昆虫食入門 (平凡社新書)

著者 : 内山昭一
  • 平凡社 (2012年4月15日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856354

作品紹介

人類にとって究極の伝統食材、それが昆虫。世界の昆虫食の現状を紹介するほか、嫌いな人の心理や食料としての可能性、さらには食育まで、昆虫食のあらゆることを深く楽しく追究する!

昆虫食入門 (平凡社新書)の感想・レビュー・書評

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  • ゲテモノとしての昆虫食紹介ではなく、かなり真面目な昆虫食考が読める本。昆虫の歴史、栄養、環境問題、食育と多岐のアプローチがどれも興味深い。
    小学校に入る前、祖父が捕ってきたイナゴやハチの子の味はかなり遠い記憶になった。本の中でも書かれているが、元来人間の食べ物はその人間の近くに生息する動植物であるはずだったのが、近代化によりどこかで作られ店頭に並んでいるものになっている。そういった社会の仕組みを考える意味でも、身近な資源の活用を考えるうえでも良い示唆を与えてくれる本だった。

  • 伝統食でありながらゲテモノ食とも思われてしまっている昆虫食。この本の著者の内山先生を招いた勉強会が社内で開かれたこともあり、勉強会後に読んでみました。

    冒頭のカラーページに掲載されている各種の昆虫料理の絵ヅラは破壊力満点ですが、中身は至ってマジメ。
    昆虫食の歴史、食べられる虫の説明(味や食べ応えについても細かく書かれてます)、社会や地域によって「昆虫を食べる」という行為の受容性が異なるのはなぜなのか、といったあたりが網羅的に説明されています。細かい部分はあまり追及されておらず総論的な内容となってますが、これは新書という性質上、仕方ないでしょう。

    個人的な気づきとしては、まず昆虫食は「他の蛋白質豊富な食品が手に入らない地域で仕方なく食べられていたもの」ではない、ということ。たとえば長野で食べられているザザムシについては、それが捕れる場所は即ち川魚が捕れる場所なので、「あえて好んで」ザザムシを捕って食べていたのだ、と著者は述べています。

    また、「虫は不衛生である」という論に対しては、明治以降に不衛生な環境と虫とを結びつけて考える風潮が醸成され、それによって虫が汚いものとされてしまったと述べたうえで、「食べないからこそ汚いものであるという意識が生まれる」のだと説明しています。そういう考え方もあるのか、と気づかされるポイントでした。
    実際、イナゴやハチノコを食べる文化圏の人は、虫を汚いものや気持ち悪いものと認識することは少ないのではないでしょうか。

    一方で、この本からは「昆虫を食料として安定供給する」にあたっての課題も見えてきます。
    個人的に一番気になったのが、陸上の畜産物や魚に比べ、「育った環境や採集された場所により、栄養価や摂取できるカロリーにバラツキが大きいのではないか?」ということ。どんな食材でも栄養価はバラつくと思いますが、昆虫はその程度が大きいのではないかと思われます。
    さらに、人が必要とする栄養価やカロリー量を満たすためには相当な量の虫を食べる必要があり、それだけの量を安定的に供給できるか(=養殖できるか)も課題でしょう。趣味の範囲で佃煮などにするために捕獲するならまだしも、本気で食材として供給するには養殖は必須。その辺をどうするかは課題になりそうです。

    ただ、本書によれば昆虫は「食料が人間の食べる食材と競合しない」ため生産しやすく、「変温動物のため体温維持にカロリーを消費せず、溜め込んだエネルギーをそのまま食料カロリーとして提供できる」ため栄養効率も高い、とのこと。
    あとは、食べ慣れておらず生理的抵抗感が強い、というポイントがかなり高いハードルになると思われるので、そこを何とかしないといけないでしょう。

  • 昆虫食興味深し!
    イナゴの佃煮は食べたことがあるがそれ以外にも挑戦してみようかと思えてくる!
    日本では長野が昆虫食で有名だが、東南アジアなどへ行くとなると昆虫食を実践する必要が出てくるかもしれない!
    将来的な食糧難を見越して慣れ親しんでおくべきなのかもしれない!
    もしかしたらビッグビジネスの温床でもあるのでは?

