領土問題をどう解決するか (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 43
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856576

作品紹介・あらすじ

北方四島や竹島、尖閣諸島の問題は、すべて8・15に始まる。なぜ、こんなに長く解決できないのか?関係国との交渉の歴史をたどり、固有の領土論、千島列島の範囲、朝鮮植民地化などを再検証し、「対立」の論理ではなく、「対話」の論理による現実的な解決策を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:319.1A/W12r//K

  • 当たり前のことだが、当事者同士の交渉が行われない限り、解決はできない。よって、お互いが「固有の領土」であると主張する限りは解決することはないだろう。至極最もだと思う。
    左翼と評される筆者であるが、少なくとも本書の内容についてはそれほどの思想性は感じられなかった。歴史に対する解釈については、本書の内容だけでは評価できないが。
    但し、提示されている解決案は、理屈ではあるけれども、実現可能性としては低いように思える。かといって有効な手立ても今は見出せそうにないので、政治的な潮流を見ながらチャンスを待つしかないような気がする。

  • 北方領土問題に関しては、頷ける部分が多数あったが、竹島・尖閣に関しては、あまりにも韓国・中国寄りで左翼的思想が強すぎて受け入れられない。

  • 和田さんといえば親ソ、親北朝鮮というイメージがあるが、かつて二島返還論を唱え、バッシングにあった人の本を読んで見るのもわるくないかなと思って読んだ。問題は要するにサンフランシスコ条約をどう考えるかにかかわってくる。日本はアメリカ等と結んだサンフランシスコ条約で、千島列島と樺太を放棄したが、この際の千島が択捉、国後までを指しているのは戦後の外務省の文書(これは長く公開されなかったが、原貴美恵さんがオーストラリア図書館で発見『サンフランシスコ平和条約の盲点』渓水社)や文献的にも明らかで(村山七郎『クリル諸島の文献手学的研究』三一書房 1987)、サンフランシスコ条約に従うなら、歯舞、色丹の返還で我慢すべきだった。(これはそもそもソ連を日本との戦いに引き込みたかったアメリカがヤルタでスターリンに密約したことによる)また、当時のソ連も日ソ共同宣言で平和条約の締結時には二島を返還すると言っているのである。それをあたかも四島をまとめ北方領土としたのは、(ヤルタの密約があるにもかかわらず)日ソ接近を恐れたアメリカの策謀による。ただ、千島は日本が平和裡にソ連と樺太とを分け合ったもので、ヤルタに先んじる大西洋憲章の「領土不拡大」に違反する点を問題にするなら四島返還にも理があるということになる。和田氏は北方領土について何冊も本を書いているが、『北方領土問題』(朝日選書 1999)がソ連の主張も充分取り入れたものになっていてわかりやすい。和田氏に対し木村汎『新版 日露国境交渉史』(角川選書 2006)は、千島は日本が平和裡にソ連と樺太とを分け合ったもので、暴力で奪ったものではないと立場から四島返還論にこだわる。和田さんは、かつての日本は暴力で他国から暴力で領土を奪ったのであるから、今時の戦争でソ連に奪われたのも仕方がないという立場である。(p60「戦争に負ければ…自分の本来の領土を取られるのも仕方がないことなのです」)これはちょっと賛成できない。

  • 所在:展示架
    資料ID:11201298
    請求記号:329.23||W12||657

  • 夏以降、やたらに「我が国固有の領土」という言葉をあちこちで見聞きするようになったが、どちらが先に領有していたかと歴史を遡っても、それは水掛け論なんではないか・・・と感じていたので、この本を読んで腑に落ちる思いがした。
    「固有の領土」という言葉は、元々は「pozhiznenno neobkhodimye dlia iaponskogo naroda」、日本国民にとって死活的に必要な領土、という意味らしい。
    以下、引用すると「歴史の中で国境がさまざまに書き換えられてきたヨーロッパでは『固有の領土』を語ることができません。また先住民がいる土地に不断に膨張する国家であったロシアとアメリカは、『固有の領土』を言い立てると国家の自己否定になりかねません」
    「中国も世界帝国でしたから、その版図は膨張と収縮をくりかえしてきました。(中略)中国人の考えからすれば、固有であるのは文化であって領土ではありません」
    「逆に南北朝鮮は日本に併合され、三五年間植民地とされた国です。(中略)『固有の領土』とは『いまだかつて一度も外国の領土となったことがない』領土のことだという日本外務省の用語法からすれば、朝鮮半島はあなたがたの『固有の領土』にはならないのだと言われたら、隣国の民は血相を変えて怒るでしょう。外務省の用語は隣国にも適用できないものなのです」
    ・・・というわけで、「固有の領土」という言葉自体が非常にあやふやで、世界的には通用しない用語であることがよくわかる。
    ページの多くが北方四島の問題に割かれているが、日露戦争から日本敗戦までの流れは竹島(独島)、尖閣(魚釣)諸島にも関連しているので、これらを理解する上でも参考になった。

  • 領土問題は簡単には解決はできない。特にロシアとの間では、日本は戦争に負けているから。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授。1938年生まれ。東京大学文学部卒業。
著書『金日成と満州抗日戦争』(平凡社、1992年)『朝鮮戦争全史』(岩波書店、2002年)
『朝鮮有事を望むのか』(彩流社、2002年)『北朝鮮本をどう読むのか』(共編著、明石書店、2003年)『検証日朝関係60年史』(共著、明石書店、2005年)『日露戦争 起源と開戦』(上下、岩波書店、2009-2010年)『拉致問題を考えなおす』(共編著、青灯社、2010年)『北朝鮮現代史』(岩波書店、2012年)『平和国家の誕生』(岩波書店、2015年)『スターリン批判1953~56年』(作品社、2016年)『アジア女性基金と慰安婦問題』(明石書店、2016年)『米朝戦争をふせぐ』(青灯社、2017年)

「2018年 『安倍首相は拉致問題を解決できない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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