新書479学問の春 (平凡社新書 479)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854794

作品紹介・あらすじ

人々とその暮らしを、そして万巻の書物を、世界中を駆け巡りながら見つめ、繙き、考え続けてきた著者が、新たに学問の扉を叩く若者たちに、『ホモ・ルーデンス』を読みながら学ぶことの愉しみを語った-。どんな話が飛び出すか、山口先生の名講義、さあ、始まります。

感想・レビュー・書評

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    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00167920

  • 大学の講義に限らず、およそ教育というのは、何かを学ぼうとする人間の知的好奇心を刺激することに尽きるのではないか。ここにまとめられた講義録は、そんな知的好奇心をかき立てる刺激に満ちた10講義である。

  • 「ホモ・ルーデンス」をテキストにした民族学の講義録。1997年の講義が教え子により2009年になって本になった。あそび、雑、放浪、トリックスターを唱える著者だけあって講義はどんどん脱線、生で聞いていれば面白いかもしれないが本になるとさすがに少々散漫である。

    文化は危機に直面する技術であるという指摘や、経済原理を突き詰めるとポトラッチ的蕩尽に行き着く(バタイユ)というのも面白い。

    ただし、この本で気になるのは、研究対象である民族の文化そのものよりも、それをどんな人がどう研究していて、それと著者がどうかかわったかがもっぱら主題になっていること。

    あと、自身の学生時代の祝祭的な(?)日々を思い返したりした。

  • 日本のウケモチは、自分の遺体の陰部や尻などから作物を産み生やす女神で、同じ「ハイヌウェレ型神話」は太平洋地帯のあちこちの民族の間に広く分布している。

  • おすすめ資料 第101回 あの人の講義が聞きたい!(2009.11.20)
     
    大学選びに「あの先生の講義をぜひとも聞きたい」という理由を挙げる受験生が多いとは思えませんが、入学してから学問的な蓄積が増してくると「この先生の講義が聞きたい!」という欲求が生まれてくるのは不思議ではないかもしれません。

    山口昌男先生の謦咳に是非直に触れてみたいと思わせるものが『学問の春』には確かにあって、その最大のものの一つは、ある既存の知識が、一見無関係と思われるような別の知識と出会うことによって、お互いが変容して全く新たな地平が開かれるといった経験を味わうことが出来ることではないでしょうか。

    一つだけ例をあげると、ポミアンの『コレクション』にふれた「・・・物語は重大な要素である。物はただ物ではない、歴史や神話を運搬する『記号保持物』である・・・」(263ページ)という文章を読んだとき、「はてなの茶碗」(ほとんど価値の無い清水焼の漏れ茶碗が人の手を経るうちに物語が積み重なってとんでもない値打ちモノになっていくという落語の演目)が唐突に浮かんで、なるほどなぁとその面白さを再認識したわけです。

    興味をもたれた方は、『山口昌男著作集』筑摩書房 なども繙かれて「様々な学問の華咲き乱れる春」を実感してみては如何でしょうか。

    ちなみにこの講義のテキストは「おすすめ資料」第81回で紹介されているJ.ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』であることを付け加えておきます。

  • 依岡隆児先生(総合科学部国際文化コース)ご推薦

    山口昌男が札幌大学の講義を元に、「遊び」を分析したホイジンガの名著『ホモ・ルーデンス』を取り上げながら、比較文化とはなにかを論じた本です。文化人類学者としてのフィールドワークから得たトピックスをふんだんに、しかもユーモアを交えて盛り込み、「書痴」と自称するほどの無類の本好きが広範な知識を披露しています。
    好奇心の赴くままに研究を続けるうちに、常識的な視点では直接つながらないけれども、比較文化の枠組みを作ってみるとうまくつながるという経験に、何度も出くわします。筆者はそれをもとに、世界の断片の様々なつなぎ合わせ方をみせてくれるのです。
    こうした見方を支えるものは「遊び心」です。そしてそこでのキーワードは「雑」という言葉となります。文化を研究する際に大切なのは、いままで文化と考えられてこなかった「雑」なるものにまで踏み込んでいくことだというのが、筆者の主張なのです。
    実際、日常生活でもなんの気なしの雑談から思わぬ発見が引き出されたりもするものです。学問にももっと軽やかな「遊び」の要素があっていいのだ、と著者から元気をもらうような本です。

  • 男と女、朝と夜などの対比がよく使われている。それらを探しながら読み進めれば、面白い世界が見れると思う。

  • [ 内容 ]
    人々とその暮らしを、そして万巻の書物を、世界中を駆け巡りながら見つめ、繙き、考え続けてきた著者が、新たに学問の扉を叩く若者たちに、『ホモ・ルーデンス』を読みながら学ぶことの愉しみを語った-。
    どんな話が飛び出すか、山口先生の名講義、さあ、始まります。

    [ 目次 ]
    第1講 「ホモ・ルーデンス」に出会う旅
    第2講 まなびあそび
    第3講 比較文化の芽-交換とコミュニケーション
    第4講 雑学とイリュージョン-ホイジンガの学問的青年期
    第5講 トーテムから原始的二元論へ
    第6講 季節の祭-二つに分かれて競う
    第7講 文化は危機に直面する技術
    第8講 ポトラッチ1-二つに分かれて、繋がる世界
    第9講 ポトラッチ2-破壊と名誉
    第10講 クラ-神話的航海

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著者プロフィール

1931年生まれ。東京外国語大学名誉教授。2013年没。

「2018年 『仮面の道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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