カタルーニャを知る事典 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856743

作品紹介・あらすじ

スペインであって、スペインでない!?ガウディーからバルサまで、国際都市バルセロナを中心に独自の文化が花開く「奇跡の土地」を、第一人者が紹介する決定版。

感想・レビュー・書評

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  • かつて地中海を制覇した大帝国として君臨し、スペイン随一の繁栄を誇るカタルーニャ。ガウディーからバルサまで、国際都市バルセロナを中心に、独自の文化が花開く奇跡の土地・カタルーニャの魅力を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40180463

  • スペインは「太陽と情熱の国」だと言われる。その中でも地中海に面するカタルーニャはさぞや暖かいだろうと思っていたのだが、思いのほか寒い。本書を読んで知ったのだが「緯度は意外に高く、北緯42度辺り、つまり北海道南部に相当する。」寒いわけだ。ここに来る前に読んでおくべきだった。

    事典と銘打っているように、本書では歴史、言語、文学など10のテーマに沿ってカタルーニャが解説されている。個人的に好きなのは芸術と食の各章。バルセロナの街を歩いていると、魅力的な建造物に目がいかない訳はなく、本書はガイドブックの代わりになる。

    同じ著者による『物語カタルーニャの歴史』(中公新書)もおすすめ。特に、歴史の章と読み比べてみるのも面白い。

  • Ⅰ カタルーニャとは
      「カタルーニャ」はどこを指すのか
      「カタルーニャ」は国なのか、一地方なのか
      カタルーニャの姿かたち
      ムンサラット
    Ⅱ 政治・経済ーースペインの中のカタルーニャ
      法律から見たカタルーニャ
      カタルーニャは独立するのか
       大規模デモ
       マス大統領の決断
       なぜ独立したいのか
       独立できるのか、独立したらどうなるのか
    Ⅲ 歴史ーー中世の栄光、長い停滞、そして復活
      カタルーニャの誕生
      国土再征服とカタルーニャ・アラゴン連合王国の栄光
      凋落と長い停滞
      米西戦争の敗戦とカタルーニャの復活
       米西戦争
       カタルーニャの復活
       プリモ・デ・リベラ将軍の独裁政治
      スペイン内線とカタルーニャ
       スペイン第二共和制
       スペイン内戦勃発
      フランコ独裁下のカタルーニャ
       カタルーニャの戦後
       カタルーニャの復興
      民主スペインにおけるカタルーニャ
       フランコ後ーー民主化への道
       社会労働党政権誕生
    Ⅳ 言語ーー民族のアイデンティティてしてのことば
      カタルーニャ語はどんな言語か
       起源
       特徴
       方言
      起源、発展、そして衰退
      一九世紀の復活から二〇世紀の民主化まで
       スペイン継承戦争とカタルーニャ語
       「ラナシェンサ」ーーカタルーニャ語の一九世紀ルネサンス
       スペイン内戦とカタルーニャ語
      ニ言語社会カタルーニャ
    Ⅴ 芸術ーー創造性のDNA
      カタルーニャ芸術のルーツーーロマネスク
      ムダルニズマ(モデルニスモ、近代主義)
       バルセロナを彩るムダルニズマ
       「四匹の猫」
     〈建築〉
      天才アントニ・ガウディーは江戸時代人ーーアントニ・ガウディーⅠ
      時代の寵児から神の建築家へーーアントニ・ガウディーⅡ
     〈絵画〉
      ピカソのバルセロナ時代
      素朴な巨匠ジュアン・ミロー
      奇人? 凡人? サルバドー・ダリー
       若き日のダリー
       パリのダリー
       奇人? 凡人?
      現代美術の巨匠アントニ・タピアス、ミケル・バルサロー
       アントニ・タピアス
       現代カタルーニャ美術界の旗手、ミケル・バルサロー
     〈音楽〉
      カタルーニャのクラシック音楽家たち
       アンリック・グラナドス
       イサアク・アルベニス
       フランセスク・ダシス・タレガ
       フラダリック・ムンポウ
      世界最高のチェリスト、パウ・カザルス
       国連総会での『鳥の歌』演奏
       カザルスの生い立ち
       平和主義者カザルス
      ムンサラット・カバリェーとジュゼップ・カレラスーーカタルーニャ出身のオペラ歌手たち
       ムンサラット・カバリェー
       ジュゼップ・カレラス
       その他のオペラ歌手たち
       リセウ音楽院とリセウ大劇場
      抵抗の歌ノバ・カンソー(新しい歌)
       フランコ独裁政権への抵抗
       「一六人の判事」
       スペイン語か、カタルーニャ語か
       世代交代
    Ⅵ 文学ーー世界水準の文芸
      中世から一九世紀半ばまでーー誕生、隆盛、そして停滞と復活
       「カタルーニャ語の父」ラモン・リュイ
       騎士道小説の傑作『ディラン・ロ・ブラン』
       停滞期から「ラナシェンサ」(一九世紀ルネサンス)へ
      ムダルニズマから現代まで
       「ムダルニズマ」の文学
       「ノウサンティズマ」とアバンギャルド文学
       スペイン内戦とカタルーニャ語文学
       内戦後のカタルーニャ語文学
    Ⅶ スポーツーーカタルーニャの闘魂「バルサ」
      「クラブ以上のクラブ」ーーバルサ
      二つの「バルセロナ・オリンピック」
    Ⅷ 食ーー美食家の天国へ
      カタルーニャの名物料理
       サラダ・野菜料理
       米・麺・パスタ・粉もの料理
       肉・魚料理など
       ソース
       菓子・デザート
      日本のオニギリに相当?ーーパ・アム・トゥマカット(トマト付きパン)
      カタルーニャ人のキノコ好き
      カタルーニャのワイン
       カバ
      レストラン「アル・ブリィ」の超創作料理
    Ⅸ 民俗・芸能ーー祭に彩られる街
      カタルーニャの祭と習俗
       サン・ジョルディの日
       パトゥム
       サン・ジュアン祭ーーカニゴーの火
       九月一一日「カタルーニャ国民の日」
       地区の大祭
       クリスマスの「糞ひり男」
      カタルーニャの民族芸能
       「カステイス」(人間の塔)
       サルダナ
    Ⅹ 奇跡の都市バルセロナ
      市壁をめぐってーーバルセロナの歴史Ⅰ
       古代バルセロナ
       ローマ後のバルセロナ
      市壁が消えた日ーーバルセロナの歴史Ⅱ
       市壁取り壊し後のバルセロナの発展
       バルセロナ万国博覧会の影響
       スペイン内戦後
      バルセロナ万国博覧会(一八八八)
       新時代の象徴としての万博
       日本の出品
      バルセロナを訪れた世界の著名人
       ミゲル・デ・セルバンテス(一五四七ー一六一六)+ドン・キホーテ 
       ハンス・クリスチャン・アンデルセン(一八〇五ー七五)
       フレデリック・ショパン(一八一〇ー四九)+ジョルジュ・サンド(一八〇四ー七六)
       アルベルト・シュバイツァー(一八七五ー一九六五)
      バルセロナを訪れた日本人
       天正遣欧使節
       慶長遣欧使節
       「帝国日本芸人一座」
       貞奴
    付録 意外なところにカタルーニャ
      カタルーニャ発の有名ブランド
       チュッパチャップス
       ダノンのヨーグルト
       靴の「カンペール」
       イスパノ・スイサ
      カタルーニャが発明した潜水艦
      あの人もカタルーニャ人ーー歴史上の有名人たち
       コロンブス
       ボルジア家
       トロツキーの暗殺者マルカデー

