和食の地理学 あの美味を生むのはどんな土地なのか (962) (平凡社新書)
- 平凡社 (2020年12月17日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582859621
作品紹介・あらすじ
四方を海に囲まれ、南北に長く、地勢の変化に富む日本列島。
ここで生まれた和食は多様な食材に支えられ、
食材生産・加工の営みは特徴的な「文化的景観」を形づくってきた。
米、野菜、日本茶、調味料と漬物、果物と海産物、
そして近年、著しい品質向上が注目される日本ワイン。
私たちが日々楽しむ美酒佳肴はどのように生まれているのか。
豊かに広がる水田と畑、魚と海草の養殖風景。
日本の地理・地勢から「人間と食の関係」を探求する。
感想・レビュー・書評
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■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001179763
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以下、引用
●灘の酒は、江戸時代すでに、樽廻船などで江戸へ廻漕され、「下り酒」として人気を博してきた。西宮から神戸にかけてという沿岸の酒産地は、水運に適し、好適な立地条件となった。酒という重量物の輸送、とりわけ長距離の輸送には、当時は水運が不可欠であった。
●伏見もまた、水運に有利な立地条件であった。宇治川の中書島の港は、三〇石船などで淀川水運を通じて大阪へ、また高瀬川を通じて水運でも京と結びついていた。
●ただし西条は、かつて西国街道の宿場町(四日市)ではあったが、内陸なので近世における重い酒樽の輸送には恵まれていなかった。従って、西条の酒蔵はいずれも明治維新後の操業であり、(中略)特に、明治27年(1894)の山陽鉄道(JR山陽線)西条駅の開業が大きな契機となり、酒樽の遠距離輸送の可能性を開いた。駅近くのいくつもの酒蔵もこの立地条件にかかわるのであろう。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/749023 -
歴史地理学の専門家である筆者が、食物・食材の栽培、生産、収穫、加工にかかわる文化的景観という、日本から失われつつある生活となりわいからなる景観にスポットを当てた1冊。文化的景観という視点は自分にとって新鮮で、仕事や旅行でどこか地方に出向く際、この視点で見てみようという楽しみが増えた。
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地理歴史文化和食エッセイみたいな一冊。
もちろん、新書で和食の世界を網羅するのは無理なのだが、コンパクトながら要点をおさえてあって、うんちく材料には事欠かない。
花ガツオが荒節(カビがつく前のカツオ節)を削ったものとか、緑の茶は江戸時代の終わりごろの技術開発とか、人里離れたところに柿の木があったら住居跡のこともあるとか、会話に挟めばもの知りっぽい(笑)。
食習慣は育った地域の文化や家庭に影響されるなあと今さらながら再確認した。富山県生まれの著者が慣れ親しんだ食べものの中には、未知のものも。蕪寿しとかおいしそう。
著者プロフィール
金田章裕の作品





