観光大国スイスの誕生: 「辺境」から「崇高なる美の国」へ (平凡社新書 (692))

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  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856927

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689853

  • 年明け早々にスイス旅行へ行ってから、すっかり彼の地の虜。題名通り観光を軸とした同国の歴史。山岳地帯は 魔境の僻地から「崇高美」による評価の高まりで、一気に欧州随一の旅行地に。ヘッセ、ワーグナー、ニーチェら芸術家が旅した事で更に拍がつく。結核療養地としてサナトリウムの歴史など、山岳リゾートとしての重みが、日本のそれとは違う理由が良く判りました。

  •  お金のクリーニングはもうかるから病み付きになって止められないようだ。他の国から預金者の情報を開示するように言われて渋々認めても、完全に廃止とはいかない。それは何かというと「マネーロンダリング」という黒いお金を真っ白にして表社会に出すというもの。

     スイスの重要な産業の1つに金融があり、高級時計産業、そして今回の本で取り上げられている観光業だ。

     よく考えてみるといつからスイスは観光で有名になったのか。そんな疑問を手軽に説いてくれるのが今回の本だ。文庫本だけにコンパクトにまとまっている。

     今でこそ、スイスの山や自然に惹かれて世界中から人がやってくるようになったが、ほんの200年前まではヨーロッパでは自然は恐ろしく目の保養どころか目の毒扱いされていたというから驚きだ。現代の常識がいつの世にも通じるとは限らない良い例だ。

     時計産業に関して、スイスが発展していったのは、フランスにいた新教徒ユグノーの存在があった。宗教改革で迫害されて、ジュネーブに逃れてきたとある。何が幸いするか分からないものだ。
     
     結構、知らないスイスの姿が浮き彫りになってフムフムと思った。普段あまり読むことのないスイス関連の本だけに珍しいのでつい借りて読んだ。本はいろいろな知的出会いを与えてくれるありがたい存在だなとしみじみと思った。

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著者プロフィール

河村英和(かわむら・えわ) : 東京大学特任准教授/イタリア建築・都市・美術史、ホテル・観光史1972年生まれ。東京工業大学工学部建築学科卒、ナポリ・フェデリコ2世大学建築学部建築史科・phD博士号修得。現、東京大学大学大学院人文社会系研究科特任准教授、東京工業大学外国語教育研究センター・イタリア語担当、イタリア観光学会(SISTUR)会員、イタリア観光史年刊(Storia del Turismo Annale)査読委員など。主著に『カプリ島──地中海観光の文化史』白水社、『イタリア旅行──「美しい国」の旅人たち』中公新書、『観光大国スイスの誕生──「辺境」から「崇高なる美の国」へ 』平凡社新書、『タワーの文化史』丸善出版など。

「2015年 『ナポリ建築王国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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