平清盛 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 73
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856132

作品紹介・あらすじ

平氏一族は京の都で、人びとを驚かすほどの贅沢におぼれたとされる。『平家物語』は、「平氏にあらずんば、人にあらず」と伝え、平氏の栄華を、「驕れるものは久しからず」と批評した。しかし、その頂点にあった清盛は、我侭な権力者などではなく、優れた見識をもった人物で、皇室や貴族に細かい気遣いをした。だがその甲斐もなく、晩年、我侭放題な後白河法皇と衝突してしまう。時代のはざまのなかで、かれはいかに生きたのか。

感想・レビュー・書評

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  • お、この先生は当たりかも・・・

  • タイトルどおりの清盛本。長短ない交ぜ。①簡明。②保元・平治の乱の経過が割に詳しい。③②以降、清盛の太政大臣就任時までの権力闘争の足跡が明記。④③について後白河法皇の独善ぶり、誠実な政策家とは対極(部下に出来る人間を配置。清盛もその一人だが、平治の乱で死んだ藤原信西が代表格)の模様が具体的。⑤清盛政権に関し、貴族の合従連衡・反発や面従腹背の模様が書かれている。逆に、①藤原信西の高評価、日本全体を見た政治家とあるが、根拠(殊に文献史料)が不明。②院政期が農業高度成長期とあるが、根拠(文献・遺物)の明示不備。
    ちなみに、農業高度成長期の意味は牛馬使用の拡充に由来するらしい。◆そもそも、本書のように根拠なく断じる傾向にある書は、ありていに言えば、この程度で新書読者は十分・満足だろうという著者の本音が透けて見えるものだ。◇小説ではない以上、正直、駄本と言いたいが、短命だった清盛政権にフィーチャーし、源氏から見がちな平氏滅亡を平氏側から見た数少ない書なので、そうとも言い難い。微妙。◆2011年刊行。著者は明治学院大学教授。

  • 大河ドラマが清盛を取り上げたころに出た本かな?
    著者はたくさん本を書いているので、どこが専門なんだろう…と思ったけれど、古代史の人のようだ。
    だから、清盛を扱うって…?と思ったけれど、比較的読みやすかった気がする。
    図表がたくさんあって、系図、地図、年表などが充実していて、確認しやすいからかもしれない。

    清盛は、貴族社会のルールを心得た「軍事貴族」であった点で、平安末期の政治機構に適合した一族であったそうだ。
    その点で、地方の武士であり、権力の枠外にいた源氏とは違うということらしい。
    早く滅んでしまったのは、跡継ぎに恵まれなかったから、というのが筆者の考えであるようだ。
    この時期が専門の研究者だと、どう考えるんだろう。

  • 平家物語を読んだ後で平清盛について知りたくて読みました。清盛の人物像や平氏の血縁関係だけでなく、歴史背景や当時の制度、家の考え方などがわかりやすく書いてあり読みやすく、先に平家物語を読んでいるのであれば、その中で「わかりにくかったこと」(例えば私の場合は重盛と成親の関係や御落胤説等)が「ああ、そういうことか」とつながり納得、理解できました。「物語」ではなくリアルな清盛や平家物語の中の出来事を説明してくれているので、人間くささや泥臭い現実の「平家物語」を知ることができます。この知識があった上で平家物語を再度読めばより面白くなると思います。ただ、私は学生時代に日本の経済史や民俗学のようなものを専攻していたためその内容の復習的な感覚もあり、「一度学んだことを再度確認」していたのでわかりやすいと感じたのかもしれません。荘園制や氏族について全く知らない方がこれを読んでも同じ印象を受けるかは正直わかりません。

  • 大開墾時代→税と支配の問題→院への寄進→同時に武士団の整備。さほど階級が高くない平氏出身での天皇家とのせめぎあい。結局は、落ち目になると一気に落ちるって感じですね。親を見て、貴族との協調路線は無理と鎌倉に幕府を創った源頼朝は正解だったのか?まあ、それも歴史の流れなんでしょうが。
    それにしても、平治の乱の時の源氏は200騎程度、平家は500騎とは驚き。

  • 軍事貴族としての桓武平氏と清盛んついて一通りの叙述。図が豊富で解りやすい。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大大学院博士課程修了。文学博士。元明治学院大学教授。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組んでいる。著書に『律令太政官制の研究』『日本古代国家と律令制』(ともに吉川弘文館)など専門書のほか、『歴史書「古事記」全訳』『古事記・日本書紀を知る事典』(ともに東京堂出版)、『古事記と日本書紀 どうして違うのか』(河出書房新社)など多数。

「2022年 『古代史入門事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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