ルポ 出所者の現実 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855579

作品紹介・あらすじ

刑務所出所者による再犯が社会問題化している。『犯罪白書』(平成21年版)によると、一般刑法犯の再犯者率は40パーセント以上。受刑者同士が刑務所内で出所後の犯行を謀議し、凶悪犯罪に結びついたケースもある。彼らの自立更生と再犯防止の有効手段はないのか。出所者と彼らを受け入れる社会、統計では見えないリアルな姿を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 日本では、罪を犯して刑務所で服役した人が出所する際に手にする「作業報奨金」という制度があるのだが、その金額は驚くほど安く、5万円以下が全体の97%という状況(2007年実績)。それでもまだ受け入れてくれる家族がいれば何とか社会復帰の道も残されていようが、そうでない場合はこの全財産で住まいを探し、仕事を見つけ、生活の基盤を確保しなければならない。「前科者」を雇ってくれる職場などそう多くはなく、所持金が底を突いてしまうと仕方なく再犯に走ってしまい、40%以上が「リピーター」となってしまうのが現実。犯罪者や刑務所・さらには近現代史といったテーマを中心に活躍するノンフィクション作家が、服役中・出所後にインタビューした百人以上からの告白をもとに、刑務所の現状と出所者を迎える社会の実態を浮き彫りにする。

  • 東2法経図・6F指定:368.6A/Sa25r/Shoji

  • こちらの本を読んで学んだこと。

    協力雇用主は出所者の労働力としての質、仕事に対する責任感を不安に思う傾向が強い。
    受刑者が出所時点では技能資格が無い、運転免許が無い、学歴がない者が多く、出来るような仕事を探すしかない。
    就職のチャンスをものにする技能を修得した職業能力をみにつけることが重要。(受刑者に限らず全般に言えることではないかなと思う)
    そのためには先ずは住居の確保、次に収入の確保をすることである。

  • 【商品の内容】(「e-hon」レビュー引用)
    [要旨]
    刑務所出所者による再犯が社会問題化している。『犯罪白書』(平成21年版)によると、一般刑法犯の再犯者率は40パーセント以上。受刑者同士が刑務所内で出所後の犯行を謀議し、凶悪犯罪に結びついたケースもある。彼らの自立更生と再犯防止の有効手段はないのか。出所者と彼らを受け入れる社会、統計では見えないリアルな姿を描く。

    [目次]
    第1章 刑務所の現実
     (全国の刑務所羽黒刑務所に受刑者を訪ねる ほか)
    第2章 再犯防止には何が必要か―マブチモーター社長の「提言」をめぐって
     (小田島死刑囚はなぜ道を誤ったのか 獄中で共犯者と出会う ほか)
    第3章 出所者たちのその後
     (無銭飲食で詐欺罪に 悪銭で事業に成功した詐欺師 ほか)
    第4章 出所者のセーフティ・ネットワーク
     (福島自立更生促進センター 北九州自立更生促進センター ほか)

  • 問題意識は共有できるが結論が結局うまくいきません止まり

  • 何人かの受刑者、殺人未遂の受刑者、詐欺の累犯の受刑者、覚せい剤使用の女性受刑者…などの話を聞いて集めた本。取材して聞いた「今」を切り取ったような。
    「何年後かあとに電話をした」とかがたまにあるけど、もっと追跡取材などできていたらな…と思った。
    後半はセーフティーネットワークの話、こちらのほうも著者が一度訪ねた際の印象・訪ねた時に聞いた話から広げていく話が中心。
    全体が、当たり前だけど著者個人が体験したこと・目線だなぁという感じ。だからルポなのか。

  • この本で出所者にインタビューをしているのは2000年代である。しかし、そこにある彼らの姿や、家族との関係や、口にする言葉は、昭和40年台にインタビューしたといってもそのまま通じそうだ。

    アンナ・カレーニナの冒頭で「幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はさまざまだ。」というのがあるが、家庭と個人は違うのかもしれないし、だいいちアンナ・カレーニナを読んだことがないのだが、
    「出所者の姿が、あまりにも前の時代と似ている」ということに驚いた。

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著者プロフィール

斎藤充功(さいとう・みちのり) 1941年東京市生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退。陸軍中野学校に関連する著者が8冊。共著を含めて50冊のノンフィクションを刊行。近著に『陸軍中野学校全史』(論創社)。現在も現役で取材現場を飛び回っている。

「2023年 『日本の脱獄王 白鳥由栄の生涯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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