革命論 マルチチュードの政治哲学序説 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 89
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856279

作品紹介・あらすじ

政治の例外状態としての革命。民主主義の究極の手段としての革命。政治が管理技術に成り下がり、価値判断をしなくなった時代に、"正義"を振りかざすだけでいいのか。「政治にはふれないことが政治」は本当か。ポストモダン以降の西洋哲学の重要課題を論じ尽くした、これ自体が革命的な一書。

感想・レビュー・書評

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  • フランス現代思想の専門家による現代の政治に対する異議申立ての著作。この著作に通底しているのは、マルクス主義から受け継がれた主体性論であろう。主体と例外の関係、主体と革命の関係――この軸に、スピノザ論を加わることで、新書ながらも重厚な内容になっていると思う。

  • ロールズ、サンデルらが議論する政治哲学=政治が求めるべき価値とは何かという議論ではなく、政治とはなにか、何であるべきかの前に、政治とは(そして革命とは)果たして原因なのか結果なのか目的なのか意味なのかそれとも、ということについての、現代フランス思想からの観点から整理してみるという本。なので難解です。

  • 道徳と同じ普遍性を持つことは、今日の倫理にとっては目的であると同時に前提である。地上の均質化は今や頭の中で努力してそうみなす雨に世界市場の単一性として人々の目にいやおうなく飛び込んでくる。

    社会が解体され、人々が安全な住処を求めて逃げ惑う。現代の倫理政治主体は、まず彷徨えるユダヤ人なのである。土地を持たない住民、それが倫理的に限定された政治主体の在り方に他ならない。

    国家と革命の原因ならぬ意味を考えること。

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著者プロフィール

市田良彦(いちだ・よしひこ)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1957年生まれ。
著書に『存在論的政治』(航思社)、『ルイ・アルチュセール 行方不明者の哲学』(岩波新書)、『現代思想と政治』『〈ポスト68年〉と私たち』(ともに共編、平凡社)、『アルチュセール ある連結の哲学』(平凡社)、『ランシエール 新〈音楽の哲学〉』(白水社)など。
訳書にフランソワ・マトゥロン『もはや書けなかった男』、アルチュセール『哲学においてマルクス主義者であること』、ランシエール『平等の方法』『アルチュセールの教え』(以上、航思社)、アルチュセール『終わりなき不安夢』(書肆心水)、フーコー『悪をなし真実を言う』(河出書房新社)など。

「2023年 『マルクスに凭れて六十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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