状況は変わっているかも知れないけど、食を取り巻く大きな流れを理解できる。日本にいると遺伝子組み換え(GM)ってあまり表に出てこないけど、しっかり考えなくてはいけない問題だと改めて実感した。

  • バイオ技術屋としては、ほんまに分かってますんか?というのが感想。
    各技術への理解がざっくりしている。
    加え、内容については各事項を表面だけなぞった解釈が多く、ふわっとした印象を抱かざるを得ない。

    しかし、このような人がいるのも事実であるし、また5章あたりで主張している地域に根差した農業の重要性は同意できる。

  • 3年以上前に読み始めてた本。
    今さら読み終わりました。
    出だしこそ種子のターミネーター技術に関する話やったけど、
    農業の問題全般に及ぶ本でした。
    そうなんやーと思う箇所も多々あって勉強になった。
    けど新書だけあって、所々説明を省かれてる部分もあった。
    残念やけど仕方ないか。
    結構いい本やったなー。もっと早く読めば良かったのに。自分。笑”

  • 消費者市民団体の人が書いた、近代的大規模農業×、アグロバイオ(農関連生命工学)×、農作物輸入自由化×・・・・というわかり易い主張。この手の論旨にはそれなりのバイアスがあって当然なので、冷静に読まなければならないし、進歩した技術そのものを肯定するかどうかという難しい倫理の問題も多くて、一概に賛否を投じられない内容だった。ただ、あまりにもネガティブな話を眉間に皺が寄るがごとく論じ続けられると、読む側も疲れてしまった。もう少し前向きな表現が欲しい。以前に読んだ、木村秋則『リンゴが教えてくれたこと 』http://booklog.jp/item/1/4532260469 という本と、本質的には同じメッセージを発しているはずなのに、読後の爽快感が全然違う。
    遺伝子特許、貿易自由化、バイオ燃料等々…各論それぞれであるが、総論としていえるのは、こと農業・畜産業の近代化の諸問題は、米国の狡猾さと独善性に因る部分が非常に大きい。「困ったちゃん大国」ということがまたしてもよくわかってしまった。

  • このショッキングなタイトルは、ターミネーター技術と呼ばれる遺伝子操作を施された種子にちなむ。その種子は二回目の発芽時に自ら毒を生み出して自殺してしまうのだ。
    モンサント社をはじめとするアグロバイオ企業は、このような遺伝子技術で地球上の食を支配しようとしている。政府も巻き込んだその利権構造は核開発のそれと全く同じだし、TPPに参加すれば日本も支配下におかれるだろう。
    本書はアグロバイオ企業がやっている事がいかに危険かにはじまり、化学肥料や農薬、薬品まみれの飼料で荒れてしまった農業や畜産業に対しても警鐘を鳴らす。
    特に後半において少々独善的な部分は見受けられるが、知識として知っておくべき内容だと思う。

  • 多くの人が知識を集め考え討議しなければならない重要なテーマなのだが・・・。自分の信心を他人にも押し付ける人に共通する独善的な印象が残っている。
    重要で喫緊のテーマであるだけに、残念。

  • 世界はカラクリで動いている。金融というゼンマイを巻くことで経済という仕掛けが作動する仕組みだ。そもそも資本主義経済は壮大なねずみ講といってよい。消費者に損をしたと思わせないために広告代理店がメディアを牛耳っている。

    http://sessendo.blogspot.com/2011/08/blog-post_08.html

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