  • 2010年刊。

     英国ではデビルフィッシュと呼ばれるタコを食する日本人。ならば、カタツムリは勿論、昆虫すらこれを食する文化に対して嫌悪感を持つのはお門違い。まして1950年代までは日本でもこれを食する地域があり、あるいは戦時中は救荒食として珍重されたものならば猶更だ。
     本書は、この昆虫について、食する(世界各地の食用昆虫の種のみならず、その調理法も)ものとして解説しつつ、さらに漢方的な薬として利用されている様も説明を加える。
     また、昆虫食に忌避感がもたらされる心理的・文化的障壁にも言及する野心的な書である。


     なぜ忌避されるのか?。一番腑に落ちたのは、カニやエビと比べて昆虫表面の油分が多いこと(家庭内でのGが典型)、昆虫の食性が例えば腐葉土(カブトムシの幼虫)や木の樹液などおよそ人間が食さないものを対象にしているからかと思える。流石にGを生では食べれんだろうなぁと感じる所以。

     むしろ牛や豚等の如く育種・品種改良を施してこなかった昆虫であれば、人間の味覚に耐え、いや、より美味しくかつ健康食として改変を加えられたらどうなるか、に興味を覚える。
     この点、著者は将来像として指摘するが、具体的には未だ手付かずのよう。
     さらに驚くのは、火星や月面での長期滞在に昆虫食、特にカイコやハエ(廃棄物処理に有益。オムシスか)を検討している点だ。なるほどと思うが、なかなか偏見から逃れるのは難しい。

  • 新書文庫

  • 著者は幼少より昆虫食に親しみ,十年以上昆虫料理を研究してきたエキスパート。昆虫食の本来の意味を忘れないように,夜中に単身雑木林に入って虫を食べるという自己研鑽までしてるというから凄い。
    単なるゲテモノ食の紹介というのではなく,昆虫食の人類史,世界各地の昆虫食文化,昆虫の栄養学,食糧資源としての昆虫,昆虫食と食育など幅広く扱っていて,入門に最適。ひとまずイナゴの佃煮から始めてみようかな…という気にさせてくれる。将来食糧危機が来て,虫食いのスキルが生死を分けるようなことになるかもしれないし。

  • 冗談みたいな扉の昆虫料理の写真に興味津々。
    「うげー、こんな料理もあるの?!」
    というノリの話を予想していたのだが、中身はかなり真面目な話でちょっとびっくり。

    個人的には、あまり構えずに、「うげー」のノリで紹介していく方が世間は受け入れると思うんだけど、どうかなあ。
    ま、いろんな情報が詰まった良書でした。

  • 入門するつもりなかったのに、扉写真の迫力に圧倒されて、気がつけば借りてきて読み終わってしまった作品。
    扉写真の、虫寿司は圧巻です。特に蚕。

    人はなぜ昆虫を食べるのか、という根本的なところから、食育に役立つ昆虫食まで、この一冊を読めば昆虫食について大事なことが分かります。
    しかし、昆虫を食べる気がない人にとっては気持ち悪いだけの本ですw

    イナゴやザザ虫は知ってましたが、まさかカミキリムシとか蚕とか、あとカマキリの幼虫まで食べるとは思ってなかった。ガリガリガリクソンが蝉はピーナツバターの味と言っていましたが、やはりナッツの味がするそうです。
    しかし、このへんまでは食料危機に陥ったときなんとか食べられる部類ですが、やっぱりゴキブリはさ・・・チャバネじゃないにしても、クロゴキブリとかマダガスカルオオゴキブリは無理ですよ・・・。海老と同じムチン質だとしても。
    「普通の虫の味」というキーワードが頻繁に出てくるだけでも、自分の中の常識が色々おかしくなってしまう本です。

    一番衝撃だったのは、カマキリに寄生してる(カマキリのお尻を水につけるとうにゅーんと出てくるやつ)ハリガネムシを生でバリバリ食べちゃう人のくだりでしょうか。もうここまでくると意味が分からない。

    でも全体的に、「こんな世界もあるのか・・・」という新鮮な気持ちで読むことができました。カブトムシの幼虫は腐葉土の味でまずいらしいよ!

    この本を読んでいる最中、ポンデライオンの頭を持つムカデが出てくる夢にうなされました。

  • 私は「食べたい」側の人間です。

  • 狩猟採集として,グルメとして,エンターテイメントとして,科学として,人が昆虫食に惹かれる理由は大きく4つに分けられる.私はどこに当てはまるのだろうか.興味を持って,知識として本書に手を出したが
    ,正直に言えば,この本を読む前に一度昆虫食をきちんと経験すべきだった,知識によってハードルが少し高まってしまったように感じる.

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