  • ふむふむ

  •  昨年日本でもニュースになったカタルーニャ自治州の独立問題。カタルーニャが独立したらバルサはどうなるんだろう、という観点でしか関心がなかったがこの本のタイトルに刺激されて購入。
     カタルーニャをスペインの一地方と単純に括るのは難しい。それはカタルーニャが独自の歴史と文化、言語を有しているから。歴史的に見ればカタルーニャ地方は元々一つの国だった。近代ではスペイン内戦以降独裁政権から弾圧されてカタルーニャ語の使用が禁止される等した。その後独裁政権が倒れて弾圧は無くなったが、2012年にカタルーニャ自治州憲章の一部に違憲判決が出てカタルーニャの人々はもう独立しかない、という気持ちになったようだ。
     言語で言うとカタルーニャはカタルーニャ語とスペイン語の二言語社会である。カタルーニャ語はスペイン語の方言ではなく別の言語。そこがカタルーニャの人々のアイデンティティの一つなのだ。
     本書では政治、経済、歴史の他にも文化、スポーツ、食文化など包括的にカタルーニャについてまとめられていて面白く読めた。今までスペインの中に複雑な事情を抱えたカタルーニャという地方があることを初めて知って、世界は知らないことがほとんどであるという認識を新たにした。本は世界を確かに広げてくれる。

  • 「カタルーニャ」と聞くと、スペイン国内の行政区の一つという認識だったが、実はそんな簡単な話では無いらしい。
    本書はタイトル通りカタルーニャを事典形式で紹介しており、どこからでも読みやすい作りとなっている。

    カタルーニャの歴史的背景はとても一言では表せないが、地中海に面するという利便性の高さゆえに、かつてはゲルマン民族やイスラム勢力圏の脅威に晒された時代もあったらしい。
    ハプスブルグ家とブルボン家の争いなど、周辺諸国の影響を強く受けながら隆盛と衰退を繰り返すうちに、現在まで続く独自の文化や言語を築いたようだ。

    地理的な特性としては、イベリア半島の北東部に位置しており、地中海の他にピレネー山脈にも接している。大きな都市ではバルセロナが有名だ。

    バルセロナというと観光やサッカーのイメージが強いが、芸術の分野では数多くの世界的著名人を輩出しており、アントニオ・ガウディ、パブロ・ピカソ、サルヴァトーレ・ダリ、ホセ・カレーラスなど、カタルーニャゆかりの芸術家の大変興味深いエピソードが紹介されている。ちなみにチュッパチャプスのパッケージはダリがデザインしたらしい。

    歴史上、スペインとは分離と併合を繰り返すカタルーニャだが、直近では2012年9月に150万人規模の独立支持運動があった。比較的財政が豊かな同地域にとって、税制が不公平な事が背景にあるようだ。
    カタルーニャ独立のニュースが、世界中を駆け巡る日が来るのは意外と近いのかも知れない。

  • 中公新書の「物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡」と併せて読みたいですね。。。

    平凡社のPR
    「ピカソやダリが生き、ガウディの建築が人々を魅了し続けるバルセロナ。この街を中心に、いまもスペイン随一の繁栄を誇るカタルーニャの魅力を、第一人者が事典形式で紹介する。」

    Japó no t'oblidem / Japón, no te olvidamos / 日本のこと、忘れてないよ
    http://www.japo-no-toblidem.extensionspainjapan.com/

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著者プロフィール

1953年生まれ。現在、法政大学国際文化学部助教
授。カタルーニャ語・文化専攻。著書:『カタルー
ニャ50のQ&A』(新潮社)、『カタルーニャ語文
法入門』(大学書林)訳書:『バルセロナ・ストー
リーズ』(水声社)、『バルセロナ』(新潮社)

「1999年 『引き船道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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